ドローンによる宅配事業がより現実味のある形に進化したようです

以前から噂されていたドローンの配達事業への利用が俄然具体性を帯びてきました。(写真:中尾由里子/アフロ)

 山本一郎です。SFシミュレーションゲーム界の名作『シドメイヤーズ アルファ・ケンタウリ』(2000年発売)と、その拡張版である『エイリアン・クロスファイア』では、ゲーム中盤から後半にかけての航空ユニットとして「フローター」というドローンが大活躍します。このフローターの何が良いかというと、基地でないところでターンを終了してしまうとダメージを負ったり墜落してしまうことがあるのですが、移動力が残る限り複数回攻撃することができ、一方的に敵ユニットを蹂躙することができるので惑星チロンに蔓延るマインドウォームやヤン議長などが繰り出す巨大スタックによる大軍をわずか1ターンで壊滅させることさえも可能です。

SID MEIER'S ALPHA CENTAURI PLANETARY PACK(GoG レトロゲー販売サイト)

資源は消費するためにある。そしてわれわれの世代によってではないとしても、いつかはやがて消費される。だが忘れられた未来にわれわれの財産権を否定する権利があるだろうか。 断じてない。われわれの物はわれわれがいただこうではないか。腹いっぱい食べようではないか。──最高経営責任者ナワダイク・モーガン「欲望の倫理」

 かっこいいですね、CEOナワダイク・モーガンさん。このゲームの深いところは、SFであるにもかかわらず、AIやIoT、ナノ量子学にドローンといった現代にも通じるハイテクのパラダイムを余すところなく再現しているところです。SEALDsとかデモしてたら漏れなく精神ステープラーで理性を破壊して黙らせかねない恐ろしささえも感じさせる素晴らしいゲームなのであります。

 それにひきかえ、なんですか、『Civilization: Beyond Earth』は。拡張キットが出ても深みが出ないどころかアンモニアの臭みが増すだけじゃないですか。出張の移動中や睡眠時間を削れるところは丁寧に削ってプレイ時間に突っ込んでますけど、100時間経過してもぜんぜん面白さが感じ取れません。この手のゲームでありがちな「好きな人は好きだ」とか「良いところもある」という迎合さえも正面から撃破蹂躙可能なぐらい、物悲しい出来栄えです。ついつい『Alpha Centauri』を立ち上げてしまうぐらいです。個人的にはいますぐにでも『Beyond Earth』シリーズの開発に見切りをつけ、『Alpha Centauri』の正統な続編の開発に10億ドルの資金をつぎ込んで製作するべきだろうと思います。そうしたらいますぐ買う。

 ところで、これまでもドローンを使って無人配達を実現したいとアピールしていたAmazonですが、ここにきてかなり現実味のあるプロトタイプを開発したようで、早速派手な動画を使ったPRを展開しています。

Amazon Prime Air(YouTube動画)

 残念ながら日本語字幕は付いていませんが、動画を見ていれば言葉はわからずとも充分にどういうものかは理解できることと思います。しかし、どうしても物語の解説がほしいと場合には、Gigazineがいつものように大量のスクリーンキャプチャを使って説明しているのでご参考に。しかし、ここまでやると著作権的にどうなんでしょうか。Amazonとしては宣伝になるから見て見ぬふりなんですかね? とりあえず「いいぞGigazineもっとやれ(訴えられるまで)」という気持ちでいっぱいです。

30分以内の配達を実現するAmazonの配達ドローンが劇的進化、着陸方法など最新版ムービー公開(Gigazine 15/11/30)

 著作権のことはさておき、このYouTubeの動画に出てくる最新プロトタイプのドローンは決してCGではなく、実機が空を飛ぶ映像なんだそうです。さすがに空中から目的地まであと何分みたいな映像部分は演出されたイメージ動画であるような気もしますが、ドローンそのものは着々と開発が進んでいるということでしょう。空中から移動力のある限り攻撃されかねないと思うと胸が熱くなります。

 で、このドローンにまつわる社会状況については以下の記事が簡単に現状をまとめています。

アマゾン、配送ドローンの新型プロトタイプを披露--YouTube動画を公開(CNET Japan 15/11/30)

FAAは、無許可の商用ドローン飛行を禁止してはいるが、企業が特定許可の取得不要でドローンの飛行を認められるための規則の策定にも取り組んでいる。FAAは規制の草案を発表したが、2015年9月の期限までにそれらの規則を完成させることはできなかった。

出典:CNET Japan

 Amazonの広報は「配送サービスの早期実現に向け、規制当局や政治家と協力している」と前向きな発表をしているようですが、ざっくばらんな話、いまだ米国内でドローンを利用して宅配できる具体的な目処は不明です。しかし、Amazonの競合相手であるGoogleも2017年には同様なサービスを開始したいという意向を発表しています。

米グーグル、ドローン配送を2017年に開始へ(ロイター 15/11/3)

同社は米連邦航空局(FAA) や他の関係者らとの間で、ドローンを対象とした航空管制システムの立ち上げについて協議中だという。

(中略)

FAAはドローンの商業利用についての最終報告を来年前半に公表する予定で、ドローンによる配送ビジネスの開始はこれ以降になる見通しだ。

出典:ロイター

 なるほど、一体どういう条件での稼働が可能となるのか予想するのは今のところむつかしいですが、とりあえずドローンを使った配送ビジネスを実現できるだけの見込みはあるようです。

 そして、驚くことにわが国でも米国に倣う形でなんとかしようという動きがあるようです。

ドローンで宅配、3年以内に 政府目標、規制緩和を加速(朝日新聞 15/11/5)

ドローンを使った荷物の配送は、航空法を改正するなどして、実現につなげる考え。近く官民の協議会を立ち上げ、来夏までにルールを整える方針だ。

出典:朝日新聞

 まじですか。さすがにかなり特殊な条件、たとえば離島への配送であるとか、人家がほとんどない僻地みたいな場所でないと現実的ではないようにも思うのですがどうでしょう。もし東京都区内でお急ぎ便が全部ドローン対応になったりすると、空一面がドローンで蔽われて薄暗くなるなんてことになりそうでかなり怖いです。まあ、東京オリンピック絡みで世界にアピールしたいという思惑はあるでしょうから、そういう用途で今からアイディアを練っているのは想像できます。どうせなら妙に生真面目なものよりもネタとして面白いものを期待したいところです。

 などと思っていたところ、なんと千葉で「ドローン特区」なるネタと共に凄いことが起きる可能性があるという記事が出てきました。お嬢さん幕張まっせとか下ネタをかましている場合ではありません。確かに周辺に話を聞く限りかなり具体的に事業化の検討段階に入っているとのことであります。

世界初のドローン宅配が千葉・幕張新都心で実現 ネット通販会社と連携で(Engadget日本版 15/12/17)

 どうも高層マンションのベランダに直接配送することを検討しているようで、たしかにそこのところだけ切り出すととても便利な気がします。重い荷物はむつかしいかもしれませんが、移動力のある限り攻撃できる仕様であれば、高いスタックタワーの敵も一気に殲滅できるだけの地力はあるでしょうし、マンションの配達であれば最高効率でしょう。

 ただし、ここで名前の挙がっている某ECサービス大手の担当に話を聞いたら「もっとも非効率になりがちな高層マンションで利用実績を積み重ねながら、集合住宅や市街地のドローン活用を考えていく」とのこと。また、その提携先輸送会社は「トラックの代替としてのドローンはむしろ遅配の原因となるので、小口・戸別配送の一番下のセルで時間外の配達をしなければならないとき限定です」「風雪の問題があるのと、最初は操縦が熟練したパイロットを用意してカメラ経由の有人配送となるため、いきなりのコストダウンは無理だと思います」とにべもない回答。まあ、夢は一歩一歩実現していくということですかね。

 お話も尽きたところで、この辺でドローンさせていただきます。