「とくダネ!」小倉智昭さんの膀胱がん療養と、代替医療の課題について

(写真:アフロスポーツ)

 先日、フジテレビ系「とくダネ!」のメインキャスターとしておなじみの小倉智昭さんが、かねて患っておられた膀胱がんの検査と治療のため療養されるという報道がありました。

小倉智昭、ぼうこう全摘出手術のため長期休養へ 「とくダネ!」で生告白(SANSPO.COM 18/11/6)

 私自身も4年近く「とくダネ!」では小倉智昭さんには大変お世話になりました。奇しくも同じがん治療で介護療養が必要になった実父、義父の介護・通院の手伝いが出産・育児と重なり負担となって、番組をお休みしなければならなくなりまして、小倉さんにご相談した際に「それはご家族優先で、どうか支えになってあげてください」と励ましのお話を頂戴しましたのが思い出されます。標準治療を選択した結果、無事に実父、義父ともに摘出手術が成功し、幸いにして現在は大きな合併症や後遺症も少なくガンサバイバーとして毎日私や家族の介護をしながら暮らしております。もちろん、身体に負担が少ないという理由で代替医療も視野に入りましたが、口腔外科医(歯科医師)として舌がん治療を専門にしていた家内と相談のうえ、進行や転移を考えれば一刻も早く標準治療を選択し、可能な限り摘出するべきという判断が良かったのではないかと思います。

 小倉さんが膀胱がんで検査をし、一部浸潤がんを取り除く手術をされるにあたっては、転移や術後の状況如何ではすぐにでも臓器の全摘出も必要になるのではないかとお話をさせていただきましたが、やはり臓器をまるっと摘出する怖ろしさもあり、なるだけ膀胱を残し、生活のクオリティ(QOL)を維持して仕事をお続けになりたいという強い意志をお持ちだったのは「さすがはあれだけ長く朝の番組を続けてこられただけの方だな」と思った経緯があります。

 結果として、大きな出血や全摘手術になってしまい、お休みをされる決断にまでいたったのは、お話をお伺いしていた身としては何よりも残念でなりません。ただ、経過によっては早めの復帰も可能な状況であるとも思いますので、とにかくの朗報を待ちたい気持ちでいっぱいです。大変真面目な方ですし、正面から問題に取り組む意欲も強い小倉さんですから、骨休めついでにかなり勉強されたりエンタメ作品をたくさんご覧になったりするのかな、と思います。

 ここで、課題となるのは臓器の温存を第一にし、闘病によってQOLを落とさず仕事を続けたり、普段通りの生活をしたいというときに標準治療をせず「代替医療」を単独で行う場合です。私の親族のがん闘病においては、いずれも標準治療を選択しておりますが、この場合は浸潤がんが見つかった場合、大前提としてたいてい膀胱の全摘出を医師に薦められます。転移の有無も含めてがんのステージによって手術が適用になるかどうかは違いはありますが、浸潤がんだと臓器の温存はむつかしいと判断されるはずです。

 また、小倉さんに限らず一般論としてですが、代替医療、とりわけ免疫療法一本で、がんの標準治療を行わず長く身体をもたせるのはなかなか困難であるように思います。当面は心身に大きな異変はなくとも、あるタイミングで劇的に痩せ始めたり、大量の出血を伴ったり、思わぬ腹水が出て日常生活が困難になったりします。どんなに日ごろは頑健な人物でも、一度がんの花が開いてしまうと転がり落ちるように痩せ衰えていきます。がんの部位にもよりますし、ステージが早い段階ならば早期治療として部分的な切除で簡単な手術をするだけで収まるケースは少なくありませんが、部位や状況が悪ければなかなか大変です。

 小倉さんはもうすでにいろいろな検討をされていたでしょうし、あまり込み入った話をしても… と思ったので「何かありましたら遠慮なくご相談ください」と軽い調子でお話を切り上げてしまったのが痛恨だったかなとも感じます。あのとき「いや、全摘一択ですよ大将」と強く申し上げれば良かったのかな、と……。このところかなりのご苦労もあったと伺っておりましたので、うまく治療や手術が功を奏し、無事に現役復帰していただければと改めて強く願う次第です。