任天堂がSNS的なビジネスへの新規参入を目論んでいると聞いて

 山本一郎です。ビッグディールを予想するのが趣味です。

 ところで、任天堂が第2四半期決算を発表しておりました。

任天堂、5年ぶり中間営業黒字 フィギュアやダウンロード販売寄与(ロイター 15/10/28)

 なかなか好調な数字が出ていたわけです。で、この決算発表の翌日に新しい君島体制として初の経営方針説明会が執り行われたのですが、その発表結果が思い切りダイレクトに株式市場へ反映されることとなりました。まずは良かったね、といったところでしょうか。

ディーエヌエーが一時ストップ安、任天堂がスマホ向けソフト配信延期(ロイター 15/10/29)

任天堂が下げ転換、スマホゲーム投入時期の遅れを嫌気(ロイター 15/10/29)

 各種分析がメディアを賑わせていましたが、まあ思うことは皆同じでして、年内公開予定だったスマホ施策がすべて延期となったことで年末商戦での大きな躍進が望めなくなったというのはかなりの痛手でありますが、それ以上に各種施策の具体的なプランについて説明がほぼ皆無であったことが不信を招いたのではないかということでしょう。

任天堂:スマホゲーム配信延期 市場失望、株価急落(毎日新聞 15/10/29)

説明会では、米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」の運営会社と共同で開設を進める任天堂キャラクターを使ったアトラクションや、来年発売予定の新型ゲーム機「NX」の概要についても明らかにされず、事業方針は目新しさを欠いた。

出典:毎日新聞

 あとは唯一具体的な内容が提示されたスマホアプリ第一弾の「Miitomo」が純粋なゲームではなく一種のメッセージングアプリだった点も、残念ながら良い意味ではなく悪い形で皆の期待を裏切る結果になったのではないかと思わなくもありません。

任天堂とDeNAのスマホゲームで俺たちVやねんの空気、延期で一変(全力かぶ2階建 15/10/29)

任天堂、同社初のスマホアプリ『Miitomo(ミートモ)』を発表 特徴はネタふりコミュニケーション(Social Game Info 15/10/29)

ユーザーが自分のことを自分から発信するのではなく、Miiから訊かれたことを、Miiが勝手に発信するという、いわば「ネタふりコミュニケーション」が『Miitomo』の特徴となる。「ネタふりコミュニケーション」は、能動的に発信することに消極的な人も参加しやすい、という利点がある。

また、あえて自分からは言わないけれど、訊かれたら言いたい、というような、潜在的な話題を掘り起こすことができ、友達のこれまで知らなかった意外な一面や、思いがけない共通点を発見できる

出典:Social Game Info

 そうですか…。

 この任天堂の思惑について穿った見方をすると、これまでSNSなどを使って自ら積極的に発信していなかった層を取り込んで、無理矢理情報発信させることでネタにしようとしていると解釈できなくもなく、こんなことをしていると将来的に大きなトラブルの種にならないのかと他人事ながら心配になります。他での説明を見ると、任天堂が独自に提供するアカウント以外にも既存のFacebookやGoogle、Twitterのアカウントでログイン可能な連携システムを検討しているようですから、Miitomoで変な発言があればそのまま引用されて世界中に流れていく可能性は大いにありそうです。失敗して炎上してからようやく学ぶというのがSNSな世界の常でもありますから、その炎上の輪の中に任天堂も自ら参入してバリバリ商売しようということなのかもしれませんね。

 かつて任天堂といえばユーザー間で行われるコミュニケーションを全量監視しようとしたというアレな話もありましたし、あまりその方面にはセンスを感じないのは私だけなのでしょうか。

 まあ、日経のインタビュー記事を読む限り、Miitomoしか発表しなかったのはわざとだそうでして(事実かどうかは別として)、君島社長の野望はまだまだ広がるとのことですから、ここは来年どのような展開が待ち受けているのかその成り行きをのんびりと生暖かく見守りたいと思います。

任天堂社長「8言語で100カ国以上に展開」(日本経済新聞 15/10/30)

――株価は大きく下がりました。

 「我々への期待の声はいろいろと聞いていた。それと違うモノが第1弾で出るのはギャップがあるだろうと考えていた。将来的に楽しんでもらうための土台としてあえてそうした」

出典:日本経済新聞

 やっぱり炎上商売なんでしょうか。

 そうだとすると、やはり任天堂がSNS方面も機能的に取り組んでいくのだとすればDeNAよりもゲームのヒット作品があり、国産SNSの雄として飛ぶ鳥が落ちた感じで泣く子も喚くmixiという会社があるので、ぜひ買収を目指すビッグディールをご検討いただきたいと強く願う所存であります。