Appleはコモディティ化が進むスマホその他にどんな新しいテーマを吹き込むのか

(写真:ロイター/アフロ)

 10月5日がスティーブ・ジョブズ氏の命日だったことにちなんで最近のAppleがパッとしないという記事が掲載されておりました。

【スティーブ・ジョブズ氏追悼】iPhoneはもうすぐ日本で売れなくなる、アップルはどうするのか?(TechCrunch Japan 18/10/6)

多くのユーザーが感じているように近い将来iPhoneはたいして売れなくなる。

(中略)

乱暴にいうと、iPhoneでできることは、Androidでもできるのだ。

(中略)

高性能化したiPhoneは3年、4年使い続けるのがそろそろ当たり前になる。

出典:TechCrunch Japan

 まあ、この記事本文の主旨はスマホ以降のテクノロジー開発についてAppleが他よりも遅れているのではないかというところにあるようでして、その指摘については同意する点も少なくないのですが、一方でiPhoneというスマホビジネスに言及しているところについては微妙な違和感を覚えました。

 もはやスマホビジネスをハード面だけで切り取って語ること自体がナンセンスであるということは置いておくとしても、「iPhoneでできることは、Androidでもできる」という指摘については、OSの公式サポートが端末発売日から現状最長3年と限定されているAndroidでは「高性能化したiPhoneは3年、4年使い続けるのがそろそろ当たり前」という同じことができないという現実もあったりします。残念なことに、OSのアップデートが不可能になる古いAndroid端末は常にセキュリティホールの不安を抱える以上、常に買い替えをしなければならないプレッシャーに晒されます。ユーザーがまだ使える、この端末に愛着がある、と幾ら思っても、です。ユーザーによっては同一機種をできるだけ長く使えることにメリットを感じる人もいるでしょうから、この点が周知されているかどうかは大きなポイントだと思うのですが、意外と知らない人は少なくないのかもしれません。

 そして、最近のAndroid端末は確かに高性能化が進んでおり、価格もiPhoneとそれほどかわらないモデルも徐々に増えつつある感があります。

Google、FeliCa対応の「Pixel 3/3 XL」発表 9万5000円から(ITmedia 18/10/10)

 こうなると、必ずしもAndroidスマホが安くて高性能みたいな話は成立しにくくなるため、より長い期間に渡ってOSを更新して使い続けられるiPhoneの方が結果的には経済的でありその面が評価されて売れるようになるというトレンドがやって来る可能性もありそうです。

 いずれにしてもスマホ自体がもはやギーク層だけが使う最新テクノロジーを結集させたショーケース的ガジェットというよりは、子供からお年寄りまでの誰もが日常生活で普通に使うベタでコモディティ化した家電的な存在となってきており、スマホ、さらには広くICT関連の製品やサービスが語られるときにも従来のテック系ニュースサイトのギーク寄りな専門家視点だけでは物足りなく感じることが増えてきたな、と感じます。

 期せずして、Googleが同社の運営するSNS「Google+」において個人情報漏洩があったことを意図的に隠蔽していたというニュースもありましたが、こうした事件についても完璧なセキュリティを実現することは事実上不可能だから仕方ないよねみたいなギーク的見解はもはや誰も求めていないであろうことを考えると、日常生活でICT利用が当たり前になった時代に求められる新しいジャーナリズムや、そうした報道を読み取るための基本的な教育が改めて必要だなと強く思う次第です。

グーグルでプライバシー保護に欠陥、批判恐れ半年隠ぺい(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 18/10/9)

「Google+」消費者版が終了へ--APIのバグで最大50万人の情報流出のおそれ(CNET Japan 18/10/9)

 むしろ、Appleがジョブズ的なビジョンを掲げ、先進的なテクノロジーで、かつ安心できる、それでいてデザイン的に洗練された、というトリレンマのような完成度の高いガジェットやサービスを生み続けられるのか、というテーマをもって「ジョブズ的かどうか」を判断すれば良いのでしょうか。

 いまや時価総額も1兆ドルを超えたAppleがさらなる飛躍を求められているにしても、何処に飛躍していくのか? は興味津々です。