前原誠司さんの果敢なチャレンジと、その失敗の代償としての「希望の党支持率0.4%」と

(写真:アフロ)

 先日、白井聡さんが現・希望の党の前原誠司さんに関する記事を掲載しておられました。

前原誠司氏の非凡(ヤフーニュース個人 白井聡 18/2/21)

 民進党を事実上解体し、小池百合子さん率いる希望の党への合流を企図して国民の期待感を背に自由民主党・公明党からの政権交代を一気に果たそうとした博打は、結果として失敗に終わりました。そればかりか、結党の中心人物であると同時に、希望の党失速をもたらした「排除いたします」発言を起爆した小池百合子さんには早々に「都政に専念」と遁走されてしまい、国民からの期待感は急速にしぼんでしまいました。

 2017年末には衆議院議員51名、参議院議員3名の計54名を擁しながら、その後の離党騒動などもあって政党に対する支持率も急落し、現在は希望の党支持率は0.4%、調査にもよりますが「国民が選ぶ首相にしたい人物」上位20名に希望の党からは代表の玉木雄一郎さんすら入らない始末です。

NHK世論調査

 一方、野党共闘路線で踏ん張っている立憲民主党も、結果として政党の支持率はいまだ8.6%にとどまり、こちらも一時の躍進ムードから一転「民進党の超えられなかった野党政党支持率15%の壁」どころか二桁に乗らず停滞しているというのが実情です。もちろん、共産党との選挙協力や候補者調整で選挙区では現状批判票の受け皿となり議席を伸ばすことは不可能ではないでしょう。しかしながら、万が一自民党が失政やスキャンダルなどによって大きく支持を減らし、立憲民主党と共産党が大きく躍進したときに、本当に共産党入りの左派連立政権へ立憲民主党が舵を切ることができるのか、というのはきちんと議論されるべき問題ではないかと思います。

 そうなると、元検事の弁護士・矢部善朗さんの意見が非常に効いてきます。安倍政権について批判的な態度をとる保守層の受け皿として、それまでは旧みんなの党や日本維新の会が果たしてきた役割を、希望の党が「魂を売らずに」受け持つことができるのか、という点です。安倍晋三総理に無批判なフリーハンドを持たせないためにも、政権交代の可能性を感じさせるというのは大事なことです。

 共産党に魂を売るというのは、野党共闘路線として「左旋回」した民進党の選挙方針が支持率の伸び悩みに直結していたことへの反省でもあるでしょう。確かに候補者調整することで共産党との共倒れは避けられ拾える議席は多くなるかもしれないが、本当に政権交代が可能なレベルまで議席を確保するまでのあいだ、民進党の政策は共産党の要望を受け入れざるを得ません。自民党も右から左までいる政党でしたが、民進党も左右の振れ幅の大きい政党でした。

 今回の前原誠司さんの英断の結果、民進党の左派は小池百合子さんに「排除」され、立憲民主党として民進党の左派が、希望の党として民進党の右派が別れて「野党政治の立ち位置がものすごく分かりやすくなった」こと、また希望の党への支持急落で「看板に頼らずにやっていける、特色と実力のある政治家の選別が進んだ」こととが、大変に重要であったと思うのです。

 安倍政権への穏やかな支持率の高さは、国民の生活の安寧に対する消極的な現状維持へのものであって、戦争や相場の急落など生活への大きな不安が出たときに一気に剥げ落ちる可能性のある数字であることは言うまでもありません。そのときに、野党共闘路線を堅持する左派の集う立憲民主党に自民党からの国民の支持が流れるのか、あるいは保守現実路線を採る希望の党に期待が集まるのかは、蓋を開けてみなければ分かりません。

 結果論ですが、前原誠司さんの英断によって野党政治が分かりやすくなり、野党に非共産の左派の有力政党と、非自民の保守政党とができて国民の選択の余地が増えたというのは歓迎するべきことです。一気に政権交代を目指すという前原さんの博打は外れたとはいえ、日本の現代政治に与えた影響は大きいと言えます。

 希望の党や前原さんがこれから為すべきことは、単に政党支持率の回復ということではなく、具体的な政策面で意味のある活動を継続することで抱えている有力な議員の実力に見合う期待感の確保にあると思います。やはり、政権交代を担いうる「責任野党とは何か」を突き詰めて議論し、各政策分野で着実に存在感を示せるようになってほしい、といったところでしょうか。

 逆に言えば、鳩山由紀夫さん、菅直人さんという微妙な政権が立て続けにやらかした旧民主党時代の禊が、前原誠司さんの博打の失敗によってようやく済んだ、と思うのですが。沈みに沈んでプールの底に足がついた状態から、如何に本来の実力の持つレベルにまで浮上できるのかを希望を持って見守りたいと思います。