マイナンバー取り扱いミスから重大事態発生だそうですが

山本一郎です。自治体をはじめとした各種団体や事業者にとってマイナンバーの取り扱いが色々とセンシティブで厄介な課題となっている昨今ですが、ミスとはいえ一度に2000人近い規模でマイナンバーが流出してしまうという「重大な事態」が起きてしまったようです。

マイナンバー 1992人分流出 制度開始以来最大規模(毎日新聞 17/2/17)

一度に大量のマイナンバーが本人以外の第三者に漏えいしたのは、2015年10月のマイナンバー制度開始以来最大規模で、マイナンバー法で定められた「重大な事態」に当たるという。

出典:毎日新聞

マイナンバー1992人誤記 湖西市、ふるさと納税通知書に(静岡新聞 17/2/17)

ミスがあったのは、確定申告せずに寄付金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」を利用した寄付者を市区町ごとに取りまとめた通知書。

(中略)

送付先の市町から「マイナンバーが寄付者のものと違う」と指摘が相次いだことで判明。再点検した結果、1992人分のミスが判明した。

(中略)

ふるさと納税担当の市財政課職員が通知書を作った際、表計算ソフトの操作を誤ったという。市区町別にデータを仕分ける時に氏名欄とマイナンバー欄がずれ、別人のナンバーが印刷された。

事態の詳細については、湖西市が報道向けに発表した資料(PDF書類)に詳しいですが、全部で5853人分ものデータを「表計算ソフト」で管理していたようです。表計算ソフトというのは、おそらくはExcelあたりなんだと思われますが、それで6000人近くのデータをソートしたりしていたということのようですから、これはミスが起きても仕方ないといいますか、担当者も大変だったのではないでしょうか。ある意味で起こるべくして起きた事故という感もあります。地方自治体はどこも皆こんな感じで莫大な数のマイナンバーデータを処理していたりするのかもしれませんが、もしもそうだとすると、同じようなミスがまたどこかですぐに起きても不思議ではないです。

同市では今後のミス防止策として、書類の作成や送付時には「複数人による照合作業を徹底する」と共に、マイナンバー情報については「表計算ソフトではなく、委託先から提供されるシステムでの管理に直ちに切り替える」ことで「並べ替え作業が不要となり、今回のような並べ替えの誤りを防ぐことができる」と発表しています。

「委託先から提供されるシステム」というのがどういうものなのかは謎ですが、とりあえずはExcelはやめるのでソートで失敗しなくなりますという宣言になっており、そもそもの問題意識のあり方が根本からずれているように見えなくもありません。

マイナンバーのデータ管理については安全なツールを国がせめて自治体などには無償もしくは安価に提供するみたいな施策を行っていかないと、今後もまたExcelで操作ミスして重大事態発生といったことが起きそうな嫌な予感しかしませんが、まあなるようになるということなんでしょう。

それにしても、国が定めるところの基準で「重大な事態」が発生したという割には、あまり大きな騒ぎになっていないように感じるあたり、マイナンバーへの国民の関心や期待の低さがうかがえてしまう事件でもありました。それが本当に重大な事態だとして、そうならないような仕組みをどう構築するかに心を砕かないと重大な事態だらけに日本がなってしまいます。

また、そもそもが「作業によって個人情報は漏れるもの」という前提で制度設計の必要があり、情報漏洩があるごとに記者会見させられたり新聞沙汰になるようだと、逆に情報漏洩の事実を隠す企業や自治体が横行することにもなりかねません。この辺にも、一種のゼロリスク症候群のようなものを垣間見てしまうわけでして、どうにかならないものかなと感じる今日この頃です。