アマゾン(amazon)が独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会に突入される

アマゾンに突入、といわれると川口浩を思い浮かべるのはおっさんだけです。(写真:ロイター/アフロ)

山本一郎です。日々いろんなものを突っ込まれて生きています。

ところで、ネット通販大手のアマゾン(Amazon)に公正取引委員会が独占禁止法違反のかどで立ち入り検査というニュースが流れてきました。

アマゾンに立ち入り検査 公取委、独禁法違反の疑いで(朝日新聞 16/8/8)

以前からかなり多数の申し立てが公取委にあったようですが、アマゾンは過去にもEUで電子書籍の取り扱いを巡り、電子書籍配信会社他社よりもアマゾンへの提供価格が高くならないように定めた契約に関して同じく独占禁止法違反の疑いで揉めておりました。

公取委 アマゾンを立ち入り検査 安価設定を要求か(NHKオンライン 16/8/8)

関係者によりますとアマゾンは自社の通販サイトで商品を販売する業者に対して、価格設定をその業者がほかの通販サイトなどで設定している価格のうち、最も安いものと同じかそれ以下にするよう求めていたということです。

アマゾンは出品を希望する業者に対し、取り引きを始める際にこうした条件を示して、ほかのサイトなどで買うよりも高くならないようにしていたということです。

公正取引委員会は低い価格設定で取引業者を拘束する行為は独占禁止法で禁止された不公正な取引方法に当たる疑いがあるとみて詳しく調べています。

報じられている内容が事実だとするならば、ど真ん中の拘束条件付き取引で、独占禁止法で禁じられている内容ですから、かなりしょっぱいものという認識でよいのではないかと思います。

公正取引委員会 流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針

第6 継続的な取引関係を背景とするその他の競争阻害行為

1 対抗的価格設定による競争者との取引の制限

(2) 市場における有力な事業者が、継続的な取引関係にある取引の相手方に対し、その取引関係を維持するための手段として、自己の競争者から取引の申込みを受けたときには必ずその内容を自己に通知し、自己が対抗的に販売価格を当該競争者の提示する価格と同一の価格又はこれよりも有利な価格に引き下げれば、相手方は当該競争者とは取引しないこと又は自己との従来の取引数量を維持することを約束させて取引し、これによって当該競争者の取引の機会が減少し、他に代わり得る取引先を容易に見いだすことができなくなるおそれがある場合には、当該行為は不公正な取引方法に該当し、違法となる(一般指定11項(排他条件付取引)又は12項(拘束条件付取引))。

ここまで教科書どおりの競争阻害行為をやらかすアマゾンはマジ確信犯じゃないかと思うのですが、元はと言えば、08年ごろにはすでに独占禁止法に抵触する取引がアマゾンと納入業者の間で常態的に存在していたのではないかという指摘があります。これは、アマゾンで販売する企業に対する拘束条件付取引だけではなく、配送などアマゾンの出入り業務で主要な役割を担う提携・外注企業に対しても、同様の申し入れがあったと見られます。

なお、過去にアマゾンから送られてきていた問題のある取引要請のメールは多数存在しており、キャンペーン的なものから、電子書籍のようなコンテンツ卸に関するもの、一般の取引その他、各方面のカテゴリーでアマゾンの取引において広範に見られる点で、問題だとされます。

Amazon.co.jpでは、魅力的な価格やより良い販売条件を提供することによって、購入者様からの信頼を得られるよう日頃より努めています。

その信頼獲得のために、Amazon.co.jpの出品者様には商品販売に関するいくつかの重要な規約を遵守いただくようお願いしています。

つきましては、下記の内容について今一度ご確認ください。

●・販売価格について

Amazon.co.jpでの販売価格(セール価格・キャンペーン価格を含む)および配送料は、出品者様の自社サイトおよび他の販売チャネルでの販売価格のうち、最も好条件のものと同等、もしくはより魅力的な価格に設定する規定の遵守をお願いしています。

(註: 文中、太字は筆者)

また、具体的に個別事業者に対してアマゾンが販売内容をチェックし、より”魅力的な”値段での販売を促すメールも多数出ております。元アマゾンの社員は、これら事業者の販売状況をチェックするため、自動で価格をチェックするBOTが各販売チャネルでクロールし、ある程度AIで自動検知するシステムまで運用していたとのことなので、かなりの筋金入りなのではないかと思います。

Amazon.co.jpでの販売にあたって、出品者様の提供された商品が他社販売チャネルに比べて高額に設定されております。これは、出品者様との間で結ばせていただいている規約に違反する内容ですので、他社販売チャネルでの契約内容を開示いただき、同等またはより魅力的な金額での販売がAmazon.co.jpで行われるようお願いいたします。

(註: 文中、太字は筆者)

どうもこれらの一連のビジネス手法は、アマゾンジャパン特有のものではなく、アマゾンが各国で行う取引のガイドラインそのものに課題があると言われており、日本もいままでよくこれを放置してきたなあという印象があります。せっかくなので、これを機に是正して欲しいなあと思う一方、アマゾンだけが悪者ではないという商慣行が多発しているのも事実で、大手家電量販店ではアマゾンでの販売価格が安いと、実店舗で売れた商品との差額を”補填”させるケースがあります。そもそもより店舗で高く売れたわけなので、大手家電量販店はむしろ儲かっているはずなのですが、なぜかメーカーに「差額を被れ」と要求をしてくる事案が横行している現実も見て欲しいと思うわけであります。

たぶん、この辺の問題はアマゾンジャパンの経営陣も幹部も「分かっているけど、すぐの改善は難しい」と考えているのでしょう。ただ、ここまで日本にしっかりと根付いているサービスなのですから、きちんと日本の法律に基づいて健全に事業をしていって欲しいと願う次第であります。

どうもこの辺、続報がいっぱいあるらしいので、話が動くようでしたら追加で記事を書きたいと思います。