LINEのここ最近の評判からかなり適当に若年層マーケティング主導でビジネス展開するリスクを考える

(写真:つのだよしお/アフロ)

 しばらく前に「高校生はもうLINEを使っていない」という切り口の記事がネット民の間で話題になっておりました。

「LINE未読200件」高校生がLINE離れしてインスタに向かう理由(BUSINESS INSIDER JAPAN 17/12/12)

 かなり乱暴に話をまとめると、今どきの高校生は仲の良い友人同士のコミュニケーションツールとしてInstagramのDM機能を使っており、LINEでアクティブな活用はしていないという話がまことしやかに述べられているわけですが、まあ今のところはそういう若者も世の中にはいるだろうぐらいに解釈しておくと丁度良いのではないかと思われます。実際、LINEの正味の利用者が主に若者で低下し始めているのではないかという話はマーケティング分野や広告出稿するクライアント筋からもたびたび聞かれる一方、メールやSMSに代わる連絡手段として日本国内では確固たる地位を築いている状況は容易に覆らないだろうという観測も出ていて、実にカオスな状態です。

 LINEがはたしてFacebookと同じようなSNSにあたるのかどうかということを考えると、本来はメッセージングツールであると見るのが正しいはずですが、グループ機能が拡張されて使われることが普及したため「閉じたSNS」的側面が大きくなってきています。その結果として、学校やママ友グループなどの連絡用として作られたグループが強制加入に端を発して同調圧力的意識高揚の場となり、本来は連絡に便利なメッセージングツールだったはずが単に面倒くさいSNSと化しているという話はあるのかもしれません。その延長線上で、閉じたコミュニケーションツールとして利用する場合は、別にLINEでなくともInstagramで充分代用できるとユーザーが考え始め、未読・既読問題のない緩い繋がりでいたいユーザーや配信される広告でギガが減ることを懸念することはあるかもしれません。

 Twitterのようにある程度匿名的なスタンスでも利用可能なサービスと異なり、LINEは原則としてスマホ端末に紐付けられた個人名義アカウントになりますから、一旦そういう面倒くさいグループに強制加入させられてしまったりするとそこから抜け出るのもそれはそれで実生活に影響してしんどいし、なかなかむつかしい状況です。LINEとしても、元々がメッセージングありきのサービスなので発信者の責任を担保するということもあってそういう縛りにしているのでしょうが、それが逆にユーザーからすると使いにくい感じる局面がある、というのはあるのかもしれません。そういった濃厚なコミュニケーションが食傷気味になってしまうあたりはFacebookも似た部分があります。そうした背景も考慮すれば、コミュニケーションツールを使い分けるというのはもはやスマホネイティブな世代であれば直感的にやっていることでしょうし、その結果なんでもLINEを使うということがなくなるという話を極端にふってみれば、先にあげた記事のようなノリになるのかなという気はします。

 で、先の記事の中で個人的に気になったのは次の部分でした。

「LINEが久しぶりに鳴ったかと思ったら、『広告かよ』って」(27歳女子)

出典:BUSINESS INSIDER JAPAN

 もはや高校生でもなんでもない大人(27歳)の感想なのでアレですが、メッセージングツールのプッシュ通知が広告というのはエンドユーザーからするとかなりネガティブな仕様です。LINEが基本的に無料サービスであるため広告展開で収益をというのはネットサービスというビジネスの観点からすればまったく当然の成り行きですが、ほとんどサービスを使っていない状況でこういう動作であると、やはりユーザーとしてはアプリをアンインストールする動機になってしまいそうです。アクティブでないユーザーをどう扱うかはネットサービス事業者としても悩み所であるとは思いますが、広告クライアントからするとこうした形でユーザーに広告が伝わると一番ネガティブな立場になってしまうのでさらに悩ましいところです。

 これまでの経験からするとSNSのようなサービスは世代を越えて長く生きながらえた事例が少ないように感じます。とくに若年層ユーザーは中学・高校・大学のように学校の在籍期間ごとでサービスを移り変わる傾向があると感じますし、そうした若いユーザーに依拠してしまうサービス展開は流行り廃れが早く長期の事業継続はなかなか大変だと思います。今のLINEがもしそうした若いユーザー中心で事業展開を考えているとしたらそろそろ賞味期限が切れるタイミングである不安はあります。昨今注目のスマートスピーカー戦略にしても同社は若いユーザー層をターゲットにしていそうな印象がありますが、そちらに向かうのはどうなんだろうという疑問は拭えません。

LINEのスマートスピーカー第2弾、Clova Friendsが12月14日に発売。LINEの人気キャラクターを採用(Engadget日本版 17/12/8)

 こういうキャラクターものは人々の嗜好のタイミングをはずすとかなり厳しいですよね。

 LINEの強みはおそらくGoogleやAmazonよりも日本市場に集中して特化できるところだと思いますので、スマートスピーカーにしても気分の移ろいやすい若者なんかよりも中高年を攻める方がもしかしたら有利かもしれないので介護ビジネスと連携なんてどうでしょうか。それではずれても責任は持てませんが…。

 コミュニケーションツールとしての完成度が高いがゆえに普及したLINEが、そのコミュニケーションツール以外の進化を遂げようとして埋没するリスクは常にあり、やはりSNSもコミュニケーションツールもブランドやユーザー体験に基づく一定の「寿命」があるのかもしれません。LINE Echoにせよサイクル事業への参入にせよ、それってLINEが本来ユーザーに提供するべきエクスペリエンスとして重要なのかというのは常に問われるわけであります。

 今夜は久しぶりにmixiにログインしてみたいと思います。