「どこで儲けるか」模索を続ける大企業の事業取捨選択のトレンド

(写真:ロイター/アフロ)

 MicrosoftがGitHub買収を正式に発表して色々と話題です。

GitHubは「設計図共有サイト」? 日経記事の見出しが話題に その後修正(ITmedia 18/6/5)

米Microsoftが6月4日(現地時間)、ソースコード共有ツールを開発・運営する米GitHubの買収を発表した。日本経済新聞電子版はこのニュースを「マイクロソフト、設計図共有サイトを8200億円で買収」との見出しで速報。「設計図共有サイト」というワードが「不正確では」とネットで話題になり、「設計図共有サイト」はTwitterトレンドに入った。日経電子版はその後、見出しを修正している。

出典:ITmedia

 個人的には日経が当初使っていた「設計図共有サイト」という表現は広く情報を伝えることを重んずる報道メディアとしては立派な仕事だったと思うのですが、その一方で日経読者の主要層は高齢化が進んでおり今どきのIT時代的なリテラシーからは相当に乖離が進んでいることを改めて知らしめる出来事でもあったのかなと感じるところであります。確かに、日経の想定読者層に正しくGitHubを一言で理解してもらおうとすると、非常に困難なのもまた事実じゃないかと感じます。

 日経の読者層がどうこうという話題はさておき、MicrosoftがGitHubを買収したという件については同社のこのところの事業展開を考えると、やはりそちらに来たかという印象が強いです。

売上高に見るマイクロソフトの舵取り--ますますビジネス寄りに(ZDNet Japan 18/3/13)

近年、Microsoftは積極的に事業を再編しており、(ゲーム部門を例外として)エンタープライズ顧客に力を入れ、消費者向け製品からは手を引いてきた。

出典:ZDNet Japan

 一方、たまたま同じタイミングとなりましたが、Appleが毎年恒例の開発者向け会議イベント「WWDC」を開催、基調講演が行われました。

WWDC 2018基調講演まとめ(iOS 12/watchOS 5/tvOS 12/macOS Mojave)(ITmedia 18/6/5)

 イベント自体は開発者向けということもあり、Microsoftが買収したGitHubと重なるべきものが多々あるはずなんですが、基調講演の内容だけを端折ってざっと見た感じでは、Appleが企業として目指している市場はやはり最終的には消費者向けに近い世界なんだろうなというところでして、Microsoftがガッツリとエンタープライズ方面へ舵を切りつつあるのとは対照的かもしれません。

 この2社の動きを見ていて思ったのは、パナソニックが主力を従来の消費者向け家電からB2Bへ大きくシフトさせた一方で、ソニーはPS4やスマホゲーム「FGO」などが結果的に同社の業績を大きく支えるという傾向が強くなってきており、これはたまたまでしかないのでしょうが、Microsoftとパナソニック、そしてAppleとソニーがそれぞれ似たようなベクトルで事業を進めつつあるようで興味深いです。

変わる、パナソニック。B2Bシフトから4年、樋口泰行が目指す「真のB2B」(マイナビニュース 18/1/22)

ソニーの通期営業利益が過去最高の見通し、モバイルゲーム「FGO」が大きく貢献(IGN JAPAN 17/11/1)

 Appleについては今回のWWDCでは新しいハード製品がまったく発表されなかったあたりも話題ですが、これについては同社が事業戦略を変えてきているのではないかという論考もあり、ソニーがスマホゲーム関連で収益を上げている構造と似た匂いを感じると言ったら考えすぎでしょうか。

アップル、デジタル広告事業拡大へ 成長戦略をシフト(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 18/6/2)

米アップル がデジタル広告事業の拡大を模索している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社は端末販売から、端末を通じたサービスの促進へと、成長戦略の軸足を移している。

出典:ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 いずれにしても、単純に良いモノを作れば儲かるというビジネスでは成り立たなくなりつつある今、どうやってビジネスを持続し拡大させるかで試行錯誤した結果が各社のこういう動きとして見えてきたのかなと。もちろん良いモノを提供するということは大前提なんですけれど。