Appleの広告ブロック施策に早速Googleが対応するようです

 山本一郎です。私もときどきアルコールに知性がブロックされてキーボードを打つ手がクラックされてしまいます。自動運転は危険ですね。

 ところで、AppleがiPhone・iPad向けOSに広告ブロックなどが可能となる機能を導入したことで色々と騒がしいことになっています。当然ながら広告会社とその広告で収益を上げているウェブメディアはこの件に対して神経質にならざるを得ません。

 実際にどのようなことが可能で、その結果どのような影響が生じそうかということについては既に様々なメディアで報じられていますが、とりあえずは以下の記事などがやや長文ではありますが丁寧にまとめられていると思います。

iOS 9の隠れた目玉機能、「広告ブロック」とは何か? - モバイルWeb広告における影響を考える(ASCII.jp 15/9/22)

iOS 9ではいくつか新機能が導入されているが、その中で一部で大きな話題となっているのが「広告ブロック」(Ad Blockers)機能だ。iOS 9で広告ブロック機能が導入される話は以前から出ており、チェックしていた方は少なくないだろう。一方で、実際に「どうやって機能を有効化すればいいかわからない」と思った方もいるはずだ。本稿では、同機能の簡単な利用ガイドと概要、そして「広告ブロック」機能が周囲にもたらす影響と反応についてまとめたい。

出典:ASCII.jp

 ただ、広告提供側としては、じゃ実際にこの機能が動作すると具体的にどうなるのかがイマイチ分からないということが大きな問題なわけですが、その辺りを検証した方がブログ記事を書いておられました。これはなかなか参考になります。

【検証1】iOS9の広告ブロック機能は、運用系広告の脅威となるのか?【150921更新】(でぶててのWEB録 15/9/18)

【検証2】iOS 9の広告ブロックがGAを無効化!の件を、広告屋として調べてみた(+Optmizely)【150923更新】(でぶててのWEB録 15/9/19)

【検証3】iOS 9の広告ブロックが、タグマネージャーに与える影響は?(でぶててのWEB録 15/9/23)

 現状での結論としては、いますぐ大きな影響は出ないかもしれないけれど、今後同サービスを利用するユーザーが増えれば確実に何らかの対応が広告提供者側に求められることになるだろうというところでして、特に注目されるのは「広告がブロックされていても、広告表示回数はカウントされる っぽい(AdWords検索)」というデータでした。これは端的に現行広告課金システムの破綻を意味します。

 ははあ、これはやはり大変なことになりそうだなと思っていたのですが、早速Googleが対応策を提示してきました。

Google AdWords、表示されたディスプレイ広告のみを課金対象に(ITmedia 15/10/1)

米Googleは9月30日(現地時間)、オンライン広告サービスAdWordsのディスプレイ広告の単価制を、CPMから画面上に表示された場合のみ課金するvCPM(viewable CPM)に移行すると発表した。

(中略)

Googleは、米AppleがiOS 9で追加した「コンテンツブロッカー」とそれを利用する広告ブロックアプリについては触れていないが、少なくともブロックされた広告について課金される懸念はなさそうだ。

出典:ITmedia

 まあ、これだけではブロックされてしまった広告がエンドユーザーに見てもらえないという根本的な問題は解決できませんが、そうした機能しない広告で無駄に課金されるということだけは防げることになります。できる限りの対策は打つぞ、ということなのでありましょう。広告ブロックが当たり前となりつつある時代を迎えるにあたって、まずはとりあえずの第一歩という感じでしょうか。Google以外の広告事業者も同様な課金プランへの移行を進めざるを得ませんし、これでCPMという概念は廃れていくように思えます。

 それにしても、これからしばらくウェブ広告周辺は色々とごたごたしそうですが、一体どのあたりが落とし所になるのか今は皆目見当が付かないというのが正直なところです。ちなみに、当初は有料版しかなかった広告ブロック用アプリですが、この記事を書いている時点ですでにいくつかの無料版が登場してきているため、試しに使ってみようというiPhone・iPadユーザーの数は今後飛躍的に増えそうですね。

無料のiOS 9“広告ブロック”アプリ「Adblock Plus」が公開(ASCII.jp 15/10/2)

エフセキュア、iOS 9 ユーザ向けに無料広告ブロックアプリを発表(エフセキュア 15/10/2)

 このあと、より強烈なプライバシーコントロール機能がiOSに搭載されるのではないかという噂もありますし、テクノロジーが進歩したから一本調子で広告業界もターゲティングで潤うというわけではなさそうです。

 一方、我が国のデジタル広告がらみの法制は後手に回っているといういつもの雰囲気ですので、まあしょうがないとはいえもうちょっとどうにかならないのかなあと思う気分でいっぱいです。