Windows 3.1がパリの空港システムで現役だった件

 山本一郎です。物持ちが良いほうです。

 ところで、不幸なテロ事件が起きて以降、何かと喧しいフランス・パリですが、そのパリの空港でテロとはまったく関係ないちょっとしたトラブルが発生し一部ギーク周辺でネタとして盛り上がっていた話題があったので拾ってみました。

Windows 3.1の障害によりパリ=オルリー空港が一時閉鎖の事態に(Gigazine 15/11/16)

パリ郊外に位置するオルリー空港ではシステム障害により滑走路が一時的に閉鎖されるという事態が発生していたのですが、その原因がWindows 3.1の障害にあったことが明らかになっています。

(中略)

「いまだにWindows 3.1が動作している」というだけではなく、それがフランスの航空業界の大動脈と言える2つの空港を管理するシステムの一部で稼働している事実に驚きを禁じ得ないところです。

出典:Gigazine

 Windows 3.1とはまた随分と枯れたシステムを使っていたんですね。いまどきWindows 3.1が動くシステムを自由に使いこなせる現役エンジニアはIT業界の中でもそれほど多くはないことでしょう。なにしろこのOSが登場したのは今から20年以上前でして、その後Microsoftのサポートが終了したのは2001年12月31日。一般的なIT業界の常識からすれば、こんな時代遅れのOSを一線のシステムで稼働させるのは狂気の沙汰と言われても仕方のない事態です。ネット民の多くもこの事件に対してはネガティブな意見を表明していて、まあそうなるだろうなという感じはあります。

しかし、本来、人の命を預かるような本当にクリティカルなシステムというのは完全にバグも出尽くして枯れきって何をやってもこけないくらいの安定したものである必要があるわけでして、今回は不幸にしてこけてしまったようですが、概ねWindows 3.1は枯れきっていて空港のようなシステムには適していたということなのかもしれません。さすがに枯れたWin3.1が安定するのかはよく知りませんが。あいにく英文ですが、そのあたりの事情を解説した記事があったのでご紹介しておきます。

A 23-year-old Windows 3.1 system failure crashed Paris airport  Some of the most important networks and systems today are woefully outdated. And that isn't always a bad thing.(ZDNet 15/11/16)

 上記記事の中では米軍の核ミサイルを扱うシステムについての言及があり、そのシステムはフロッピーディスク上で動く何十年も昔のものであるそうですが、インターネットには接続されていないため、サイバー攻撃に対しての脆弱性を排除できているとあります。IoTが謳われる時代においては、ネットにつながっていないことがある意味で最強なのかもしれません。

 あまりに古いシステムは、その古さ故に今日普及している最新システムよりもサイバー攻撃のターゲットになりにくいという利点さえあるという見方もできます。

 それでは古いシステムは何が一番の問題であるかといえば、メンテナンスできる人材や機材といったリソースが枯渇してしまうことにあるようです。実際、パリのシステムも3名いる担当エンジニアのうち一人が2015年末で退職するとありますから、まさにメンテナンスのためのリソース不足が喫緊の課題と言えそうです。円滑にまわすためにお爺ちゃんが不足するというのはどうなのかと思うわけですが。

 パリのシステムは今後2017年までに最新の状態へアップデートすることを目指すそうですが、最新のシステムにすることによる新たなサイバー攻撃の不安を抱えることになるのかもしれません。何が最適解であるかは状況によって違うかも知れず、セキュリティはなかなかむつかしいですね。