FacebookなどSNSを企業広報媒体として活用することのリスク(追記あり)

(写真:ロイター/アフロ)

 企業がプラットフォーマーの提供するSNSの類を広報媒体として活用するケースは昨今“当たり前”な現象となりました。ややもすればFacebookやLINE、Twitterなどに公式アカウントを設けて情報発信しない方が少数派という感じかもしれません。そうした状況の中、大手文具チェーンの伊東屋がFacebookに開設していた公式ページを閉鎖するという発表をして一部で話題になっておりました。

【皆さまへ 大切なお知らせ】

このたび、7年間続けてまいりました「伊東屋 facebook」を終了することといたします。

これまで、伊東屋のことをより広く、深く知っていただくために活用してまいりましたが、残念ながら、facebookの集めた個人データの活用方法に伊東屋として賛同できないために、終了を決断いたしました。

出典:https://www.facebook.com/itoya.jp/posts/1927940857237276

 ページ閉鎖の理由は「facebookの集めた個人データの活用方法に伊東屋として賛同できない」とのことですが、これはこのところ海外を中心に話題となっている例の事件と関係があるのでしょうか。

Facebook問題に見る、ユーザーデータ収集が売りのネットサービスという商売の袋小路(Yahoo!ニュース 個人 山本一郎 18/4/7)

 まあ、そもそもFacebookのサービス規約は誰が読んでも分かりにくく、ユーザーの個人情報が一体どのように収集され、それらがFacebook社のビジネスにどう活用されているのかも多くが謎であり、さらに規約自体もしばしば突然変更されてしまうという厄介な代物であります。つい最近も変更の発表がありましたが、従来とどのように変わるのかがあえて分からないような形で発表されたとして批判の声が上がっておりました。

Facebook、「サービス規約」と「データに関するポリシー」を“明確化”(ITmedia 18/4/5)

同社はこれまで、規約変更に当たっては新旧のテキストを比較できるようにしていたが、今回は新しい規約とポリシーのリンクのみが示されており、どこが変更されたのか分かりにくい。発表文で「更新には、以下が含まれます」として7つの項目を挙げているが、いずれも「より詳しく説明します」などとあるだけで、対応する条項へのリンクもない。

(中略)

Facebookはこれまでも、ユーザーは規約やポリシーで明文化した同社のプライバシーについての扱いを読んだ上で自己責任で自分の個人情報を提供していると主張してきた。今回の問題で、説明が分かりにくいという批判があったための改定のはずだが、フィードバックしやすくなったとは言い難い。

出典:ITmedia

 こういうやり方を堂々と押し通されてしまうと、まともな広報活動を目指す企業であればメディアとしてFacebookを使うというのはちょっと考えてしまう部分もあるでしょう。何となれば、自社の情報を知りたいとアクセスしてきた顧客の個人情報が知らぬまにFacebook社の営利活動の原資として勝手に活用されてしまう可能性さえあるわけです。最終的にはどこまで相手を信用するかという話でもありますが、疑われるような状況をこれまで野放しにしてやって来たFacebookの経緯を考えると、利用するリスクはそれなりに考える必要があるという当然の流れかと思います。

 あとは、企業広報媒体としてFacebookを利用することの大きなデメリットとしてあげておきたいのは、Facebookアカウントを持たないユーザーがアクセスした際のユーザビリティの低さでしょう。非Facebookユーザーへの情報提供媒体としてはほぼ使えないと考えておくべきですが、意外とこのあたりに気付いていない担当者は少なくないかもしれません。

 自社の潜在的な優良顧客がネット経由で情報を求めているとしても、必ずしもFacebookなどのSNSユーザーではないということをしっかりと想定した上で企業はネット上における広報活動を行う必要があります。逆に言えば、SNSでの情報発信はあくまでも自社サイトへの導線にとどめ、伝えるべき情報そのものは特定プラットフォーム・サービサーに依存しない独立した自社ウェブサイトに掲載すべきです。多くのSNSは投稿・発信が容易なため、現場担当者の多くはそうしたプラットフォームへの書き込みだけで終わらせがちかもしれませんが、結局はそうした情報発信は本当に伝えるべきところへ伝わる前にSNSの中であっと言う間に流れて消えてしまうことになっている例は少なくないと思われます。

 さて、伊東屋さんの場合、今後の情報発信は同社ホームページやTwitterで行っていくそうですが、同社のホームページをざっと見る限り今回のFacebookページ閉鎖のような件を告知するための情報発信は残念ながらまめにはやってないようですね。せっかくなので、伊東屋さんの公式見解の熱いところを自社サイトでじっくり読んでみたいというのが正直なところです。店頭イベントを告知するためのNEWS RELEASEページはありましたが、この記事を書いている時点では昨年の10月が最後の発信になっていました。

NEWS RELEASE お知らせ(伊東屋)

 余計なお世話かもしれませんが、今回のFacebookページ閉鎖を良い機会として自社ウェブサイトの活用を見直されると良いのではないかと思いました。非常に筋を通す会社さんのようにも見えるので、Facebook云々は別としても引き続きウォッチしながら応援していきたいと思います。

 一方、「Facebook市長」として著名になったはずの樋渡啓祐さんは、最近あまり名前を聞かなくなりましたが、佐賀県知事選落選後はどうなってしまったのでしょうか。人間も企業も中身を伴わなければ広報だけではよろしくないという教訓だけを私たちにくれた、ということなのでしょうか。

(追記 18:16)

 ご指摘があり、伊東屋さんのイベントページが別にあり、こちらでイベント情報が更新されているとのことでした。

 御礼とともに、サイトリンクを如何に追記いたします。

伊東屋 イベントインフォメーション