AIやブロックチェーンの旬はそろそろ終わりのようです

(写真:アフロ)

 ICT分野を専門にする調査・コンサル会社のガートナー ジャパンが「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表しました。

ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表 - デジタル・ビジネスの推進に当たり注目すべき40のキーワードを抽出 - 『Gartner Symposium/ITxpo 2018』 (11月12~14日、港区高輪) において、 ITとビジネス課題の解決に向けた最新トレンド・最先端の知見や今後の展望を発表(ガートナー ジャパン PDF書類 18/10/11)

 で、この発表内容を分かりやすくまとめた解説記事も出ておりました。

AIやブロックチェーンは幻滅期へ--ガートナー、日本の最新ハイプ・サイクルを発表(ZDNet Japan 18/10/12)

ガートナー リサーチ&アドバイザリ部門 マネージング バイス プレジデントの堀内秀明氏は、「2017年、ピークにあると評価した『AI』『ブロックチェーン』に対する期待はピークを越え、『幻滅期』へと坂を下りつつある。今後、概念実証(POC)や先行事例の結果が公表され、取り組みの困難さが顕在化するにつれて、慎重な姿勢が企業間に広まるものと予想される」と述べている。

出典:ZDNet Japan

 なるほど、これまでメディアなどでバズワードとして散々持て囃されてきたAI(人工知能、深層学習など)やブロックチェーンの旬がそろそろいったん終わりを迎えるということのようです。実際問題として、気軽に話のネタとして取り上げられるほどにはAIもブロックチェーンも簡単に実用化できるようなテクノロジーではないということがようやく広く理解されはじめたという話でもあるということですね。

 AIの現在の限界みたいなものについてはちょうどわかりやすい事例がニュースになっておりました。

焦点:アマゾンがAI採用打ち切り、「女性差別」の欠陥露呈で(ロイター 18/10/11)

アマゾンはこうした特定の項目についてプログラムを修正したものの、別の差別をもたらす選別の仕組みが生まれていないという保証はない、と関係者は話す。このため同社の幹部はプロジェクトの先行きに失望し、最終的に昨年初めにチームは解散したという。

出典:ロイター

 当たり前のことですが、いま働いている社員のスコアを元に採用を行えば、いまの社員の構成の延長線上でしか採用はできないとも言えます。

 AIの学習過程においてデータが偏っていると結果的にAIは偏った思考しかできなくなるというのは既知の問題でもあったわけですが、昨今もっともAIに適した仕事の一つであろうと期待されていた人事処理作業において、本来は意図されないはずの女性差別が起きていたというのはとても象徴的な事案に見えます。他にも意図せずなんらかの差別的判定が生じる危惧があるとしてAIによる人事採用プロジェクトをやめることにしたAmazonの判断は正しいと思いますし、これがまさにハイプ・サイクルにおける幻滅期のきっかけの一つともなりそうです。

 ブロックチェーンについても発展途上のテクノロジーということもあり色々と批判的な意見も見受けられます。さすがにこれはどうかなという極端な批判もありますがこれも幻滅期ならではということなのでしょう。

「仮想通貨は全ての詐欺行為とバブルの元凶」 米経済学者、ブロックチェーンも酷評(ITmedia 18/10/12)

ブロックチェーンは貧困や飢饉(ききん)、病気などの国際問題を解決に導き得る新技術として注目されている。だが、これは過剰に宣伝されており、人類史で最も有用性に欠ける技術だ

出典:ITmedia

 ブロックチェーンが酷評されるのは、技術的な革新性が示す新たな需要の地平線は何となく見えるものの、そこに辿り着くまでに詐欺まがいの事業者や、仮想通貨市場の値上がり期待しか見ていない投機資金が大量に流入して起こすバブルが全体を見えなくしているのもまた事実だからでしょう。

 もちろん、ハイプ・サイクルという考え方自体がガートナー独自のコンサル手法であり、必ずしもテクノロジーの実態を正確に反映したものではないわけですが、これからしばらくはAIやブロックチェーンというバズワードに惑わされて無駄なプロジェクトに大金を投じる企業が減っていく可能性は高いのかもしれないですね。

 日本国内でも、AI(人工知能)を使ったラボを起ち上げた企業が早々に開店休業になっていたり、本物と偽物の峻別が進んでバズワードに乗っかっただけのベンチャー企業は鳴かず飛ばずのままでいるのを頻繁に見ます。世の中そんなものだ、と言われればそれまでですが、概念をぶち上げて風呂敷を畳まない界隈はもう少しエレガントに仕事ができないものなのでしょうか。