東京五輪問題で森喜朗さんに降りていただき、真相を解明するにはどうするべきか

報道が事実なら、このころすでに裏金払ってたことになるんですよね…(写真:アフロ)

 山本一郎です。東京都民、千代田区民です。

 冒頭にお話しするべきことはただひとつ、一連の東京五輪や舛添要一都知事の不祥事については、日本全国の国民の皆さんをお騒がせしている点について、本当に申し訳ない気分でいっぱいです。無関心でも無知でもない界隈ですが、まさかこんなことになるなんて思ってもいませんでした。一人の都民として、お詫びしたいです。

 先日の英ガーディアンの東京五輪関連記事やその後の真相報道については、物事が出るたびにいかに日本の意志決定に問題があるか、プロセスを最善のものにしていくにあたっての倫理観を欠いているかが明確に出ている点で、これこそまさに戦後の総括なんじゃないかというぐらいに目を覆いたくなるものばかりです。登場人物が日本を代表する組織の関係者なのに、まともな人が一人もいなかったのかと思ってしまうぐらいの惨状です。ヤバイ。一つひとつが、本当にヤバイわけですよ。

 そもそも、五輪招致委員会については当時の東京都知事であった猪瀬直樹さんが、このようなことを公言しておられます。いまとなっては公言というよりは放言とか妄言に近いものですが、当時は「まあ改築する話がメインで五輪誘致するならカネはかからないのだろう」とぼんやり信じてしまった有権者としての不明を恥じるばかりです。

誤解する人がいるので言う。2020東京五輪は神宮の国立競技場を改築するがほとんど40年前の五輪施設をそのまま使うので世界一カネのかからない五輪なのです。

出典:Twitter 猪瀬直樹

 もともと猪瀬直樹さんは傲慢な気質から繰り出される自意識と自信の過剰なツイートの品質が高く、例の5,000万借り入れ騒動でも「スキャンダルに見舞われても誰も彼を守ろうという動きが見えない」という素敵なプロセスを踏んでいたのが心に刻まれています。

声に出して読みたい猪瀬直樹Tweet集(ヤフーニュース個人 山本一郎 13/5/7)

 スキャンダルが理由とはいえ、その席を追われた猪瀬さんに比べて、今回招致委員会の責任者であった森喜朗さん、竹田恆和さんが、そのまま組織を引き継ぐ形で現在も東京五輪の運営委員会のトップに就いておられます。

 当然、日本の各メディアでも大きく取り上げられ、実態のいまひとつ不明なコンサルタント会社への支払いから、欧米で報じられた広告代理店電通の子会社によるトンネル問題(電通は関与を公式に否定)までさまざまな問題が飛び出しました。東京五輪のメインスタジアム建設問題がきちんと着地するのかどうかさえも怪しい状態でこのトラブルですから、東京五輪は本当に開催してよいものなのか、改めて問い直すべき状況にまで陥っていることは誰の目にも明らかです。

五輪招致委の金銭支払、正式な業務契約の対価=竹田JOC会長(ロイター 16/5/13)

招致委、2.2億円送金認める コンサル料、露薬物隠蔽絡む口座 シンガポール当局も捜査(産経新聞 16/5/14)

竹田JOC会長「2.3億円の使途知らない」(毎日新聞 16/5/16)

東京五輪招致 不正送金疑惑は晴れるのか(読売新聞 16/5/18)

 日を追うごとに、状況を伝えるメディアの論調は厳しく、悪化していっていることが良く分かります。さらには、当事者である森さん自らが、テレビ局からの追及に対し「最初から無理があった」と言ってしまいました。

森喜朗氏、東京五輪予算は「最初から無理があった」(日刊スポーツ 16/5/17)

 できないことを「できる」といって、無理に東京五輪を招致した結果、メインスタジアムだけでなく大会運営予算は高騰し、仮設施設に関しても当初の4倍の費用がかかる試算が公表され改めて物議を醸すなど、頭痛が激痛の事案が満載になっています。

 さらには、渦中にあるとされる電通の担当者も国会招致という話も出てくる始末です。この電通がらみについては、すでに2月発売の月刊誌FACTAで高橋治之さんの話も含めて報じられている状態ではあります。

東京五輪招致疑惑 民進・枝野幹事長「電通担当者の国会招致も」(FNN 16/5/17)

買われた? 東京五輪7――電通の株主総会(阿部重夫 16/5/16)

東京五輪招致で電通「買収」疑惑国際陸連ドーピング汚職から、仰天証言が飛び出した。英ガーディアン紙と本誌が共同取材、当局も洗い出し。(FACTA 16/2/20)

 まあ、いまでこそ大騒ぎしていますが、もうすでに一定方面では報じられ、議論になっている話だったわけです。

 もはや、好むと好まざるとにかかわらず、状況悪化の責任を明らかにするためにも情報の公開が強く求められるところですが、本件については本丸の2020東京五輪だけでなく、前のオリンピック招致で元都知事石原慎太郎さんが深くかかわった2016招致委員会も問題とされるべきではないかという話まで飛び出しました。

 いわゆる「カネにまみれた五輪」を批判するのは簡単です。この世界的なスポーツの祭典に対して世界中の関心が集まる以上、一定の商業化をしないことには大会が開催できないのは自明です。それゆえに、透明で妥当性のある費用が支払われたり、然るべきスポンサーが集められて国民の盛り上がりと共に適切に開催されるのであれば、問題ありません。

 しかしながら、ここまで大会運営費の高騰だ、裏金だ、カネで買った五輪だという話になるのであれば、然るべき調査を徹底的に行って、国民の前にきちんと状況を説明できるようにしてから、責任者の処罰と、イベント実施の是非について問い直さなければならないであろうと思うわけです。

 戦犯である森さんが実力者だから首に鈴がつけづらいとかいうレベルの話はとうに過ぎ去り、日本人として本当にこのような体たらくで海外からのスポーツ好きをおもてなしできるのか、改めて日本人一人ひとりが考えるべき状況になっているのではないか、と考えます。

 私としては「五輪みたいなイベントに日本が貴重な国庫を使っている場合じゃないでしょう」という現状認識も含めて、一刻も早く事態が明らかになり、責任者の処分と大会開催の是非についての議論が進むことを希望してやみません。

「あの時舛添に票を入れた奴は反省しろ」的な意見をよく見るが、候補者が「舛添要一・宇都宮健児・細川護煕・田母神俊雄・家入一真・ドクター中松・マック赤坂」という「この中から食中毒を起こさないウンコを選んで食べなさい」状態だったのを考慮して欲しいと少しだけ思う。 少しだけね。

出典:Twitter 館長

 五輪エンブレム問題で佐野研二郎さんを祭っているぐらいがまだ幸せだったと思う日が来るとは知りませんでした。

 改めて、一都民として深くお詫び申し上げます。