過去の黒歴史を抹消したい百度(Baidu)が個人ブログ記事の削除を命じたようです

人而無信、不知其可也(写真:アフロ)

 山本一郎です。割と黒歴史は多いほうですが、毎日元気に暮らしています。

 これまで、百度(Baidu)が色々やらかしたことについては、こちらのブログでも何度か取り上げてきました。

百度文庫で日本を代表する大手企業の内部資料がダダ漏れな件(ヤフーニュース個人 山本一郎 13/8/8)

また百度(baidu)が日本語入力ソフトの件でやってくれたようです(ヤフーニュース個人 山本一郎 13/12/26)

百度(baidu)汚染、自治体に(ヤフーニュース個人 山本一郎 14/1/13)

懲りない百度(Baidu)がまた日本語入力関連でやらかした件で(ヤフーニュース個人 山本一郎 14/4/25)

仏の顔も三度と言いますが百度(Baidu)は懲りずに何度でもやらかしていて豪快です(ヤフーニュース個人 山本一郎 15/11/10)

 こうやって並べてみるとなかなか壮観で、まるで珠玉の如き煌々たる黒歴史の数々でして、私ももっと頑張らないとな、と思ってしまうほどです。で、そんなネタもなかったかのごとく、懲りない百度がまたなにやらやらかしつつあるようです。事の起こりは、セキュリティ関連の情報をこまめにまとめてブログを書かれているpiyokangoさんによる以下のツイート。

バイドゥ株式会社より、2013年のIMEの問題をまとめた記事が名誉毀損、業務妨害に相当するため削除申立があったと、はてなより連絡を受けました。http

出典://d.hatena.ne.jp/Kango/20131226/1388077755

 問題となっている記事は以下ですが、ネット上で入手できる様々な関連情報を丁寧に拾い上げてまとめられており大変素晴らしいものです。また、不肖私の記事にまでリンクを張っていただきありがとうございます。

Baidu IMEとSimejiの情報送信問題についてまとめてみた(piyolog 13/12/26)

Baiduの提供するIME、Windows向けの「Baidu IME」とAndroid OS向けの「Simeji」を通じて端末に入力した情報が同社のサーバーへ送信されていると報じられました。ここではBaidu社の日本語入力ソフトの情報送信問題についてまとめます。

出典:piyolog

 これは削除される前に魚拓を取らねばと思いましたが、確認してみるとすでに大量の魚拓がありました。皆さん考えることは同じということですね。

取得済みの魚拓(ウェブ魚拓)

 はてなを通じて当該記事を削除しろと言ってきた百度の言い分は、piyokangoさんのツイートに添付されているはてなのメール文面から以下のようなものであることが分かります。

バイドゥ株式会社により、名誉毀損、業務妨害に相当するとして削除申立がありました。

「Baiduの提供するIME、Windows向けの「Baidu IME」とAndroid OS向けの「Simeji」を通じて端末に入力した情報が同社のサーバーへ送信されている

と報じられました。ここではBaidu社の日本語入力ソフトの情報送信問題についてまとめます。」

などの記述により、同社の名誉および信用を毀損しているとのことです。

出典:piyokango

 なぜこんな寝た子たちを全員叩き起こすようなことを…。

 piyokangoさんはこの事態について、百度やはてなに対して当該記事の何が問題なのかの詳細な理由や問題箇所の確認をすることは考えておらず、そのまま先方の要望通りに記事を削除する予定であると別のツイートに書かれております。

 この一件、百度がやらかしたことについては、内閣官房情報セキュリティセンターが省庁へ注意喚起を行ったなどの経緯からも分かるように公然の事実であります。そうした事実に基づいてネット上で発信された諸々の情報をまとめているだけに等しいブログ記事の削除が求められるというのは、個人の言論活動に対して相当な情報操作が行われようとしていると解釈できます。しかし、力のある企業が名誉毀損や業務妨害といった訴訟リスクをちらつかせてくれば、個人ブロガーとしてはもう厄介なことは避けて記事を削除しようという判断になるのも十分に理解できる話です。

 また、はてな側も、新聞社のようなジャーナリズムを標榜するメディアではなく、ブログサービスを提供している業者です。つまりは単にブログ機能を提供するプロバイダ事業者でしかありませんから、こうした企業の圧力から個人ユーザーの発信行為を守るということは望まれても対応しかねる立場であるということなのでしょう。ただ、高木浩光さんがプロバイダ責任制限法の観点から以下のようなコメントされていますね。

(1)Baidu側の主張をそのまま伝えるのではなく、どこが問題かについて、はてなの解釈を伝えている。

(2)第1の用件が「削除についてご検討ください」「削除にご同意いただけないという場合には」となっていて、はてなの意思として削除を要請している。(プロ責法はそのような趣旨なの)

出典:Hiromitsu Takagi

(3)「詳細な理由をお知らせください」として、初めから手間をかけさせる要求をしており、これが萎縮効果を生む。どこに問題があるかは、本来、削除させようとする側がまず具体的に示すべきなのに、それをせず、問題ない理由を示せと無理な注文をしている。

出典:Hiromitsu Takagi

(4)「申立者に開示いたします。」が、何を開示するのかを明らかにしておらず、法人が出す文書として失格。

出典:Hiromitsu Takagi

 はてなからは何かコメント出るでしょうか。

 それにしても気持ち悪い話であります。こうして百度がやった黒歴史はじわじわとネット上から消されていくことになるのでしょうか。今頃ヤフーには私が書いた記事についても削除しろという連絡が来ているのかもしれないですね。

 一人の置物として、会議しながら削除要請のメールが来ることを心待ちにしたいと思っております。

 と、ここまで色々書いていたらどんでん返しがあったようです。

先ほどはてなより連絡があり、バイドゥ株式会社が削除申立を取り下げするとのことです。記事内容を再度検討し、権利侵害とは言い難いと判断されたそうです。

この取り下げに基づき予定していた記事の削除を取りやめます。

関係者の皆様、ご心配くださった皆様、大変ありがとうございました。

出典:piyokango

 ええ… どういうことなの…。

 百度は何をしたかったのでしょうね。中国でのやり方が日本国内でもそのまま通用すると思って本社から指示があったりしたのでしょうか。

 いろいろと百度の中の人もご事情やお考えはあるのかと思いますし、そう悪気はないのかもしれませんが、もうちょっとどうにかならないのかという気持ちで一杯です。

 私も、引き続き人生という名の黒歴史を百度と共に歩んでいきたいと思います。

 引き続き、よろしくお願い申し上げます。