稲田朋美防衛大臣、辞任の意向を固める謎展開

(写真:つのだよしお/アフロ)

 今度は防衛大臣・稲田朋美女史が辞任の意向を固めるというニュースが入ってきました。それに先だって、防衛次官の黒江哲郎さんも更迭が発表され、陸上自衛隊トップの陸上幕僚長・岡部俊哉さんも辞意ということで、防衛省は28日の特別防衛監察の結果の公表を控えて辞任・更迭人事が大変なことになっています。8月早々には安倍政権の内閣改造が行われ防衛大臣も交代の見込みでしたが、騒ぎが拡大しています。

稲田防衛相 辞任の意向固める(NHKニュース 17/7/27)

PKO日報問題 防衛事務次官と陸上幕僚長が辞任へ(テレビ朝日 17/7/27)

陸上幕僚長、引責辞任へ 南スーダンPKO日報問題(朝日新聞デジタル 17/7/27)

 このうち、破棄したとしていた南スーダンPKO(国連平和維持活動)の日報が実際には保管されていた問題については早期から陸上幕僚長の引責は不可避と見られていたものの、防衛省内で一連の問題について制服組(軍人さん)だけが責任を取るのはおかしいという話もあり、背広組(事務方さん)も辞任をするのではないかという観測は確かにありました。ところが、ここで稲田女史も大臣一緒に辞意というのは微妙な話で、28日の特別防衛観察の結果を見てからすべてを背負って辞任したほうが良かったのか、内閣改造での更迭人事と見られる前にここで沈んでおいたほうが良かったのかは意見が分かれるところであります。

 それだけ本件は重要な事案なわけですが、火種は一か月前の都議会選挙で、自衛隊員やその家族の多い選挙区で稲田朋美女史が防衛大臣として都議選の自民党候補の集会で応援演説したときの発言で「ぜひ当選を、お願いしたい。防衛省や自衛隊、防衛相、自民党としても、お願いしたいと思っているところだ」などと踏み込んだ内容があったため問題視されたというのがやはり大きいと思われます。この失言だけが理由ではありませんが板橋では2人立った自民党候補が両方落選するなど、批判は大きく高まったことはまだ記憶に新しいところです。

 明らかに防衛大臣という重要な閣僚の器では(現段階では)稲田女史はなかったという話だけでなく、安倍政権の任命責任を巡って内閣支持率の一段の下げを誘発した張本人であったことを考えると、もっと適切な場で何らかの責任を負って辞任という流れが良かったのでしょう。しかし現実には、陸幕長と次官両方のクビを飛ばして稲田女史の責任を免責する形に見えてしまうので、まあすっきりしない辞め方ではないかと思うんですよね。

 そうなると、内閣改造後も含めた防衛大臣の後継人事にかかるわけですが、後任は現在かなり揉めているようで、小野寺五典さん、中谷元さんら防衛大臣経験者を充当する人事が想像されつつも「支持率が低迷しても憲法改正に拘泥する安倍政権は泥船」という認識もあるためか、どこの陣営もあまり盛り上がっていません。テレビで観測気球でも上がるのかもしれませんが、現段階ではいまなお不明です。

 それにしても、本来であれば防衛大臣は重要閣僚であり、いま日米や日露で2+2閣僚級会議をやるよという話が出ているのは、つまりは安全保障の基本はどこの国も防衛大臣と外務大臣という責任者が支えるということを意味します。しかしながら、いまの安倍政権では中堅議員のポジションとして防衛大臣が位置していると海外から見られてもおかしくない人事になっています。

 おりしも、民進党代表の蓮舫女史が辞意を表明し、あちこちでタガが外れてきている状況なのかもしれませんが、政治が混乱して重要な各種政策審議が止まることのないよう願うのみです。

民進党代表・蓮舫女史が、代表辞任の意向を伝える(追記あり)( Y!ニュース 山本一郎 17/7/27)