普及しつつある新興決済サービス周辺の不都合

(写真:つのだよしお/アフロ)

 コンビニチェーンの電子マネー系サービスの専用カードを落としたので運営側にその旨を連絡したのに不正利用を防げなかったという話題がネット上でバズっておりました。

 確かに財布も同然のポイント専用カードを紛失して悪用されただけでなく、紛失の連絡も通らず使われてしまうようでは、何のためのポイント専用カードなのか分からないと言われても仕方のない展開です。

nanacoカードを落としてセンターに連絡したら「すぐには止められない」と回答→オートチャージが悪用されるも補償なし(Togetter)

 この件についてはITニュース系サイトが運営側に取材して事態の背景などを解説しています。

「nanaco」なくしてもすぐには止められない? 「チャージ残高は翌日以降、オートチャージは即時停止」(ITmedia 19/2/4)

セブン&アイ・ホールディングスに確認したところ、nanacoカードの紛失の届け出を受けるとすぐに利用停止処理を行うが、チャージ残高の停止は処理が完了した翌日以降になるとし、「その旨は規約にも明記してある」という。即時の停止ができない理由は「セキュリティに関連するためコメントできない」としている。

出典:ITmedia

 要するに新たなオートチャージは停止できても、既にチャージされてしまっている金額分の不正利用についにては止められないし、その分の責任は運営側は負わないということですね。まあ、電子マネーカードはバーチャルな財布であり、財布を落とせばそれがリアルであろうがバーチャルであろうが中身は盗まれてしまえば誰も補償してくれないという解釈をすれば分かりやすいでしょう。

 ちなみにカード上にチャージされた分の不正利用を即時停止できない理由についてはセキュリティに関わるからとして明かされていませんが、これは決済システム開発周辺に携わる人であれば思い当たる節がいろいろあるかもしれません。手口に関わる情報のため、本件に関する記述は当記事では避けたいと思いますが、ちょっと残念な気もします。いずれにしても、ほとんどの電子マネー系サービスは落としたらリアルな財布と同じで保険は利かないのが大前提であることを肝に銘じておくべきです。

 今回のnanacoの事件が影響したのかどうかはよく分かりませんが、このところアーリーアダプターでギークな人々の間で人気のPayPayがクレカからのオートチャージ非対応を発表しました。

PayPay、残高不足時のクレカ自動決済を廃止(ITmedia 19/2/4)

 どんな買い物でもモバイルなキャッシュレス決済をしたいヘビーユーザー層には不興を買いそうな展開ですが、決済処理の諸々にリソースを大きく割けない新興サービサーとしてはこういう形でリスクを減らすしかないということなのでしょうね。

 こうなってくると、結局は不正利用に対する諸々の手当についてはやはり古参のクレカ事業者に一日の長があるということになりそうです。

クレジットカードが悪用されたら、誰がその損害を負担するのかを徹底解説!カードは不正利用が怖い…という方は盗難保険を知ろう。(クレジットカードの読みもの 17/11/22)

 クレジットカードという名前の由来通り“信用(クレジット)”が売りなので不正利用された際にはほとんどの場合保険が利くというのは大きな安心です。とはいえ、クレジットカードの利用や運用には、利用者にも店舗にもそれなりに高い手数料がかかります。これらは盗難保険も含めた、何かあったときの救済費用も含めた安心料だと思うほかありません。

 今後は電子マネー系サービスでも不正利用が発生した際には保険が利くという付加価値を売りにしたものが出てきて、それなりの基本利用料が発生する代わりにカードやアプリが金色だったり黒色だったりの偉そうな仕様になったりするのかもしれません。しかしながら、本来そういうサービスを使いたくない、割高な手数料を払いたくないという人こそ電子決済の専用カードだったはずです。世の中なかなかむつかしいなと感じるところ大です。