Facebookが動画市場に本格参入

(写真:ロイター/アフロ)

 しばらく前にFacebookがなんらかの動画サービスを開始するのではないかという憶測が報じられておりました。

Facebook、「テレビ番組」を8月に開始か--YouTubeとNetflixの中間を目指す(CNET Japan 17/7/27)

Facebookは、テレビ番組のような初めての一連のエピソードを8月に配信開始すると報じられている。Bloombergの記事によると、最初に配信されるのは、低コストで短めの番組になる見込みだという。よりハイエンドな番組はその後に予定されている。

出典:CNET Japan

 で、ほぼ事前にリークされた通りのサービスが当初は米国内で限定されたユーザーから順次提供という形でスタートする模様です。

Facebook、テレビ業界を震撼させる動画タブ「Watch」を導入(Business Insider 17/8/10)

「Watch」と呼ばれる新しいタブでは、大量のオリジナル番組を提供すると事情に詳しい関係者が明らかにした。同社が提携する出版社やコンテンツ制作会社から、まずは約40番組がランナップされる。

(中略)

同社は、高品質な動画は、ユーザーをつなぎ留めるために重要なものと位置づけている。特に、競合のSnapchatに流れる若い世代を引き止めたいと考えている。また、これまでテレビが独占していたブランド広告を獲得することも目的の一つだ。

出典:Business Insider

 Facebookとしては、既存の雑誌に代わるメディアとしてのInstagram、そして既存のテレビに代わるメディアとしてのFacebook Watchという戦略で、ブランド広告を一気に全部持っていく気満々なのかもしれません。はたしてその思惑がどこまで通用するのかは今後の成り行きを見守るしかありませんが、とりあえず今後しばらくは人気YouTuberの引き抜き合戦みたいなものが起きたりするのかもしれません。

 なお、日本市場のこちら方面は、我らがサイバーエージェントとテレビ朝日が仕掛ける「AbemaTV」が頑張っております。

Abema TVが2,000万ダウンロード突破。オリジナル番組強化(AV Watch 17/8/8)

映像配信サービス「AbemaTV」は、8月7日時点で、アプリが累計2,000万ダウンロードを突破したと発表した。

(中略)

11日からの夏休み期間には10代、20代の若者を中心とした視聴者に向け、人気コンテンツの一挙放送や特別番組などをラインナップする「SPECIAL WEEK」を開催予定。今後、「豪華俳優陣と制作スタッフ」によるオリジナルドラマの制作も行なうなど、コンテンツや機能を強化していく。

出典:AV Watch

 サイバーエージェントがこのまま「AbemaTV」の投資負担に耐えられるのか、社長の藤田晋さんが引き続き情熱を注ぎ込み続けられるのかは微妙なところで、個人的には良きところでKDDI(au)などの通信会社がサービスを巻き取って「上がり」を狙うんじゃないかと思ったりもしますが、少なくともFacebookやNetflixの戦略とは異なるために独自の展開を進めざるを得ないのでしょう。また、ドワンゴの「ニコニコ動画」も完全にピークを過ぎ、同様にサイバーエージェント系のOpenrecやAmazon系のTwitchにユーザーをごっそり奪われている格好で、文字通り日本国内も戦国時代の様相を呈しています。

 FacebookのWatch戦略ではいかに「若い世代」にアピールできるかが鍵という印象でしたが、それは日本も変わらずでAbemaTVも「10代、20代の若者」へ照準を合わせたマーケティングが謳われており、これからの動画市場というのはこうした若年層へのマッチングをいかに効果的に実現するかがグローバルなレベルで課題なのかもしれません。また、FacebookにしてもAbemaTVにしても、オリジナルコンテンツを制作・提供することに力を入れているあたりも似ており興味深いです。

 今のところFacebookのWatchがそのまま日本市場で展開される可能性はまだ低いと思われるので、AbemaTVの国内における立場を脅かすようなことになる心配はしばらく無用でしょうが、YouTubeあたりが日本国内でもう少し商売っ気を出してきたりすると何か変わるのかもしれないですね。まあ、それもあまり無さそうですが。

 なお、日本のお年寄りは、毎日平均5時間近くテレビを観続けています。日本の地上波は、完全にシルバーシフトしている状況ですので、年代層によってリテラシーや情報摂取ルートの分断はさらに進みそうな気配がします。悩ましいですね、本当に。