イギリス陸軍の情報作戦部隊がSNS方面に強い人材をリクルートしているらしい件

(写真:ロイター/アフロ)

 先日、私のメルマガで英オックスフォード大のフェイクニュースに関する報告書が面白いという記事を書きました。

英オックスフォード大のフェイクニュースに関する報告書がいろいろと興味深い件(プレタポルテ by 夜間飛行 19/9/29)

 昨今は世界各国の情報特務活動の舞台がネット、とくにSNS方面になってきています。そうした情勢の中、今後我が国はどうしたものだろうかという問題提起を最後に書いたわけですが、まさにタイムリーといいますか英国軍のSNS界隈における情報特務活動の片鱗が分かりやすい形で報じられておりました。

Twitterの幹部が「イギリス陸軍の情報作戦部隊」に所属していることが判明(GIGAZINE 19/10/1)

MacMillan氏は2013年にTwitterのイギリス法人に入社し、2016年7月以来ヨーロッパ、中東、アフリカなどの公式ブログで編集長を務めてきた人物。そんなMacMillan氏はTwitterでの活動と並行して、2015年に設立された第77旅団に予備役将校として参加していたことが明らかとなりました。

出典:GIGAZINE

 このGIGAZINEの元ネタであるMiddle East Eyeの記事が今回のスクープの背景となる英国軍の情報特務活動にまつわる事情を少し細かく報じており、そちら方面に興味のある人は目を通しておくと面白いかもしれません。

EXCLUSIVE: Twitter executive for Middle East is British Army 'psyops' soldier(Middle East Eye 19/9/30)

Some insight into the unit's methods was provided by Carter in a speech last year at the Royal United Services Institute, a London-based military and defence think tank.

“In our 77 Brigade … we have got some remarkable talent when it comes to social media, production design, and indeed Arabic poetry,” he said.

出典:Middle East Eye

[抄訳]

 昨年、ロンドンに拠点を置く軍事および防衛シンクタンクであるロイヤル・ユナイテッド・サービス・インスティテュートにおいて、カーターによる特務ユニットの工作手法に関する解説が披露されました。

 彼は「私たちの77旅団では、ソーシャルメディア、制作デザイン、アラビア語の詩に関して、いくつかの素晴らしい才能を持っています」と言いました。

 なるほど、話題となっている第77旅団にはソーシャルメディア方面に関して秀でた人材のいることが強調されています。しかしどうでもいいことですが、やはりイギリス人は真面目な話の中でもジョークかどうかよく分からないような微妙なつっこみどころを織り交ぜて語るのが好きなんですね。暗示としては、アラビアの詩とはすなわち『アラビアのロレンス』で指し示すような地域の人々の心を掻き立てるような情報特務のことを指すのかもしれませんが、イギリスが具体的なソーシャルメディアでの一連の工作が具体的な作戦目標を達したような話は不思議と出てこないので、自分たちの行動がいかに優れたものであるかを誇示したいだけという見方もあります。

 で、注目すべきところは以下の部分でしょう。

“Those sorts of skills we can't afford to retain in the Regular component[of the army]but they are the means of us delivering capability in a much more imaginative way than we might have been able to do in the past.

出典:Middle East Eye

[抄訳]

ソーシャルメディアでの工作は通常の軍隊の部門では保持しない作戦技能ですが、この情報特務は過去のイギリス軍にできたよりもはるかに想像力豊かな方法で能力を発揮する作戦手段になっています。

 ソーシャルメディアのような方面について知見のある人材は旧来の軍では得られなかったものであり、第77旅団などの新しい組織によって昔では想像できなかった成果をあげているということのようです。

 Middle East Eyeの記事では、今回の話題の主であるMacMillan氏以外にも同様な背景を持っているであろう人材が様々な形で英国の軍事活動に従事していることを報じており、イギリス軍が積極的にSNS界隈などの優秀な人材をリクルートして情報特務活動に投入しているであろうことをうかがわせます。

 今後は日本でもサイバーエージェントやDeNA、mixiの幹部が自衛隊に情報特務活動要員としてリクルートされたりする時代がやって来るのでしょうか。まぁ人材的にはちょっと違うような気もしますが…。