Googleのようなプラットフォームに依存したビジネスの危うさの話

 Googleはここ数年、Android端末をベースにして空間認識を実現するためのプロジェクト「Tango」を地道に進めており、昨年には大手メーカーも参画するなど今後の展開が大いに期待されておりました。

 ここでARとVRを一緒くたにすると怒られるのは分かるのですが、新しい表現系という意味ではこのところかなり統合的に扱われるようになっているようで、どちらも「そうバラ色の未来は見えない技術になりつつある」という厳しい評価になってきています。Googleも複数の開発を走らせたりブランドを構築するよりは、取捨選択と統合を図る方向にシフトしたのはロボット事業を見ても明らかなとおりでして、かなりドライな印象があります。

Google「Tango」の技術、レノボ担当者が語る長所と短所とは(ケータイWatch 16/12/22)

Googleは将来的にあらゆるモバイル端末にTangoテクノロジーを搭載するとしており、2017年には他社製のTango対応端末が登場する見込み。発表自体は2017年初頭にも行われるものとみられる。

出典:ケータイWatch

ASUS、Google Tango対応の「ZenFone AR」を夏に国内投入(PC Watch 17/4/13)

ZenFone ARは、市場のニーズに追従して生まれたものではなく、世界初のTango/Daydream両対応スマートフォンとして、むしろ業界のイノベーターであることをアピールした。

出典:PC Watch

 なるほど、TangoはこれからのICT業界を牽引する最新テクノロジーの一つとして将来を約束されていたように見えます。しかし、残念ながらGoogleにはよくあることですが、何の前ぶれもなく一方的にTangoは葬り去られることになります。

Google、Appleの「ARKit」対抗SDK「ARCore」リリース UnityやUnrealで開発可能(ITmedia 17/8/30)

Googleはこれまで、特別なハードウェアを必要とするARプラットフォーム「Project Tango」でARに取り組んできたが、「ARCoreは過去3年間のTangoでの取り組みの上に築かれた」としている。Project TangoのWebサイトには「GoogleはARCoreでAR開発を続ける」とあるので、Tangoは終了するようだ。

出典:ITmedia

 新しく発表されたテクノロジーであるARCoreは、従来のTangoよりも様々な点で優っているようですが、これまでTango対応デバイス開発に付き合ってきたLenovoやASUSの関係者は相当面食らったのではないかと想像してしまうのですが実際のところはどうなんでしょうか。ダメと判断したら躊躇せずにプロジェクトをやめてしまうのは、それはそれで正しいビジネスのあり方ですが、さすがに今年の夏に発売したばかりの新製品がわずか数カ月でほぼ役立たずになってしまうハードメーカーとしてはかなりやるせないものがあるのではないかなと。Googleとの付き合いはそれなりの覚悟がいるなと改めて思い知らされるものがあります。

 こういうことがあったから記事になったのかどうかは分かりませんが、ちょうどタイムリーな論考記事が日経にも掲載されておりました。

UUUMもパナ新製品も… グーグル依存に潜む死角(日本経済新聞 17/8/31)

上場2日目を迎えた「ユーチューバー」のマネジメント会社、UUUM(ウーム)の初値が31日に付いた。初値は公開価格の3.3倍と動画配信市場の成長期待を示した。30日にはパナソニックが初の人工知能(AI)スピーカーを発表している。華々しくデビューしたUUUMとパナソニックの新製品には共通点がある。IT(情報技術)の巨人、米グーグルのプラットフォーム(基盤)に頼る点だ。新興、伝統問わず日本企業に共通の課題が浮かび上がる。

出典:日本経済新聞

 記事の最後は「日本企業が米国勢に生殺与奪の権を握られないための知恵比べは続く」という締めになっていますが、これは別に日本企業に限った話ではなく、今や世界中のほとんどの企業やサービスがGoogleをはじめとしたいくつかの巨大プラットフォーマーに命運を握られているも同様な案配となっておりまして、どうしたものかと頭を抱える類のなんともいえない思いもあります。先日もGoogleのちょっとした運用ミスが日本国内のネットサービスに多大な障害を引き起こしたのは記憶に新しいです。

グーグルが謝罪 大規模ネット障害、装置の誤操作が原因(朝日新聞 17/8/26)

 日経記事が提唱する“知恵比べ”だけでなんとかなるような話であればいいのですが…。