【WWDC】AIホームアシスタント的なデバイスが発表されて話題になればなるほど気になること

(写真:ロイター/アフロ)

Appleが毎年恒例の開発者向けイベントWWDCを開催し、基調講演を通じて色々と新製品や新サービスの発表をしておりました。

Apple WWDC:初日の発表を総まとめ(TechCrunch Japan 17/6/6)

概ね各所で事前に出ていた予想通りという印象でもありますが、さすがに開発者向け発表がメインということもありVR/AR方面に向けてのアピールがそれなりに堅実な感じでなるほどと思いました。

実績がそれなりにあって、見栄えがするものと言われるとそういうラインアップになるのは致し方のないところでしょう。

AppleがついにVRに参入。VRマシンとしてMacという選択肢も増えるのだろうか?(ギズモード・ジャパン 17/6/6)

iOSに「ARKit」登場 iPhone、iPadで使える世界最大のARプラットフォームへ(ITmedia 17/6/6)

エンドユーザー含めて誰にでも分かりやすい派手な話題というところでは、下馬評通りにAppleもいわゆるスマートスピーカー、もしくはAIホームアシスタント的なデバイスとして「HomePod」なる製品を発表してきたのですが、こちらは多くの人々が期待したものとはトーンが微妙に異なる方向性でのアピールになっているような気がします。

アップル、アシスタント機能も備える宅内向けスピーカー「HomePod」、349ドル(ケータイWatch 17/6/6)

アップルでは、iPodやAirPodなどポータブルでの音楽再生環境に注力してきたが、今回、家庭内でいかに楽しめるか、という視点からHomePodを開発したという。

出典:ケータイWatch

確かに「楽しむ」を前面に出してきた雰囲気は感じます。

それもあって、どうやらAppleはいまのところ、このスマートスピーカーについてはAIアシスタント機能よりも音楽再生装置としての魅力をメインに打ち出しているようです。かなり穿った見方をしてしまうと、先行するAmazonやGoogleに比べてAppleは実用を重視するAIアシスタント機能の開発が遅れているため、そちらはあまり触れたくなかったということなのかもしれません。いずれにしても実際の製品発売は年末予定であり、製品としてはまだほとんど何も出来ていないに等しいのだろうなとは想像されます。

それはともかくとして、HomePodの差し当たっての発売予定地域が「米国、英国、オーストラリア」に限定されているあたりが気になるところです。いずれも英語圏であることからも想像できるように、AIアシスタント的なものを売りにした製品になってくると、やはり言葉の問題が一つの大きなハードルになるのだなと実感せざるをえません。Googleは同様なAIアシスタント機能を備えたスマートスピーカーを年内までに日本で発売する意向を示していますが、一方でAmazonは今のところ未定です。

グーグル、スマートスピーカーを日本で年内発売(日本経済新聞 17/5/18)

今後、こうしたAIアシスタント的なものが利用される範囲はどんどん拡大していくことが予想されますが、そうした際にやはり言葉の壁は大きく立ちはだかることになりそうです。どうしても英語圏がまずは優先され、続いて市場価値が大きいと判断される言語圏から順次対応されていくことになるでしょうが、時勢を考えれば英語の次にプライオリティが高いのは中国語というのはまず間違いないでしょう。一方で日本語はどういう立場に置かれるのかちょっと想像するのがむつかしいです。日本が世界経済において大きなプレゼンスを発揮できていた時代であればあまり不安はなかったのですが、これからの日本が過去と同じように遇してもらえるかというといろいろ悩ましいところはあるのではないでしょうか。

こうなると日本語で動作するAIアシスタントは日本が独自で開発していくしかないのかもしれませんが、そうすると必然的にガラパゴス的な進化となってしまう可能性もあるわけでしてそれはそれで問題がありそうです。

これまではたとえ言葉や社会文化に大きな違いがあったとしても、マニュアルの翻訳など比較的簡単な調整を行うことで土台となる基本設計は同じままグローバルに通用する製品を実現可能でしたが、今後はAI抜きでは成立しない製品が当たり前になってくるわけで、そうなると国や地域が異なると導入できないという事態が今想像できる以上に多発するのかもしれません。もちろんAIがさらに理想的に進化すれば言語の壁がなくなる時代も来るはずですが、しばらくは言語に起因したIT進化の格差が生まれそうかなと感じます。