小池百合子都知事に踏み絵を迫る『築地』土壌汚染報道

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

5月25日、築地市場の表土の汚染状況の調査結果が明らかになり、この内容についてや、いわゆる「豊洲移転問題」への関連について、かなりの物議を醸しています。

築地市場の土壌から基準上回る5種類の有害物質(NHKニュース 17/5/25)

この調査結果が悩ましいのは「豊洲市場への移転問題の是非」、つまり築地市場の改築案と豊洲市場への移転案のどちらが好ましいのかというレベルではなく、表土に汚染が出た以上、築地で生鮮食料品を扱う市場を営業することそのものが望ましくないという話になる点です。豊洲市場は盛り土のありなしで大騒ぎとなりましたが、基本的には土壌汚染対策法で指定された50cmを上回る厚さの土壌を入れ替えて表土には汚染が出ていない状態であり、コンクリートで遮蔽した下に流れる地下水の汚染が「飲料水に適するかどうか」という極めてハードルの高い品質を要求していたものとは比べ物にもならない状況であると言えます。

すでに今日25日には「豊洲市場における土壌対策等に関する専門家会議」が見解をペーパーでまとめており、結論から言えば「建設工事の全区域で(汚染物質の)環境基準超過が確認されており、地歴からはそれらの原因が推定できないことから、敷地内の他の区域についても似たような状況にあることが懸念される」ということになります。

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これから具体的な汚染状況を確認するために、築地市場の地中まで堀り進むボーリング調査も行われますが、かねてから指摘されてきた通り、築地市場はアメリカ軍のクリーニング工場が位置していたり、蒸気機関の鉄道操車場であったことも考えると、一定の汚染は地下にも存在していて何もおかしくないという前提に考える必要があります。いずれにせよ、本来であれば「表土に環境基準を超える汚染が確認された」うえに、築地市場のような開放された空間で生鮮食料品を扱う以上は、いままでも、かなりの汚染物質が築地市場を通じて食卓に届いてしまっていたことは留意するべきです。

そのうえで、今年2017年7月2日に実施が予定されている都議会選挙があります。この選挙では「豊洲新市場への移転問題」という大きな懸案事項がありますが、これだけの騒ぎであるにもかかわらず、小池百合子都知事率いる都民ファーストの会は、本件豊洲移転について具体的な方針を策定していません。

豊洲移転の是非示さず 都民ファーストが都議選公約(日本経済新聞 17/5/24)

そもそも豊洲新市場への移転が決まっていたところへ、小池百合子女史が都知事に就任してから共産党の風評に乗り、豊洲市場を無駄遣いと断じたうえでその開場を延期させ続けてこんにちまで来てしまった以上、これを小池女史が率いる地域政党である都民ファーストの会が政治的態度を表明しないというのは異常です。左派からの支持を失いたくないので豊洲移転を決断しない、あるいは共産党に乗せられて築地市場再改築に舵を切って批判されたくないということであれば、政治家として必要とされる重要な決断を行わずに選挙戦のことだけを考えていると思われても不思議ではありません。

もはや、一連の問題でこれからどんどん人口が集まり発展していくはずの湾岸地域である「豊洲」が汚染問題に晒されているという風評に塗れてブランドが失墜し、単なる一市場の移転是非ではなく東京都の都市開発にも大きな影響を及ぼす状況となってしまいました。築地残留であれ豊洲移転であれ、結局は小池女史は「どうしたいのか」がはっきりしない状況です。

おそらくは、小池女史の願いは「右からも左からも支援してくれて、都議会選で勝利し、知事の支援勢力を都議会に送り込み都政の基盤を確保したい」ということでしょう。しかしながら、さすがに去年8月から10か月間、問題を引っ張りすぎました。2号線延伸問題が五輪を直撃し、国や近隣の神奈川県などとの調整も待ったなしの状況で、物事を決められないまま玉虫色の立場で選挙を勝ちにいくのでは不幸になるのは都民なのではないでしょうか。

私は豊洲市場への移転賛成派ですが、築地市場に残りたいという人たちの願いや気持ちも理解できます。築地市場を建て替えて残留というのがどこまで現実的かは分かりませんが、判断されないよりはマシです。どういう決断であれ、小池女史が一歩踏み込んで東京都の未来に道筋をつけることが求められる局面である以上、判断を保留したまま都民に投票箱へ向かわせることだけは避けていただきたいと思う次第です。