江田憲司氏が森友問題で大阪地検からの捜査情報のリークを晒して大変な騒ぎに(追記あり)

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 元民進党で、現「無所属の会」の衆議院議員・江田憲司氏が、森友問題絡みで騒ぎになっている一連の報道のネタ元についてTwitterで「大阪地検の女性特捜部長のリークがどんどん出てくる」と書いてしまい、大変な騒ぎになりつつあります。

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 当初は江田氏一流の面白ネタかと思っていたら、直接法務省筋は「至急調べたいと思います」、また大阪地検も「リークという認識はない。確認して折り返す」旨の返答であり、現状では江田氏の内容を即否定できる状況になさそうです。

 Twitter上でも有志が問い合わせをかけていたようで、概ね江田氏の「大阪地検部長山本真千子氏によるリーク」という発言は正しいであろうことが証明されてしまいました。

 この問題については、昨日4月4日、NHKがスクープ報道として”8億円分、およそダンプカー4,000台分の撤去を行ったという口裏合わせを財務省が森友学園に求めた”という内容を報じ、国会での証人喚問で財務省・佐川宣寿氏が行った証言の一部と食い違い、偽証ではないかという指摘が野党側から出ております。

財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で(NHKニュース 18/4/4)

 本件のゴミ撤去に関する質問が出た昨年2017年2月17日。衆院予算委員会で民進党議員(当時)の福島伸享氏が、森友学園に譲渡した土地の売買に関連して約8億円の値引きの根拠となったゴミを実際に撤去するとなると「ダンプカー4,000台分」になると理財局長(当時)であった佐川氏に質問していました。その後、2月20日に理財局の職員が森友に電話をし、上記のような口裏合わせを森友学園に求めていたのだとすると、意図はどうであれ財務省としての関与は確かに揺るがないものとなります。

 しかしながら、この話は国会での答弁とは別に大阪地検特捜部が力を入れて捜査している事案ですので、勢い余って世論を喚起するためにリークをかけたのだとすると、せっかくの疑惑追及のネタが大阪地検に「倍返し」になってしまいます。法務省や大阪地検への問い合わせに正面から否定してくることができない理由も、地検特捜部の信頼回復のために取り組んでいる一大捜査がメディアでの不必要なリークによって再び失墜しかねない懸念を抱いているからではないかと考えられます。

森友問題で大阪地検特捜部が「千載一遇のチャンス」と奮い立つ理由(現代ビジネス 伊藤博俊 18/3/22)

 そもそも、メディアなどに対する捜査情報の漏洩については、2009年に旧民主党の参議院議員・松野信夫氏が国会で質問し、当時の麻生太郎政権で以下のような回答を得ています。

第171回国会(常会) 質問主意書

参議院議員松野信夫君提出捜査情報の漏洩に関する質問に対する答弁書

三について

 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百三十四条及び国家公務員法第百条第一項の違反の有無は、事案に即して個別具体的に判断すべきものである。

 なお、刑法第百三十四条及び国家公務員法第百条第一項違反の行為は、いずれも、法律に違反する行為であり、許されない行為である。

出典:参議院議員松野信夫君提出捜査情報の漏洩に関する質問に対する答弁書

 つまり、冒頭の江田憲司氏の発言は、まさにこの捜査情報リークを行った大阪地検特捜部部長の山本真千子氏の刑法・国家公務員法に抵触する事実を明らかにしてしまったわけで、世論誘導を目的としたこの手の事件報道で良くあるリークもまた、公文書改竄問題と同じく日本の民主主義を揺るがしかねない問題の一つであると改めて認識するものであります。

 それもこれも、弁護士の郷原信郎さんが指摘するように「国会での証人喚問が政治ショーの一部になってしまい、証言拒否などによって事態の解明が進まない」ことに課題の根幹があります。国民の関心事になった森友問題で、財務省の役人をテレビ放映のなされる国会で吊るし上げれば野党の支持率が上がるだろうという思惑はあるでしょうし、また、そこまで事件化したものであれば同じく捜査資料改竄などで信頼を失った地検特捜部の失地挽回も果たせるということで頑張ってリークをかけて世論を誘導しようとします。一方で、この土地取引に一定の関与があったと目される国土交通省航空局や、日本維新の会といったプレイヤーについては脇に置かれたまま、一連の取引における安倍晋三総理と安倍昭恵首相夫人の関与があったのかにのみ注目が集まってしまっているという懸念もあります。

改ざん問題は刑事免責で喚問せよ(BLOGOS 郷原信郎 18/4/2)

 それもこれも、本来であればたかだか8億円程度に過ぎない土地取引のトラブルを政権に対する疑惑と官僚組織に対する不信で引っ張り、テレビや新聞社を巻き込んだ大規模な政争に仕立て上げていき、膨大な予算のかかる国会で多くの日数と調査予算をかけて消耗するというのは本当に誰のためなのか疑問に思います。その中では、米中の貿易摩擦が激化して日本の中長期の景気低迷も懸念され、北朝鮮問題では危機対応のシナリオについての説明が軽視されており、また、森友問題の陰に隠れる形で生活保護費の支給額減額が進みました。

 政府、各省庁、与党、野党、各メディア、地検特捜部… 各々の立場で、思惑や得失があり、森友学園問題というボード上でゲームをやっている感覚なのかもしれません。ただ、刑法や国家公務員法を犯してまで世論喚起をするためにメディアに捜査情報を流し煽動を行うというのは末期的です。煽られた国民は政権や霞が関に対して怒りを募らせるかもしれませんし、それによってデモを打ったり政権批判を行うのも民主主義ですから大いにやれば良いのですが、国民の利益や国家の向かうべき先の政策議論は疎かにしてほしくないと願うところです。

 問題は問題であるとしっかり認識をしたうえで、冷静な議論を期待せずにはいられません。

(追記 4月6日 9:13)

 法務省、大阪地検側の公式の回答が得られましたので、別記事ですが解説記事を用意しておきました。

地検特捜部は反安倍政権?大阪地検特捜部長、繰り返しメディアに捜査情報をリークか(New's Vision 18/4/5)

 また、冒頭のTwitterは衆議院議員・江田憲司氏の筆の滑りかと見られていましたが、地元・神奈川8区の江田氏後援者によると「江田さんはこの問題が混乱し国会が停滞しているのを憂慮していて、敢えて問題提起のために(マスコミに大阪地検が情報提供したことを)記述した、と聞いている」とのことでした。

 肝心の江田憲司氏からの説明や、江田事務所から公式の返答はありませんが、以上追記いたします。