スマホ依存は世界中の悩みになりつつあるようです

(写真:アフロ)

 広く社会に普及しつつあるスマホですが、誰もが手軽にスマホを利用できるようになった結果、「スマホ依存症」と言われる現象が社会問題として改めて注目されるようになってきました。先日、4Gamer.netにスマホゲーム依存についての記事を寄せましたが、スマホは思った以上に私たちの生活に良くも悪くも影響を与えているようです。

スマホ依存症(Weblio 辞書)

【山本一郎】「ゲーム依存症」問題から見るガチャ商法規制の今後(4Gamer.net 18/04/03)

 もっとも、こうした問題はなにもいまになって言われるようになったわけではなくかなり以前から指摘されていたことでして、以下の記事などは2012年に書かれたものです。まだ統合的にスマホ依存の問題について検証されていたわけではない時代の記事ですが、概ね書かれている方向へ問題が悪化していっているようにも見えます。

日米で広がるスマホ依存症: その病理と対策はまちまち(現代ビジネス 12/7/13)

スマートフォンを使ってはいけない場面でも、つい手を伸ばしてしまう「スマホ依存症」が増加しているようだ。

(中略)

この種のことは以前から度々報じられてきたが、最近フェイスブックやツィッターなどソーシャル・メディアの利用が一般化し、特にスマートフォンでこれらを使う人が急増してきたことから、改めて問題視されたのだろう。

出典:現代ビジネス

 2012年の時点で「この種のことは以前から度々報じられてきた」と表現されているのも興味深いところですが、それだけスマホというデバイスは一度使い出してしまうといじるのを止められない中毒性があるということを言い表しているようです。実際、他人と話していてもついスマホに何か新しい連絡が来ていないか気になってチラ見してしまう経験を私も持つのですが、情報をインプットしている状態をキープしていないと落ち着かないのもまた依存の一形態ということになるのでしょうか。

 スマホが世に登場して10年以上が経ち、こうしたスマホ依存症というものが解消されるべき課題として世界中で認識が高まりつつある中、プラットフォーマー側もなんらかの対策を提供しようという動きが出てきました。

グーグルがAndroid Pで「スマホ中毒対策」に乗り出す――ファミリーアカウント開始で「子供に優しいスマホ」になれるか(ITmedia 18/5/18)

アップル「スマホ中毒」に対策 アプリ別の時間制限など(日本経済新聞 18/6/5)

 こうしたプラットフォーマーで提供する対策がどれほど実際の効果につながるのかについては、結局はエンドユーザー側次第でしかないであろうあたりがなかなかむつかしいところではあります。

今回、グーグルは機能的にスマホ中毒に歯止めをかけるような機能を盛り込んできたが、やはりユーザーに認知されないと意味が無い。

 グーグルは機能強化だけでなく、「どの機能をどのように使えば、子どもをスマホ中毒から守れるか」といった啓蒙活動も一緒にやっていく必要がありそうだ。

出典:ITmedia

 これらはあくまでスマホ全体の問題であって、SNSやゲームなどのアプリへの具体的な依存に対して包括的にどうにかできる取り組みではない、というのもまた考えるべきところではないかと思います。

 もちろんエンドユーザー自身がこうした依存症みたいなものをまったく気にしていないかというと、決してそんなことはなく以下のような分かりやすいデータもあります。

10代の若者は「スマホ依存」を危惧している:調査結果(WIRED 18/9/4)

8月22日に発表された調査結果からは、米国の13~17歳の若者のうち54パーセントが、スマホに時間を費やし過ぎていると悩んでいることがわかる。そして52パーセントが利用時間を減らすための対策をとっていて、57パーセントがソーシャルメディアにかける時間を減らそうとしている。

出典:WIRED

 誰もが使いすぎは良くないと自覚しつつ、なかなか使うのを止められないというあたりがまさに依存症の依存症たる所以ではあります。上のデータは米国での調査結果ですが我が国でも状況は残念ながら似たような傾向にあります。

ネット依存の中高生93万人…5年で40万人増(ヨミドクター 18/9/3)

オンラインゲームやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をやり過ぎるなど、インターネット依存が疑われる中高生は全国に約93万人いるとする推計を、厚生労働省の研究班(代表=尾崎米厚・鳥取大教授)が31日、発表した。スマートフォンが急速に普及したことなどを受け、前回調査した5年前に比べ約40万人増加した。

出典:ヨミドクター

 こちらは「ネット依存」という括りになっていますが、「スマホの急速な普及を受け」という説明があることから内実はスマホ依存と同じ話でしょう。また、ネットやスマホ、ゲーム依存に関しては定義の確定が不充分で、依存者数の見積もりが過大すぎるという学識経験者からの指摘がいままでもあることは留意するべきです。

 記事中では最後に「ネットやゲームの使用が日常化した現在、依存を防ぐためには、教育を含む社会の幅広い対策が急務だ」という提言がありますが、具体的な対策としては何ができるのかはとくに言及されていません。世界中いずこも同じ問題に直面しているわけですが、そうした中でフランスがかなり思い切った方向へ舵を切ったようです。

フランス、学校でのスマートフォン使用を法律で禁止(BUSINESS INSIDER JAPAN 18/9/4)

新学期が始まった9月3日から、フランスの15歳以下の生徒たちは学校でスマートフォンを使えなくなった。新しい法律による措置だ。

(中略)

授業中のスマートフォンの禁止は2010年からすでに行われていたが、新しい法律は休み時間や食事時間での使用も禁止した。

出典:BUSINESS INSIDER JAPAN

 厳密には「あらゆるタイプの携帯電話とタブレット、スマートウォッチの使用を禁止」ということで、生徒は一部のごく限られた例外(何らかの理由でスマートフォンの使用が必要な生徒)を除き、学内にいる限り個人用モバイル通信デバイスを利用することができなくなるということのようです。こうした法律を導入する意図としては「生徒たちの自制心を育む」ことにあるようで、つまりはスマホ依存症改善に向けた一つの試みという解釈ができそうです。

 こうした話があるとスマホは単なるツールであってそれを上手く使いこなせない学校システムの方が古くさくてダメなんだといった趣の意見も必ず出てくるわけですが、大人でもスマホ依存症的な行動を改善するには相当な意志の力と自制心が求められるわけでして、10代の子供にとってはこうした強制的にでもスマホの無い時間や環境を設けてその中で過ごす訓練をすることはそれなりに依存症克服の効果が望めるのかもしれません。今後どういう形でこの施策の効果測定が行われるのかはよく分かりませんが、異なる文化背景を持つ国や地域にも参考となるような知見が何か得られることを期待したいところです。