人間の心に刺さる広告売り文句も人工知能が担う時代が来るのか

(ペイレスイメージズ/アフロ)

 しばらく前ですが、人工知能(AI)を使って新聞記事を自動作成させることがほぼ実用の域に達したという話題をネタにしてこちらに記事を書きました。

喜ぶ日経「AIで記事自動配信」の時代遅れ感と希望(Yahoo!ニュース 個人 山本一郎 17/2/1)

 で、新聞記事の次は広告コピーをAIで自動生成しようじゃないかという話が出てきました。

電通、人工知能による広告コピー生成システム「AICO」(β版)を開発(電通 17/5/17)

本システム開発の背景には、人工知能の研究と実用化が急速に進み、当社グループが担う広告コミュニケーション領域においても欠かせない技術になりつつあるという実態があります。例えば、本件の人工知能による広告コピー生成が実現すると、TPO に合わせてリアルタイムにメッセージを変化させることができ、インターネット広告や屋外・交通広告などでよりパーソナライズした次世代型の広告配信が可能となります。

出典:電通

 なるほど、「TPO に合わせてリアルタイムにメッセージを変化させ」て「よりパーソナライズした次世代型の広告配信」を目指すということは、同じ商品が宣伝される場合でも、ユーザーごとに最適化された一番心に刺さる言葉を使ってコピーが生成され、SNSを通じて広告が届けられるというような未来があるのかもしれません。そこまでいけばいよいよ人間のコピーライターは失業決定かもしれませんが、AIだけで完璧な仕事をこなすにはまだ時間がかかりそうです。

電通のAIコピーライター「AICO」、その実力はいかに?:1度に2万案のクリエイティブを作成(DIGIDAY 17/5/18)

作成されたクリエイティブ案は、なんと2万案! そのなかから最終的に、福田氏・堤氏らが約500案をピックアップし、新聞原稿にまとめたという。

(中略)

堤氏は電通報で、AICOのコピー作品について、たまに笑えるものもあるけども、「ほとんどはまだぶっ飛び過ぎて使えないものが多い」と語る。

(中略)

「調子に乗った」プロジェクトチームは、AICOとともに「宣伝会議賞」にも挑戦。個別のアルゴリズムを擁して、約100本のクリエイティブを応募したが、こちらは惨敗という結果になったようだ。:

出典:DIGIDAY

は十分にあるでしょう。そうした言葉がAIだけで作り出されたということを人々が知ったときにどのような反応を起こすのかを色々と想像するのもまた面白いです。

 AIが文章を作るという話ではGoogleによる以下のようなサービスも気になります。

GmailアプリにAIが返信文を提案するスマートリプライ機能。iOS版にも搭載、まず英語・スペイン語からサポート(Engadget日本版 17/5/18)

GoogleがAndroidおよびiOS版Gmailアプリにスマートリプライ機能を追加しました。メール本文の内容をAIが解釈し、相手に対する短い返答を用意してくれる機能で、返答案は数種類を提示、ユーザーはそのなかから自分の意思に合致するものを選択して送信するだけでメール処理が完了します。

(中略)

なお、Googleは機械学習を使って提示する返信文を改善していくとのこと。Gmailのユーザー規模でそれをやれば、かなりの速度で実用的になってきそうです。

出典:Engadget日本版

 現時点ではまだかなり原始的な仕組みでしかないようですが、電通が考える「TPO に合わせてリアルタイムにメッセージを変化させ」て「よりパーソナライズ」なサービスを提供するということでは、やはりGoogleはかなり先を行っているようです。

 上記のGmailの機能が日本語に対応するのがいつになるのかは不明ですが、Gmailでやり取りされるメールの内容は、少なくとも英文についてはかなりの精度でGoogleのAIがその文脈や内容を読み取って理解しているということは分かります。ちょっと穿った見方をすると、Gmailでやり取りされるメールはすべてAIによって“検閲”されているという解釈もできそうですが、そのあたりの判断はユーザー各自に委ねられているということでもあります。まあ、世界を変えるような機密情報などについては、そもそもメールという通信手段でやり取りするという行為自体があまり勧められませんが、少なくともGmailを利用することは避けておくべきでしょう。

 Googleは各種サービスにおけるユーザー数の規模が莫大なのでAIを開発するためのデータに不自由しないといいますか、逆に言えばGoogle並みのユーザー規模がない他は圧倒的に不利な状況になってしまいましたね。AI開発についてはどんどん格差が広がっていくような不安があります。日本の場合は、幸か不幸か日本語という大きな障壁があるため微妙にGoogle絶対有利とはならない現状もありますが、かといってこのまま放っておけば言葉の障壁故に最新のテクノロジーを享受できないという流れもありえるのが悩ましいところです。