SNSの企業公式アカウント運営は大変だよねという話

(ペイレスイメージズ/アフロ)

 JR貨物がTwitterで公式アカウントを開設するにあたり、仰々しい「JR貨物公式Twitterアカウント利用規約」なるものをPDF書類で公開したということで、口さがないネット民の間で話題になっておりました。

 ユーザーがツイートを読んだりアカウントをフォローしたりするだけのために、Twitterの利用規約とは別にアカウントが提示する利用規約へも事前に同意する必要があるというのは前代未聞かもしれません。もしかして他でもこういうことをやっていたりするのでしょうか。JR貨物が自分のツイートの下に大量のクソリプを牽引しているあたりに、貨物に対するこだわりを感じさせます。

 SNSを介しての情報発信を始めるに際してJR貨物社内でいろいろと制約があっての結果なんでしょうが、しかし“公式”を名乗る情報発信で以下のようなおことわりがあるのはちょっと解せない部分を感じなくもありません。

当社は、本アカウントにおける内容は当社から発信されたものを含め、当社の公式発表・見解等ではなく、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。なお、当社の公式発表・見解については、当社ホームページおよびニュースリリースをご覧ください。

出典:JR 貨物公式Twitterアカウント利用規約(PDF書類)

 ツイートは公式文書ではないので、そこに発信される情報については一切責任を負わないということなんですね。であれば“公式”を名乗ることもやめればいいのではないかと思ったりもするのですが、まあ、いろいろとお察しな拠所無い事情がJR貨物社内にはあるのでしょう。なんだか大変だなと。どういう規約を例示していようと、どちらに転んでも不用意なツイートをして燃えれば企業の責任ですし、一方で中の人がSNS扱いに順応してJR貨物の認知アップや人気に繋がれば「やってて良かったね」となるわけでして、そのあたりは八卦なところがあります。

 一方で、JR貨物独自の利用規約にはTwitter側の利用規約を理解してないのだろうなと思われる主張もあって興味深いです。たとえば以下の文言ですが、ここでの主張をそのまま素直に受け入れるとなると、JR貨物公式アカウントが発信するツイートは勝手にリツイート(RT)することが禁止されていると解釈できます。もしどうしてもRTしたい場合にはその許諾を得るためにJR貨物側へ連絡しなければならないわけですが、JR貨物公式アカウントは原則としてTwitter上で返信やDMへの対応をしないことになっていますから、Twitter以外の連絡手段を利用する必要がありそうです。なかなかハードルが高いですね。

本アカウントに掲載している会社名、商品名、商標・ロゴマーク、商号に関する権利は、当社または各企業、団体に帰属します。商標権その他の法律により認められる場合を除き、これらを当社、原商標権者またはその他の権利者の許諾を得ることなく使用等する行為は商標法等により禁止されています。

出典:JR 貨物公式Twitterアカウント利用規約(PDF書類)

 まあ、今のところ同アカウントのツイートを見るかぎり、ほのぼのした雰囲気での運用が予想されるので、多くの鉄道ファンに好かれるような形で穏やかに運用されていければいいなと思う次第です。

 SNSの企業公式アカウント運用というのはどうしても炎上などに対して相当な配慮を求められますし、なぜか社外よりも社内で過敏になる御仁がいたりしてその対応に苦労するみたいな話も少なくないでしょう。これが正解というやり方は無いのですが、以下などはこういうやり方もあるという実例の一つですが、ただ誰もがこのやり方を真似して上手くいくというわけでもないのがむつかしいところではあります。

伝説の「中の人」浅生鴨さん、現役最強シャープさんが登壇。自然とフォロワーが集まってくる秘訣とは? SNS公式アカウントNight(モバイルマーケティング研究所 19/2/12)

 このあたり、ノウハウとして気軽に語られてはいるのですが、突き詰めれば「企業アカウントなのに、くだけた話し方でためになる話をしたり、雑談したり、他のアカウントと絡んだりする」という意外さが企業の対コンシューマーのコミュニケーションにつながっていくわけです。これをさらに進化させるとZOZOに移籍した田端信太郎さんのような「ブランド人思考」にまで発展していくのかもしれませんけれども、JR貨物がここまで進化していけるのかどうか… 待ってみたい気分もあります。はい。

 ただ、現段階でのJR貨物のアカウント、ものすごく平和な人物が中の人のようで、思ったような波乱もなく、貨物車の展示を見に来てねというツイートを連呼しているだけなのが暖かくて素敵です。このまま馴染んでいってしまうのでありましょうか。