モバイルデバイスのトレンドはPC回帰?

(写真:アフロ)

 Let's noteからiPadに外付けキーボードの組み合わせ、さらにはスマートフォンのフリック入力での記事執筆と作業環境に合わせた書き方に変えて久しいのですが、それほど不便を感じたことはありません。しかし、世の中の趨勢的にはタブレットというデバイスはやはり失敗作だったということになるのでしょうか。

「Arm版Windows 10」ノート実機はiPad Proキラーだった ―― 米MSとクアルコムが協力する本当の理由(BUSINESS INSIDER JAPAN 17/12/11)

タブレット市場は年々縮少しており、今後成長する可能性が少ない ―― これがデバイス業界関係者の共通認識だ。

出典:BUSINESS INSIDER JAPAN

 なるほど、そうですか。そこで業界としてはどうやって次の稼ぎ頭を見つけるかということになり、満を持して登場するのがLTEモデム内蔵のスマホ用省電力チップを採用したWindowsマシンのようです。

クアルコムのチップを採用したWindowsパソコンは、スマホとPCの融合を加速する(WIRED 17/12/7)

米半導体大手のクアルコムが、同社のチップ「Snapdragon」を採用したWindowsパソコンをエイスース(ASUS)とHPが発売すると発表した。

出典:WIRED

 Appleから三行半を突きつけられて売上激減で買収も噂されるような状況にあるクアルコム(Qualcomm)、スマホ全盛時代を迎えてPC用OSであるWindowsの需要が縮小傾向にあるMicrosoft、そしてPCの売上減少で商売が厳しいハードメーカー大手のASUSやHPがタッグを組んで新しいノートPCを打ち出しすという流れは、穿った見方をすれば単なる負け組同盟による起死回生のギャンブル一発という印象も拭えません。その一方、やはりそこはこれまで業界で大きな商いを成功させてきたブランド大集合という趣もあるわけでして、腐っても鯛といいますか、IT業界的には注目せざるを得ないわけです。その実態やいかにと気になるところですが、現状をザックリと分析した記事がありまして、こちらがかなり参考になります。

明らかになってきたArm版Windows 10の課題とそのメリット(PC Watch 17/12/7)

今回発表されたArm版Windows 10を、失敗に終わったWindows RTの再来だという人もいる。しかしそれは誤解で、Arm版Windows 10はWindows RTとは完全に異なっている。

出典:PC Watch

 ご関心を持たれた皆さんにおかれましては詳しくは是非リンク先の記事本文を読んでいただきたいところですが、Microsoftとしてはまずは価格を抑えて対応マシンを市場に提供すべくWindows 10 Sを選んだということのようであり、残念ながら「手持ちの第7世代Core i7と比べてみたが、Officeの起動は俄然Coreプロセッサのほうが速かった」という程度のマシンパワーであるようです。

 ここ数年Microsoftは自社ハード製品でのビジネスに比重が高まってきており、PC Watchの記事でもその点が最後に指摘されておりました。

PC業界にとって、大きな注目点は、SnapdragonとArm版Windowsを搭載したMicrosoftのファーストパーティ製品はいつ登場するのかに移りつつある。

(中略)

PC業界ではMicrosoftのSurfaceブランドの製品は、Snapdragon 845を搭載してリリースされると信じられている。これを確認するすべはないが、その可能性は高いと言えるだろう。

出典:PC Watch

 「Snapdragon 845」というのはQualcommが来年出荷予定の次世代チップですが、MicrosoftとしてはASUSやHPの先行販売で市場の需要を見計らって一番良い時期に高性能なモデルを出して儲けようという感じでしょうか。

「Snapdragon 845」の詳細スペックが明らかに--写真やAI処理が向上(CNET Japan 17/12/7)

 いずれにしても、Arm版Windowsの真の実力は来年にならないとよく分からないというところになりそうです。なんとなくですが、現行Snapdragon 835搭載ノートを焦って買うと、その昔「ネットブック」などという名称でもてはやされたAtom搭載マシンと同じような失敗になりそうなので要注意かなと。

「ネットブック」はそれからどうなったのか(Timesteps 16/10/9)

 スマホのトレンドも一段落してきて、新しいもの好きなギークの皆さんにとってはこのArm版Windowsノートという代物は物欲を刺激するのに丁度良さそうな雰囲気ではありますが、はたしてモバイルデバイスのトレンドとしてのノートPC回帰はあるのかどうか。生暖かく見守りたいと思います。

 ただ、iPadを使っている私が言うのも何ですが、Paperというお絵かきアプリにApple Pencilというタブレット用入力デバイスを併用して自動読み取りアプリを入れればかなり簡単にプレゼン資料やマインドマップを作成したりすることができます。思い返せば「なぜノートPCを使わなくなったんだろう」というと、いちいち立ち上げる手間や、どんどん重くなって不要な機能が追加されていくサービス、そしてネットに常時接続していないと仕事の環境が手元になくなるというトレンドであったような気がします。ポケットWi-Fiは手放せなくなったけど、腰を落ち着けられる場所でしか開けないノートPCよりも、使いたいときにさっと使えるタブレットやスマホのありがたさや手軽さも捨てがたいんですよね。

 そう考えると、自分の生産性を高くするためにどういうガジェットを使うのか、デバイスはどうするのかはその人の仕事内容やスキルによってかなり変わってくるでしょうし、おそらくは最大公約数的な最適解など業界が考えるほどには存在しないのかもしれません。

 ただ、気が付くと仕事道具であるはずのiPadで子供たちが静かにドラえもんとか観ているのを見ると、一番仕事環境にいいのはそう長くない時間、子供に動画を見せておけるデバイスなのかもしれません…。