TikTokが大変きな臭くなってきている件について

(写真:REX/アフロ)

 TikTokについて言及する記事を8月に書きました。

「TikTok」急成長も、他SNSサービス同様に質の低いユーザー、コンテンツを排除できるのか(ヤフーニュース個人 山本一郎 19/8/30)

 その際は、未成年の利用者とリテラシーの低い閲覧者との組み合わせに乗っかるような商売というのは運営側の社会的責任(CSR)が問われるよねという話を書いたのですが、残念ながらその後もあまり事態に改善があるとは感じられない印象です。で、そうこうするうちに米国において色々とTikiTok関連で焦臭い話が報じられるようになってきました。

 まずは、音楽著作権に絡んで正当な収益の分配が行われていないのではないかという話です。

TikTokが急成長する裏で、割を食うアーティストたち(WIRED.jp 19/9/28)

動画再生回数の増加に応じてYouTubeからの支払いが増える一方で、TikTokからは1セントすら得ていないという。

出典:WIRED.jp

 あるアーティストの楽曲がTikTok上でいくら再生されても楽曲使用料が支払われないため問い合わせところ、今後の楽曲のPRをTikTok上でするのと引き換えに莫大な再生回数があったであろう当該楽曲の楽曲使用料は無料にするという取引が行われたということのようです。TikTok上で人気を得る楽曲というのはアーティストといった属人性で選ばれることはあまり無い傾向があるため、このような取引をしても楽曲を作ったアーティスト側が今後TikTokを通じて金銭的な回収をするのは相当にむつかしいように想像されますが、こうした一方的なバーター案で妥協するしかなかったということなんでしょうか。

 上記記事中では他にもTikTok側ばかりが有利となった事例がいくつか紹介されています。

 そして音楽アーティストが搾取されているという話に続いて、今度はTikTokには国家安全保障上の脅威があるのではないかという物騒な話も持ち上がっております。

TikTokは国家安全保障上の脅威?米国上院議員が情報機関に調査を要請(TechCrunch Japan 19/10/26)

 TikTokのユーザー情報などが中国当局にそのまま引き渡されているのではないかという疑義が米議員から発せられたということですが、さらに、TikTokへの投稿が中国政府によって検閲されていたり中国側のプロパガンダ目的で使用されていたりする可能性が指摘されています。

アプリのモデレーターが、チベットの独立、天安門広場の虐殺、禁止された宗教団体である法輪功に関連するコンテンツを、積極的に検閲していることを明らかにしている。

(中略)

このアプリは外国から影響を及ぼすツールとして使用される可能性があるため、このアプリは「スパイ防止活動」に対する脅威をもたらす可能性がある

出典:TechCrunch Japan

 国際政治的にいろいろと厄介な問題が指摘されはじめたタイミングですが、そうした問題に加えて、TikTokの運営事業者である中国のByteDance社が米国動画アプリのMusical.lyを買収する際、外国企業による米企業買収を監査する米国政府機関の承認を得ていなかった事態が発覚し、なぜそのようなことになったのか改めて調査が入るというニュースが入ってきました。

米、中国アプリTikTokの米企業買収を調査 安保リスク視野(ロイター 19/11/2)

 なるほど。確かにこれは、なにやら大変焦臭いものがありますね。

 このほか英文記事になりますが、米ワシントン・ポストはTikTok米国オフィスの元従業員からの取材という形でTikTok投稿コンテンツについては中国本国の検閲があったという証言をスクープしており、今後さらに米国内ではTikTokを巡って炎上しそうな気配が濃厚です。

Inside TikTok: A culture clash where U.S. views about censorship often were overridden by the Chinese bosses(The Washington Post 19/11/6)

 こうなってくるとさすがに脳天気にTikTokがすごいみたいな話をしてる場合じゃないとも思うのですが、国内メディアではまさにこうしたタイミングで絶賛記事があったりするのはどうなんでしょうか。

「テキストと検索」の時代が終わり、「動画とレコメンド」の時代が始まる:ユーザー10億人のTikTokが示す未来(ダイヤモンド・オンライン 19/11/7)

 日本国内でのサービスにおいては、例えば六四天安門事件を彷彿とさせる動画や、習近平国家主席を揶揄する類の表現をアップロードするユーザーは見られず、本当にこれらの動画が非表示になるなど検閲される可能性があるのか試されたことはありません。

 誰か表現の自由を守る有志がお試しでそのような動画を上げたときにどうなるのかちょっと見てみたい気分もしますが、そういうことは絶対にやるなよ、と付け加えておきたいと思います。