2年縛りをやめさせたら4年縛りが生まれる携帯キャリア業界の不思議

(写真:アフロ)

 ここ数年、行政と携帯キャリアはビジネスのあり方を巡って激しい攻防を繰り広げてきておりますが、なんど叩かれ規制されても不死鳥のように甦りさらにパワーアップしてくる不思議料金プランの有り様を見ていると、やはり携帯キャリアの方が一枚も二枚も上手なんだなと感心することしきりであります。しかし、行政側も負けてばかりはいられないわけでして、今回は公取委が再び狡猾な携帯キャリアの性根を叩き直すべく立ち上がったようです。

スマホ販売「4年縛り」調査へ…格安業者が批判(読売新聞 18/4/6)

公正取引委員会は、「4年縛り」と呼ばれる携帯大手のスマートフォン販売について、特殊な値引き契約で利用者を囲い込んで、格安スマホ事業者との競争を阻害していないか調査する。

出典:読売新聞

 この「4年縛り」の内実は以下のような感じです。

公取委、携帯キャリアのスマホ「4年縛り」を調査へ(すまほん!! 18/4/6)

所謂「4年縛り」を、KDDIは「アップグレードプログラムEX」、SoftBankは「半額サポート」という名称で提供しています。

 いずれもスマートフォンを48ヶ月(4年間)の割賦で購入。購入から2年後に端末を返納した上で、機種変更を行うと旧端末の残債2年分が免除されるという仕組み。

出典:すまほん!!

 そうですか。説明だけをさらっと読んでもユーザーにとってこうしたプランを利用するのが得なのかどうかいまいち分からない感じですが、上記記事によるとこうしたキャリアのプランを利用せずに、「機種変更後に使わなくなった旧端末を中古ショップで買い取ってもらう方が多くの場合はお得です。特にiPhoneは中古価格での相場が高く、価格も落ちづらいので」とあります。

 さらに、より具体的にSoftBankの「半額サポート」の実態を解説した記事がありましたのでご紹介しておきます。

半額サポート for iPhoneはお得じゃない。4つの落とし穴を解説してみる。(元ショップ店員だけが知ってるソフトバンクの説明書 17/9/20)

 結論として上記ブログ記事ではこのソフトバンクのプランを「オススメできない」としていますが、興味深いのは半額サポートの規約について触れた以下の部分です。

内容を細かく説明しませんが、ここまで不測の事態に対応できませんを連呼した規約は珍しいのではないかと思います。ちなみに半額サポートというキャンペーン名以外では一言も「半額」という言葉も出てきませんし、下取りによるお金を利用するという点についても強制的に同意させられます。その上で内容の変更などについては全て了承いただくという内容になっています。

出典:元ショップ店員だけが知ってるソフトバンクの説明書

 この手の規約文というのはキャリアに限らず他も似たり寄ったりと言いますか、ユーザーは誰も規約なんてちゃんと読まないだろうから自社に都合の良い免責事項をてんこ盛りにしておこうみたいなノリはありがちかもしれません。まあ、仮にユーザー側がしっかりと規約を読んでここは嫌だから変えてほしいと申し出ても、残念ながらそこで交渉によって改善されるような余地があるわけでもなしという現実もありますが。

 こうした各所からの指摘に対して携帯キャリア側はなかなか気持ちの良い回答をしているようですね。

スマホ契約問題、新たな火種は「半額iPhone」(東洋経済 18/4/8)

KDDIとソフトバンクは「48カ月払いは強制ではなく、利用者に選ぶ自由がある」(広報)などと説明する。

出典:東洋経済

 物は言い様ということでしょうか。

 総務省によるある種の強権発動的な指導を経ての“2年縛り”の緩和とSIMロック解除の励行が実現した結果が、さらに質の悪い4年縛りの登場という流れになったということのようでして、なんとも皮肉な話です。このままお上と携帯キャリアのメンツとシノギを賭けた鬼ごっこは終わることがないのでしょうか。

 ある意味で、規約を読まずどちらが得かちゃんと調べることなく、良い携帯端末ならすぐに欲しいと思う消費者心理をうまく突いて、少しでも高くお金を払ってもらおうというキャリアの営業努力の賜物ということなのかもしれませんが、格安スマホがそれなりに消費者に受け入れられた理由というのは「安さ」もさることながら「分かりやすさ」もあるのではないかと感じます。

 これが犯罪組織によるあの手この手であれば「またいたちごっこか、対策は大変なんだな」と思うところですが、日本に3社しかない携帯電話キャリアの、れっきとした許認可ビジネスで白昼堂々不思議な契約書で消費者を混乱させるやり方を続けるというのは如何なものでしょう。