AIの導き出す最適解が必ずしも人間にとって気持ち良い最適解ではないらしいという話

Googleの開発したAIが囲碁の対局において現在最も強いとされる人間の棋士に対して3連勝したということが話題になっておりました。

「AlphaGo」という“神”の引退と、人類最強の19歳が見せた涙の意味:現地レポート(WIRED 17/05/28)

囲碁という創造の領域がもはや人間のみに属さないと証明された

(中略)

囲碁という4,000年の歴史をもつ文化を棋士たちがいかに発展させられるかは、AlphaGoのデータがいかに活用・公開されるかにかかっている。

出典:WIRED

いや、これはなかなか凄いことですよ。

もはや囲碁という限られたルール(完全情報ゲーム)の中では、人間はAIに勝つことは困難な時代が到来したようです。当然異論は大いにあることとは思われますが、囲碁の世界においては“シンギュラリティ”が実現したという見方もできるのかもしれません。

注目したいのは、この囲碁に特化されたAIであるAlphaGoの開発においては、AI同士を対局させたということでして、その対局データの一部が既に公開されており、棋譜を見た囲碁好きのネット民による感想がなかなか興味深いものとなっていました。

Googleが囲碁ファンに「AlphaGo同士の対局データ」を置き土産。棋譜が意味不明すぎると話題に(IT速報)

序盤からのこのヘンな石運びでもヨミが入って打ってるわけだが

こういう打ち方が正しい(最善?)と分かっても人間が半端にこれを真似ることは無理

(中略)

公開された対局見てるけど

手順の必然性がさっぱり分からんな

こんな意味不明なゲームだったのか碁は

出典:IT速報

どうやらAI同士による囲碁勝負というのは、これまでの長い人類の歴史の中で培われてきた智恵では到底至ることのできないような理屈によって最適解を導き出しているということのようですね。数学であれば、式は美しくないし意味のなさそうな展開をやたらにしているけれど、とにかく出てくる答えはいつも間違ってないみたいな感じでしょうか。突き詰めれば人間の美意識みたいものが無駄であるというAIなりの回答かもしれませんが。

こういう事例から想像するに、AIが出してくる解がたとえどんなに的を射たものであろうと、ヒトがその解を見たときに間違っていると直感するような事態はそこそこ起きそうですし、その結果色々と軋轢が生じる可能性は避けがたいように感じます。我々の日常生活の中でAIの活用はますます進むでしょうが、そうした軋轢が生じた際に、何を根拠に判断して調整していくのかが大きな課題となりそうです。

ソフトバンク、新卒採用にAIを活用 エントリーシートの評価を補助(日本経済新聞 17/5/29)

AIの活用でより公平な評価の実現を目指すほか、人事担当者がエントリーシートの確認作業に充てていた時間を削減することで面談など対面での採用活動により多くの時間を振り向ける。

出典:日本経済新聞

人事採用においてのAI活用ということですが、もしも今後採用に直接かかわる部分があるとするならば、そのAIの判断が人事担当者に納得のいかないものとなる可能性は当然あるでしょう。「補助」という言葉がありますから、いまのところ事務作業の効率化レベルにとどまり、最終的な判断は人間によって下されることは間違いありません。ただ、将来、本格的な人工知能による採用人材のスコアリングなどが実現した日には大変なこともあり得ます。AIが良しと判断した採用候補を人間の人事担当者が否と判断した後に、その人材が他で優れた成果を出したりすると色々と波紋を呼ぶことになりそうです。また、その逆にAIが否とした候補者を人事担当者が覆して採用した結果、使えない人材であることが後から判明してもかなり問題となりそうです。なかなか怖い世界になりそうな気がします。

さらには応募側もAIを使ってエントリーシートを作成して書類選考を突破しようとする可能性もあり得なくはない話です。

Google アシスタントが日本語で Android 端末に登場(Google 17/5/29)

Google アシスタントは、知りたいことを調べたり、やりたい事をサポートする、あなたのための Googleです。Google がこれまでに培った自然言語処理の技術で、あなたの言葉を理解し、まるで人と話しているように、自然に会話できるようになりました。さらに、機械学習やGoogle の様々な製品を組み合せて、あなたの一日をサポートします。

出典:Google

日経の人事システムはIBMのWatsonを起用するようですが、GoogleのAIとどちらが上手なのかAI同士の勝負を楽しめる日がやって来るのかもしれません。

突き詰めれば、人工知能による人間への差別というのは容易に起こり得る未来に対して、いまの人間ができることは何か、ということなのだと思いますが。さてさて。