日本トリム「水素水に対する中傷」で株サイトに抗議

以前から水素水ビジネスについては、健康に対する効果がイマイチ謎な状態のまま、売り文句として「ダイエットに効果がある」などの表記が繰り返され、ついには国民生活センターから水素水販売業者に対して表示の改善を求められるという事態に発展しました。

水素水「やっぱりただの水」 国民生活センター調査の唖然(J-CAST 17/3/3)

水素水商品の広告「根拠なし」 消費者庁、3社を処分(朝日新聞デジタル 17/3/3)

確かに一般的な医療知識のリテラシーをもってすれば、飲料水にダイエットに貢献するほど多量の水素が溶け込むとは考えづらく、水素水ビジネスがその周辺の機器も含めてインチキが含まれていると広く指摘されても仕方がない状況に陥っているように見えます。

先日、そのような水素水関連ビジネスについて記事を掲載していた超人気サイト「市況かぶ全力2階建」に対し、水素水を発生させる機器などを製造販売している東証一部上場企業の日本トリムが記事の削除を求める申し立てをしたとされ、物議を醸しております。

アルカリイオン水を電解水素水と高らかに謳う日本トリム「国民生活センターが発表した水素水の風評による影響が発生しました」(市況かぶ全力2階建 17/1/30)

電解水素水で東証1部までのし上がった日本トリム、怪しい水素水ブームの延焼防止に「誹謗中傷や風説の流布には法的措置」と初期消火を開始(市況かぶ全力2階建 16/5/26)

この問題で悩ましいのは、日本トリム側の主張として「日本トリムが製造販売する電解水素水整水器は、胃腸症状改善の効果が認められた管理医療機器に指定されている」ので、今回の国民生活センターが広告表示の改善を求めるような実態の乏しい水素水ではなく、医学的な根拠がきちんとある製品なのだ、と主張している点です。実際、日本トリムの言い分は相応に正しいとも感じます。

一方で、この日本トリムの主張を十分に満たすと思しき論文は日本老年医学会の「水素分子の生理作用と水素水による疾患防御」(大澤郁朗;日老医誌 2012;49:680―688)ぐらいしか見当たりません。他にもいろんなデータを研究機関と連動して調査しているようですが、外には具体的なエビデンスとして開示されていないというのが実情です。これでは日本トリムが主張する内容をきちんと検証することができません。見る限り、電解水素水によるDNAの酸化ストレスの軽減効果が例えば尿検査や発汗採取などで毎時調査するようなこともしていないという点で、そこまで重要な医学的根拠と言えるのか良く分からない状態に見えます。

少なくとも、電解水素水の継続的な飲用が胃腸症状改善の効果があると言いつつも、他にもっと効果がありコスト比で優位な改善方法がたくさんあるにもかかわらず、乏しいように見える医学的根拠で安くもない水素水製造機器を売るビジネス自体に疑いの目がかかることは仕方のないことではないかと思われます。もちろん、真水をたくさん飲むことは一般論として健康に悪いはずはないので、単に水素水を摂取したかどうかで見るのではなく、尿や発汗の状態や、電解水素水ではない真水を飲んでいる被験者との比較といった、それなりに大掛かりな調査研究が必要な分野なのではないでしょうか。

例えば、日本トリムのセールス画面にある「水素たっぷり 還元作用(抗酸化性)のある水素をたっぷり含んでいます」と記述されていて、おそらくは水素そのものに抗酸化作用があることは事実なのでしょうが、健康に良いと具体的に立証されていると日本トリムが主張するのであれば、「どのくらいの量を飲めば胃腸症状改善の効果があるのか」は明示されなければなりません。しかしながら、例えば「整腸に効果がある」と具体的に示してしまえば薬機法に抵触する可能性もあるので、サイトでは「あくまでもお客様個人のご感想であり、効果効能を保証するものではありません」と記述せざるを得ない、というのが実情ではないかと思います。

実際に、本当に身体に負担なく整腸作用があり、抗酸化性が立証された機器であれば、それこそ医療機関に大量導入されてしかるべき電解水素水整水器の導入事例があまり見当たらないのは何故なのでしょう。むしろ、日本トリムが本当に胃腸症状改善に効果があると信じて主張しているのであれば、前述のように尿検査なども含めた調査をしっかりと行い、堂々と医療機器としてビジネスをすればよいのではないかとすら感じます。

なにぶん水素水はブームになりましたので、老舗として日本トリムが長年取り組んできたビジネスが明らかにいかがわしいものと一緒くたにされ、風評被害が起きていると怒りたくなる気持ちも分からないでもありません。日本トリムのいう電解水素水は、きっと身体に良いものであり、少なくとも何らかの害をなすものではないのでしょう。ただ、日本トリムがこぶしを振り上げる割に、日本トリムが本来行うべき主張があまり浸透せず、かえって水素水全体に疑問を重ねて持たれ、懸念の解消どころか拡散にいたってしまうのは残念なことです。

文字通り、水素水を適当な売り文句つけて食い荒らした不法業者と日本トリムをごっちゃにするべきではないと感じる一方、安易に健康に良いと結び付けてビジネスを進めてしまい、引き返しがつかなくなっている部分がありそうです。どうせなら、フィルターがきちんとついていて不純物が取り除かれ、(イオンではなく本来の意味での)ミネラルが豊富だというところまででビジネスをしていれば、こういう騒動に日本トリムが巻き込まれることは無かったのではないかなと感じます。

水商売ですから、こういう当たりはずれはあるのかもしれませんが。