自転車シェアサービスがにわかに盛り上がっているようですが

ヘルメットは被りましょう(写真:アフロ)

 先月、中国の自転車シェアサービス大手が日本市場でサービスを開始したということで話題になっておりました。

中国シェア自転車大手が日本参入、札幌など10都市で計画 現地では社会問題化も(SankeiBiz 17/8/21)

中国2強の一つ「Mobike(モバイク)」は札幌市で22日に事業開始のイベントを開き、23日に一般向けのサービスを開始。札幌市のほか年内には福岡市など計10都市に広げる計画だ。

出典:SankeiBiz

 中国本土における自転車シェアサービスですが、伝え聞くところの評価において毀誉褒貶が激しいと言いますか、ビジネス面で大きく市場が花開いたというサクセスストーリーのようなものが報じられると同時に、急速に普及が進んだ結果どうしようもないネガティブな状況が発生している点が世界中のメディアで大きく取り上げられているのはなかなか興味深いところです。

中国には広大な「シェア自転車の墓場」が生まれている――その異様な光景(WIRED 17/7/28)

「所有」の概念を書き換えるこのサーヴィスは、どうやらいいことばかりではなさそうだ。杭州にはおびただしい量の自転車が集められた「自転車の墓場」が生まれてしまった。

出典:WIRED

 直近の報道によると、シェア自転車無法地帯と化した中国では法的な規制による締め出しも各地で始まっているようです。

中国のシェア自転車に急ブレーキ、武漢などで新規導入禁止(ロイター 17/9/5)

中国中部の武漢市は、安全上の懸念から今後のシェア自転車の導入を禁止した。国営の新華社が4日夜に報じた。中国交通運輸省によると、上海、杭州、広州、福州、鄭州、南京の6都市も、新たなシェア自転車の導入を停止したという。

出典:ロイター

 まあ、光あるところ影もあるといったところでしょうか。今後、中国において自転車シェアサービスの抱える問題がどうやって解決されていくのかは気になるところですが、お国柄もあるので他の諸国には真似できないような強権発動があるのかもしれないですね。

 それはさておき、自転車シェアサービス先進国の中国から大手事業者が参入してきたことなどもあってなのか、我が国でもこうした事業を手掛けたいと名乗りをあげる企業がにわかに増えつつあるようです。

シェアサイクル参入ラッシュ――メルカリに続いてDMMも検討開始と発表(TechCrunch Japan 17/9/8)

 メルカリとDMMですか。どちらも既存の社会ルールやモラルなどと折り合いをつけて丁寧な施策展開をするというよりは、そうした古い考え方などを無視して周りに軋轢を生みつつも高い目標を目指して強引に我が道を行くのが得意なタイプですよね。これまでネット上のサービスであれば、そうした独特なやり方がそれなりにユーザーにもプラスな方向でアピールできてきたわけですが、リアルな社会生活の中で道交法といったルールに則りながら適切なサービスを継続して提供していけるのか大いに注目したいと思います。

 ぼんやりとした個人的な不安としては、東京都心部でのサービスに限って考えると、大量の自転車を駐めるためのスペースをどうやって確保するのかもありますが、それ以上に各ユーザーの自転車運転マナーなどが及ぼす社会的影響は大丈夫なのかというのがあります。道交法改正などで厳しくなったとはいえ、日本は自転車の交通ルールが事実上は無法状態に等しいため、無謀運転自転車による交通事故の増加などが懸念されます。

なぜ無法自転車は道交法改正後も放置状態なのか?(WEB CARTOP 15/7/24)

6月1日の道交法改定以後、自転車を取り巻く状況は変わっただろうか? 様々な面から状況を紹介したい。まず「ムチャクチャな走り方の自転車は減ったか」となれば、微妙である。クルマのハンドル握れば、6月1日前と全く同じくらいの頻度で逆走してくる自転車に遭遇する状況。

居酒屋の前に止まっている自転車も全く減らない。並走して走る自転車や、歩道をフルスピードで走る自転車だって以前のままである。もしかすると若干減ったのかもしれないが、少なくとも信号無視する4輪車やバイクは皆無に近いのに対し、信号守らない自転車と普通に出会う。

出典:WEB CARTOP

 当然、自転車シェアサービス利用における自転車事故は運転するユーザーに全責任が課されることになると予想されますがそれで大丈夫なのかということです。自転車シェアサービスを受け入れる自治体は、自転車利用にまつわる道交法ルール遵守の徹底や自転車専用レーン整備などをまずは推進しておく必要があるのではないかと感じます。海外からの観光客の利用も大いに見込まれるだけに、誰にも分かりやすい自転車運用ルールを作っていかないと今後不幸な事故が増加してしまいそうです。そういえば海外観光客目当てのレンタカービジネスでかなりグレーな案件ありましたが、自転車シェアサービスも似たような状況にならないことを願うばかりです。

【公道カート問題】外国人観光客の事故多発 都内では13件中10件(産経ニュース 17/6/5)

 この辺はもう時間が解決するというよりは、分別をどう守る大人を作るのか、ということになるわけですね。

 ただ、守った結果がメルカリやDMMによるシェア自転車市場の興隆だった、となると「お、おう」という気持ちになるのですが。