「キャバクラ版UBER」を称賛するベンチャー界隈に救いはあるのか(追記あり)

(写真:アフロ)

ただのコンパニオン派遣をスマホアプリでCGM風にやるサービスを発表すると、ベンチャー界隈の集いで5位に入ってしまうんですよね。

ひところ話題になっていた株式会社ハイパーエイト(代表:五十君圭治さん)の事業は、良い意味で言えば街コンの延長線上なんですが、事業化してサービスとして金を取るぞとなれば、当然法の網にかかるタイプのネタになってしまうわけですよ。

画像

IVS 2017 Spring Kobeのピッチコンペティション「LaunchPad」の優勝は、VRソーシャルルームアプリ「cluster.」が獲得(The Bridge 17/6/7)

これまでに「mespo(メスポ)」や「タベニーク」といったサービスでも紹介したことのあるハイパーエイトが展開する、新たなインターネットサービス「LION Project」。

Facebook Messenger のボットとのやりとりで、イベントの2次会に女子を呼び出すことができる「キャバクラ版 UBER」を展開。

客単価 2.7 万円、30日以内のリピート率68%。今年の2月のローンチ以降、MoM の成長率は40%。820名以上の女性が登録している。

「キャバクラ版 UBER」を自称していますが、こんなのがベンチャー系イベントのビジネスコンテストで5位に入りましたとニュースになってしまう世界です。大丈夫なのでしょうか。

最初この話を聞いたとき、私は「まさか実際にスケールさせるようなビジネスにはさせないだろう」と思っておりました。単なる風俗ですから。ましてや、酒席に呼び出されて饗応をする前提なので、仮にスマホで女性が集まっていたとしても対価が支払われるのであれば風俗営業法上の接客業務受託営業に当たります。せめてカネを取らなければと思うわけですけど、堂々と呼び出した男の側からカネを取っているわけですからどう見ても風俗です、本当にありがとうございました。どうも現段階でも実質的に無届のようなので、これらの記事や業者の書き込みが事実なのであればモグリ営業で摘発待ったなしですね。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

なお、これらの業務においては「マッチングさせているだけ」だから「風俗営業とは言えない」とはなりませんし、店舗を構えていないから問題にならないとか、請負契約をしていないといった言い逃れは効きません。実質的な請負契約を締結しないまま「利用規約」で女性側をマッチアップしてしまっているため、偽装請負が指摘されます。したがって単にFacebookでの本人確認では不適とされ、テレフォンクラブやデリバリーヘルスと同様に、請負者本人の確認義務が必要になります。

画像

登録する女性を20歳から26歳までとしたうえで、「とてもレベルが高いです」と標榜して、さらに女性サイドには「男性の入会審査もしっかりしています。経営者や役員の方ばかりです。また、フリマアプリのようなレビュー制度があるので変な男性はご利用できなくなります」などと宣伝しているのですから、場合によっては当局からより悪質性が高いサービスとみられるかもしれません。

ちょうど昨日こんな記事を上げたわけなんですが、ちょっと正面からリーガルチェックしてみれば違法であることがすぐに分かるものが数多くあります。スマートフォン向けアプリなどでマッチングしたら貸金業法や風俗営業法は潜脱できるものは少なく、AirBnBですら、旅館業法を突破できずに特区でやるしかないとか、逆に特区で実現するけど千代田区は区議会でブレーキをかけるなど、一種の2000個問題みたいな自治体ごとにビジネスの規制が異なるということも容易に起き得るわけです。

ガセネタ医療情報や問題フィンテックなどの事例からベンチャー企業の順法精神や倫理観を考える( Y!ニュース 山本一郎 17/6/5)

四年ほど前にも、テクノロジーやリーガルとは縁の遠そうな人たちが集まりやすい「イノベーション」「スタートアップ」「ベンチャー企業」といったキーワードを掲げて独特の雰囲気を作り上げていることは警鐘を鳴らしてきたつもりです。ただ、明らかに違法なものをベンチャー界隈が祀り上げたり、世の中を良く知らない若者をけしかけて起業家としてカネをつかませバイアウトの手数料を稼ぐ具にするような事態が横行しているのは憂慮されるべきことです。

(追記 23:43)

本件記事で複数のご指摘があり、「風俗営業法上の届け出以前にコンパニオン派遣として偽装請負扱いになり、本人確認の義務が業者側につくので、本件記事のように注意喚起ではなく違法そのものなのではないか」という見方もあるようです。一部記事を訂正の上、追加取材を行い、必要があるようでしたら続報を入れたいと思います。