ドコモの事業拡大が着々と進みつつあるようです

(写真:MANTAN/アフロ)

 先日、NTTドコモが定例となる「2017-2018 冬春 新サービス・新商品発表会」を行っておりました。

ドコモが2017年冬・2018年春モデルを発表 「Note8」「XZ1」「arrows NX」など15機種が新登場(ITmedia 17/10/18)

 以前は端末の発表がメインとなっていたこの手の発表会ですが、スマホが普及したここ数年で国内のエンドユーザーは結局iPhoneしか期待していない空気が行き渡ってしまったせいか、いかに変わった新型モデルが出ようと実際の商戦には結びつかないのもあってあまり盛り上がらないような印象です。今回は一部で「屏風」と陰口をたたかれるようなかなりの変態端末も登場したようですが、これが広く世間で話題になるかというとそういう雰囲気は今のところあまり感じません。個人的には「面白そうだな」とは思うんですけど。

折りたたみ二画面スマホ『M』発表。ドコモ主導で誕生したグローバル端末(Engadget日本版 17/10/18)

 スマホがギークにしか使われなかった時代であればこれは相当騒がれたんじゃないかと想像されますが、ごく普通の家電製品の一つみたいな立ち位置になってしまった今となってはこういうキワモノはあまり求められていないような気がしなくもありません。

 それはともかく、今回のドコモの発表で興味深かったのは新型端末ではなく、いくつかの新しいサービスです。まず、このところ急激に日本国内でも新しいもの好きの間で話題となりつつあるAIアシスタント製品。

ドコモのAIエージェント、自然対話でradikoやdグルメなどが利用可能に(ケータイWatch 17/10/18)

スマートフォンに話しかけて利用する形。最初の対応サービスは、dヒッツ、dリビング、dグルメ、radiko。2018年1月以降には、離れた場所からこれらの機能を利用できる「ドコモ シンプルマイク01」も販売される。

出典:ケータイWatch

 ドコモもついにAI(人工知能)に乗り出してきたか、という感じがして非常に微笑ましい気分になれる一件です。しかも、それなりに予算も人員もかけて技術的にしっかりやろうという雰囲気を感じます。

 GoogleやAmazon、LINEなどが単体のスマートスピーカーという個別のハードで動作する環境を提供するのに対して、ドコモは同社製スマホあるいはタブレットからAIアシスタントを利用させるという形式にしたところに携帯電話会社としてのこだわりがあるでしょう。来年以降に専用ハードも発売するようですが、最初からスマートスピーカー的なデバイスを用意しないのが吉と出るか凶と出るか。AIアシスタントについてはドコモはかなり慎重に様子見しつつ実験として手を出すという感じでしょうか。

 一方でかなり勝負に出てきた感のあるのがオンデマンド動画サービスの拡大です。

ドコモ、月額780円で30ch以上が見放題の新映像配信「dTVチャンネル」。セット割も(AV Watch 17/10/18)

NTTドコモは、30チャンネル以上の専門チャンネルを視聴できる映像配信サービス「dTVチャンネル」を2018年1月からスタートする。ドコモ回線ユーザー向けの月額利用料は780円。キャリアフリーのサービスのためドコモ回線利用者以外も利用できるが、その場合の月額料金は1,280円。

出典:AV Watch

 このサービスを実際に提供するのはNTT系列の地上デジタル放送IP再放送・多チャンネル放送・VODサービス事業者のアイキャストということでして、これは完全にKDDIと同社連結子会社ジュピターテレコムのタッグに真っ向から勝負をかけた形になります。ドコモはしばらく前にスポーツライブストリーミングサービスの「DAZN」とも提携しましたし動画コンテンツビジネスへかなり注力しているのが分かります。さらにドコモは同社の動画サービスに対応する専用セットトップボックスも来年から提供する予定ですが、こちらのハードが中国の華為(ファーウェイ)製であるあたりは、我が国の市場に対する華為の進出ぶりがうかがえるという意味で注目に値するかもしれません。なお、中身はAndroid TVですし、他ならぬ華為製ですのでセキュリティ関係のしっかりしたアップデート提供があることを期待したいところではあります。うっかり変なバックドアでもないことを期待します。

報道発表資料 新たな映像サービス「dTVチャンネル」「ひかりTV for docomo」を提供 -新セットトップボックス「ドコモテレビターミナル」をあわせて開発-(ドコモ 17/10/18)

 また、ドコモはカーシェアリング事業にも手を広げることを発表しました。

マイカーを他人に貸して副収入、ドコモが「個人間カーシェア」11月開始(Engadget日本版 17/10/18)

 かなり乱暴に想像するに、カーシェアリングが急激に事業として美味しい展開になるということはあまり想像しにくいのですが、将来的に自動運転車が普及するような時代が来るであろうことを予測すれば、今からこうした事業にお手つきしておくのはかなり重要なんだろうなというところでしょう。「手を出さずに本格普及してしまったあとで乗り出すよりは、まだ市場ができていないうちに先鞭をつけておきたい」という考えでしょうか。ドコモが自らサービスとして提供するという個人所有乗用車を対象とした「マイカーシェア」は、ある意味でUber的なビジネスや自動車を使ったIoTのサービスやアプリケーションに対するドコモなりの回答ということなのかもしれません。事故などの対応をスムーズに行えるのかといった点も含めて大いに成り行きを注目すべき案件と思われます。

着々と国内で事業展開を進めつつあるドコモですが、一方でソフトバンクは海外で派手にやっているようでして、もしかして孫さんとしては国内でちまちまやるのが面倒になって海外から黒船形式で日本に攻め戻ってくる算段でも立てているのかもしれないですね。

ソフトバンク、SprintをT-Mobile USと経営統合か(ITmedia 17/10/16)

ソフトバンクのウーバー出資「来週にも合意」 ウーバー取締役(日本経済新聞 17/10/17)

 なぜかソフトバンクは企業内コミュニティエンジンのSlackにも投資を決めており、目についたサービスは見つけ次第お金をつけておく的な行動様式を担っているように思うのですが、キャッシュフローは大丈夫なのでしょうか。