スマホアプリ経由でマイナンバーそのものを民間事業者に投げて大丈夫なのか気になる話

(写真:ロイター/アフロ)

 総務省が発表した平成29年版情報通信白書によると、我が国における世帯あたりのスマホ保有率は7割を越えました。このままいくと近い将来には固定電話やPCの保有率を超えることはほぼ間違いない流れとなっています。

数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大)(総務省)

 こうした背景もあり、政府としてはスマホを使って公的なサービスを提供することについて非常に前向きであり、とくにマイナンバー関連施策との連携には熱心な印象です。

スマホでマイナンバー活用 政府、「公的個人認証法」改正へ(SankeiBiz 17/10/2)

マイナンバーカードは、個人番号を他人に知られるなどの不安から持ち歩きに抵抗を感じる人が多く、普及率は9%にとどまる。総務省はスマホ活用でカードの取得を促したい考えだ。

出典:SankeiBiz

 現状その普及に失敗していると解釈できなくもないマイナンバー及びマイナンバーカード施策を挽回するためにも、マイナンバー関連の諸々をスマホへ対応させるという取り組みは政府にとって最後の希望の灯火といった感じなのかもしれません。

 まあ、ここで挙げられている応用事例はあくまでもマイナンバーカードに納められている「電子証明書」データをスマホに移管して使えるようにしようということであって、「マイナンバー(個人番号)」そのものをスマホ内に保存しておくという話ではないので、セキュリティ面でそれなりの安全性を担保できる仕組みが実現できるのであれば悪くはないのかもしれません。まあ、スマホのセキュリティなんてものはどんなに頑張ってもザルな印象は免れませんので、いずれは残念な事故に遭う可能性もあるぐらいにユーザー側でも覚悟して使うのが良さそうですが。

LINEなどが監視されるAndroidマルウェア「Skygofree」が見つかる、周囲の音や会話も自動的に録音(INTERNET Watch 18/1/19)

 それはさておき、スマホにマイナンバーカードの電子証明書データを保管して活用という話は百歩譲ってOKだとしても、マイナンバーカードにある二次元バーコードをスマホで読み取って民間事業者へそのデータを渡すというアイディアは許可してしまって良いのでしょうか。

行政手続きをアプリで一括 転居や介護、企業が代行(日本経済新聞 18/1/15)

利用者が希望した場合のみ、企業にマイナンバーでの個人認証を認める仕組みだ。

(中略)

スマホでマイナンバーカードの2次元バーコードを読み取ると、運営企業が行政システムに接続して本人からの申請と確認する。

出典:日本経済新聞

 日経の記事によると「利用者が希望した場合のみ」という条件付きではありますが、民間事業者へマイナンバーカードの2次元バーコード情報をアプリを通じて提供することになる計画があるようですが、このマイナンバーカードの2次元バーコード情報というのは実はマイナンバーそのものであります。マイナンバーカードのQRコードが危険だというのは当初から一部の人の間では騒ぎになってきたわけですが。

マイナンバーカードの裏面QRコードを隠せ!(お金も心も満タンに!ブログPart2 16/7/2)

携帯電話の「QRコードリーダー」で読み取ったときには、もちろん個人番号が読み取れちゃいます。

出典:お金も心も満タンに!ブログPart2

 QRコードにあるマイナンバーそのものをスマホアプリで読み取ってそのまま民間事業者に提供するというシナリオはセキュリティ的にもあまり筋の良いものに見えないのですが、政府はもうこのやり方にゴーサインを出しているのでしょうか。マイナンバーはそもそも漏れるものとして運用されているエストニアみたいな状況を想定しているのであれば良いのですが。

 一方で、マイナンバーのやり取りについては自治体絡みの案件で取りやめになったという話もあったりします。

マイナンバー記載、不要に 企業への住民税通知書(東京新聞 18/1/16)

誤送付による情報漏えいが相次いだほか、通知書を管理する企業側の事務負担が重く、経済界や自治体が不記載とするべきだと訴えていた。

出典:東京新聞

 この件、乱暴に解釈すれば、情報漏洩などのセキュリティ面で心配する声が経済界などからも多かったため、わざわざ2017年度に始めた制度をたった1年で取りやめにしたということになりそうなんですが、スマホを通じて事実上のマイナンバーをやり取りする件については前向きなんですかね。なんとも不思議に感じます。まあ、それだけスマホについては皆さん信頼を寄せ期待しているということなのでしょう。

 スマホは素晴らしいですね。