LINEも音声認識アシスタント市場へ参入だそうで

(写真:アフロ)

山本一郎です。このところ、AIベースで稼働する音声認識パーソナルアシスタントが今年のIT市場における一つの大きなトレンドとなりつつあります。どこまでキャズム越えして一般ユーザー層まで浸透していくのかはまだ予測しにくい部分もありますが、特殊かつ高価な機材を必要とするVR/AR方面よりは普及へのハードルは低く、大手プラットフォーマー各社もこぞって力を入れているように見えます。直近ではGoogleがこれまでごく一部の限られた機種のみに提供していた同機能をより多くのAndroid端末へ対応することを発表しました。

「Googleアシスタント」がAndroid 6.0以降のスマホにやってくる(まずは英語版)(ITmedia 17/2/27)

米Googleは2月26日(現地時間)、音声認識AIアシスタント「Googleアシスタント」を、「Android 6.0 Marshmallow」および「Android 7.0 Nougat」搭載の多様なスマートフォンで利用できるようにしたと発表した。今週米国の英語版で“ローリングアウト”し、来年中に他の言語にも拡大していく計画。

出典:ITmedia

そう遠くない将来、ほぼすべてのAndroid端末で各国語に対応した同機能が利用可能となりそうです。

で、この手の音声認識パーソナルアシスタントは確かに面白いのですが、その機能上どうしてもプライバシー問題にかかわってくるところがあるわけです。

Amazon Echoは確かに素晴らしい、だが一体何をどこまで聞いているのか?(GIGAZINE 17/1/19)

Alexaの録音内容を警察が聴くことは憲法修正第一条のプライバシー保護に反するとAmazonが主張(TechCrunch 17/2/24)

上記の事例はAmazonが提供するAlexaという音声認識パーソナルアシスタントについてですが、これらの記事から判断するとどうやらAmazonのシステムはマイクで拾える音声のかなりの部分を把握できている可能性がありそうです。そしてそうした音声データをどう利用するかはAmazonの思惑次第というところでしょうか。

さらに、こうしたアシスタントは誰にとって価値があるのかを突き詰めていくとかなり穿った見方もできてしまいます。

未来、人間はデジタルアシスタントに「洗脳」されてしまうのか?(WIRED 17/2/27)

一体どこがアシスタントに「給料」を払うのだろうか。最も考えられるのは、広告主だ。

そうなるとデジタルアシスタントは、わたしたちの関心よりも、スーパープラットフォームの経済的利益に役立つサーヴィスや製品をおすすめするようになるかもしれない。アシスタントが「真の雇い主」であるプラットフォームに仕えることで、わたしたちは市場の見え方を歪められ、プラットフォームが宣伝したいサーヴィスや製品に導かれるようになるかもしれない。

出典:WIRED

ともかく、そうしたトレンドの中で今度はLINEが音声認識パーソナルアシスタント機能を搭載したスマートスピーカーを発売すると発表しました。

LINE、AI基盤「Clova」発表 スマートスピーカー発売へ(ITmedia 17/3/2)

LINEは3月1日、クラウドAIプラットフォーム「Clova」(クローバ)の研究開発を、親会社の韓国NAVERと共同で進めていると、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2017」で発表した。Clovaを搭載し、音声で家電コントロールなどが可能なスマートスピーカー「WAVE」を、初夏に日韓で発売する。

出典:ITmedia

なかなか興味深いのは、この新しいAIプラットフォームを活用すべくバーチャルホームロボット開発会社も買収したというところです。

LINE、“俺の嫁”と暮らせるバーチャルホームロボ「Gatebox」を買収(CNET Japan 17/3/2)

“俺の嫁”というノリからも分かるようにこれまでGateboxは明らかにオタク市場を狙ったマーケティング展開をしてきたわけですが、LINE傘下となって今後はもっとマスな市場を狙う芸風に転向するのかどうかが気になるところです。ネット民の反応などを見ていますと、これまでGateboxを支持していたようなギーク層とLINEの親和性は明らかに低いと判断せざるを得ないところがありまして、余計なお世話ではありますがここは一気に方向転換した方が誰のためにも後腐れ無くて良いのではと勝手に想像してしまいます。まあ、LINEの中の人達は商機に聡い方ばかりでしょうから当然そういうことになりそうですが。

LINEは過去にスマホ内の電話帳情報をデフォルトで吸い取っていた経緯があったりと、プライバシー問題に敏感なユーザー層から疎んじられるのはしかたないところもあるかと思います。ですので今回の音声認識パーソナルアシスタント市場参入にあたっては、その辺りに配慮し過ぎてもし過ぎるということはないでしょう。しっかりとした運営方針で臨んでいただきたいものです。