フリーブックスという海賊配信サイトの謎

(ペイレスイメージズ/アフロ)

山本一郎です。違法アップロードされた電子書籍を大量に配信する海賊サイトの存在が明らかとなり、先般ネット系だけでなく報道系のメディアも短い記事を報じておりました。色々と気になる話ですので、関連情報なども含めてメモとして拾っておきます。

騎士団長殺し・進撃の巨人…投稿サイトに無断で3万点超(朝日新聞 17/5/9)

書籍無断公開5万点か 被害数十億円、警視庁が情報収集(日本経済新聞 17/5/9)

問題の海賊サイトは既にネット上からアクセスできない状態となっていることもあり、報道メディアによって被害規模などの数字に誤差が出ていますが、ベストセラー的な書籍タイトルが権利者には無断で多数公開されていたことは間違いありません。

この「フリーブックス」と名乗る海賊サイトについては、報道メディアが取り上げるよりも前に、その存在を告発するような詳細な書き込みが投稿され一部ネット民の間で話題になっておりました。投稿内容にはAlexaを使ってのウェブトラフィックの様子なども含まれておりかなり参考になるので、興味のある方はリンク先の記事に目を通されることをおすすめします。もっとも、匿名ダイアリーに記載をされたのはすでに出版各社からの被害申し立てが警視庁になされてからなので、すでに一定の話が進んでから出た匿名情報であるということは留意しておいたほうが良いと思います。

フリーブックスとは一体何なのか?(はてな匿名ダイアリー 17/5/1)

本来伏せ字にでもしたほうがいいのかもしれませんが最早そんな意味もないくらいに広まってしまっているので普通にフリーブックスと書いていきます

更に一応書いておきますが日本の漫画市場を潰しかねない悪質なサイトです、利用するのは絶対に辞めましょう

(中略)

投稿共有サイトというのはただの建前で完全に一方通行、作品をアップロードしているのは全て運営です

(中略)

小学館集英社講談社の御三家をはじめ大手出版社や海賊版対策を業務とする一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構がDMCA報告を連発しています

出典:はてな匿名ダイアリー

この匿名による投稿自体がどう考えても業界関係者によるものだろうと思わせるような詳しさですが、おそるべきなのは問題の海賊サイトであるフリーブックス自体が素人の遊びのレベルではなく完全にプロの仕事であったと推測させるところです。こうした突出した海賊サイトという存在は皆が気になるわけでして、さらに詳しい分析・論考を行ったブログ記事があります。

「フリーブックス」についてもう少し踏み込んで書く(無能ブログ 17/5/2)

はてなの記事自体はとてもよくできているなーと思ったのですが、実は私も数カ月前からこのサイトを追っていて、そこでわかったこのサイトの運営と思われるグループについてなど、もう一歩踏み込んだ情報をこれに付け加える形で書き記したいと思います。

(中略)

フリーブックスの収益については当初から色々と言われていたと思いますが、そもそもこのグループは架空請求業者と提携し、ドロップブックスにその広告を貼りつけて1件あたり数十万円の報酬を受け取るような犯罪者集団ですので、資金力はそれなりにあるのではないかと思います。

(中略)

サイト運営にまつわる知識についてもかなりのもので、私自身、オフショア(防弾)のホスティングやレジストラの知識はあると自負していましたが、このグループは2015年ごろから防弾レジストラとして名高いEuroDNSを利用していたり、今回のこのグループが利用している防弾ホスティングサービスであるOffshoreDediについてもこの件で調べているときに初めて知ったので、相当なノウハウを持ったグループだなと少し怖くなりました。

出典:無能ブログ

なるほどこれはかなり詳しい分析と論考で面白いです。かなり乱暴にまとめれば、フリーブックスは完全にプロの仕業である可能性が限りなく高く、今後も同様な海賊サイトを仕掛けてくる可能性は相当あるだろうということになりそうです。この犯罪集団が最終的に何を企んでいるのかはよく分かりませんが、単に違法アップロードして楽しんでいるアマチュアの犯行などとは性質の異なるものであるということですね。

今回のフリーブックス閉鎖で代替となる海賊サービスを探すユーザーも少なくないようですが、そうした好ましからぬ需要を狙いすました詐欺行為が起きているのも今どきのネットらしい残念な展開です。

漫画違法サイト「フリーブックス」、出版社が連携して法的措置を進行 「移転先教えます」の詐欺行為も続出(ねとらぼ 17/5/9)

フリーブックスに関連した詐欺行為も現れ始めています。「フリーブックスの移転先のURLを○円で教えます」など、フリーブックスが新しいURLで運営されていることを装って、入金やTwitterのフォローを求める行為です。詐欺が許されないのはもちろんですが、「教えてください」と返事するユーザーも多数。水面下で海賊版サイトを利用する人がどれだけ多いかを浮き彫りにした、憂うべき光景が広がっています。

出典:ねとらぼ

ちなみに、フリーブックスについて検索すると以下のような記事がヒットしたりします。

フリーブックス違法か?フリーブックス閉鎖理由・復活日!フリーブックスの代わりサイトは?(DearMob, Inc.)

あなたは超人気の漫画無料読み放題「フリーブックス」というサイトが知っていますか?

(中略)

フリーブックスは危険な雰囲気がまったくないので、安心して利用している無料漫画読み放題サイトです。できれば無料で人気漫画を読みたいと考えている人はフリーブックスがお薦めです。

出典:DearMob, Inc.

微妙に日本語が変な記事ですが、堂々と海賊サイトを安心して利用できてお薦めとしているところがすごいです。このウェブサイトそのものが怪しいDRM解除ソフト等を開発・販売するメーカーによって運営されておりまして、勘繰ればフリーブックス運営者と同一ではなくても遠からぬ間柄なのではないかと思えてしまいます。とりあえず君子危うきに近寄らずということで、こちらで提供されているソフトには手を出さないほうが無難でしょう。配布されているソフトについてのネット上の評判もかなり微妙なものが目立ちます。やはりインターネッツは怖いところですね……。

さすがに元情報が出てきて少し時間も経過していることもあり、運営元について一定の把握ができた(摘発できるわけではない)という話も聞こえてきました。本格的な収益化に成功する前にサイト一時閉鎖までもっていけて良かったね、といったところなのかもしれませんが、続報が出るようであればまた書きたいと思います。