DeNAがヘルスケア絡みのキュレーションメディア商売で大炎上

(写真:アフロ)

山本一郎です。きょう子供を連れてインフルエンザの予防接種に行ったところ、母子手帳にシールを貼る場所が全部埋まってるとかで「そういえばあれって何で場所狭いんだろう?」と思いました。良く分からんです。

ところで、ようやく冬らしい天気になったところで暖を取りたいなと思っているところへ珍妙なネタが出ました。いまのところ騒いでいるのは濃いネット民の皆さん中心で、肝心の当該メディア主要ユーザー層へ影響が届くのは週刊誌やテレビがネタに取り上げるまでそれなりの時間差はありそうですが、DeNAの運営するキュレーションメディアの「WELQ(ウェルク)」が大炎上中であります。

そもそもの事の発端は、WELQが「死にたい」という言葉を使ってSEO施策を展開しているのは不適切なのではないかという指摘からでした。

[死 にたい]でSEOされたwelq(運営:DeNA)の大きな問題(辻正浩|Masahiro Tsuji)

DeNA社が運営するキュレーションメディアwelqのとページは、[死にたい]と検索された際に上位表示されるようにSEOを行っています。それで集客してアフィリエイトで儲けようとしているのです。

出典:辻正浩|Masahiro Tsuji

この問題で炎上したDeNAでは当該広告の削除を余儀なくされます。

「死にたい」検索トップの「welq」の記事、DeNAが広告削除 「不適切」指摘受け(ITmedia 16/10/26)

この一件でWELQはネット民の監視対象物件として突出した存在になったようでして、例の「死にたい」事件から1カ月たらずでめでたく再度の大炎上に。

DeNAがやってるウェルク(Welq)っていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件(第1回)(More Access! More Fun! 16/11/24)

「信頼性薄い」批判受け……DeNAの健康情報サイト「welq」、専門家が監修へ(ITmedia 16/11/26)

10月には、「死にたい」と検索すると、トップに表示されるwelqの記事に不適切な内容が含まれていると批判され、DeNAが記事内の広告を削除する事態に。11月下旬には、「肩こりに関する記事に『幽霊が原因のことも?』と書かれており、まったく科学的ではない」などの指摘があり、批判が再燃していた。

出典:ITmedia

肩こりの原因が“幽霊”というのはなかなか粋な健康相談ですね。私も最近肩が重いなと思ったので参考にしたかったですが、さすがにこの記事も削除されたようです。そんな問題のある記事は簡単に削除できるというネットメディアのメリットを最大限に活用しているあたりが素晴らしいですね。

そもそもWELQというサイトは「健康や医療に関する、ありとあらゆる悩みや疑問を解決できる教科書のような存在」(WELQについて)を目指していたそうですが、医学的な根拠をもった情報を提供するということについてはあまり関心がなかったのかもしれません。それよりはアクセスを集めることができれば何でも良かったのでしょう。そのあたりの経緯をうかがい知ることができる内輪話がはてな匿名ダイアリーに掲載されておりまして、どこまで信用するかはさておき、まんざら与太ではないような気配がありましてなかなか興味深いです。

WELQの面接で落とされ、その後WELQが炎上して、思うところ(はてな匿名ダイアリー 16/11/27)

「医師の監修は検討しているが、今はメディアとして完全に定着させることが先」とのことだった。要するに投資ステージなので外野はゴチャゴチャ言うなということなのだろう。

出典:はてな匿名ダイアリー

また、WELQ炎上以前に書かれたものですが、DeNAのメディア戦略全般について書かれた以下の論考記事も面白いです。ちょっと文体に癖がある上やや長いのですが、これは是非リンク先に目を通していただければと思います。

Welqが席巻するSEO界隈と、DeNAのコンテンツ戦略、そしてその行く末に思うこと。~DeNA Palette編~(ながれごと.com 16/9/28)

結論から言うと、「DeNA,やるなあ。畜生。」です。

(中略)

とにかく、原典を超えてきている以上、キュレーションメディアが「第一の情報ソース」になる日も近いのかもしれない今日この頃です。

出典:ながれごと.com

SEO強者であるDeNAのキュレーションメディアが日本のネット界隈で随分と幅を利かせている仕組みがなんとなく分かるのではないでしょうか。

さて、今回のWELQ炎上ですが、ネット民界隈から飛び出して広く一般社会にまで波及するのかどうか。もしかしたらネット民だけが騒いで終わってしまうのかもしれません。とりあえず健康や医学に関するネット検索でWELQの情報を目にしたくないというのであればキーワードに「-welq」を足せばきれいにWELQの記事は除外できるでしょうから、まずはそうした小技を活用してみるのがいいかもしれません。そのうちブラウザ用プラグインでDeNA系キュレーションメディアをすべて検索時に除外してくれるようなものも出てくるのかもしれないですね。ただ、ネット民以外はそういうことをあまり気にしないでしょうし、ブラウザ用プラグインを使うという行為自体それなりにハードル高そうなのであまり需要はなさそうな気がします。

それ以上に、検索エンジンが頑張ろうとしていた「ネットで価値のある情報を探すための仕組み」が見事に悪用され、大手資本による「クソ記事量産で検索エンジンからの流入を狙ってひと稼ぎ」という展開がいかにも現代的だなあと思う次第であります。この辺の経緯につきましては、きっともっと続報が出るでしょうから、まずはこの辺で。