AppBank、GREE『消滅都市』とガンホー『パズドラ』で常習的にステルスマーケティング実施か

 山本一郎です。お世話になっております。

 どんなに辛いことがあっても、涙を拭いて前を向き坂道を登っていくのが人生というものであります。やっぱりメディアという仕事は高い倫理観を持って王道を歩んで欲しいと思うンゴねぇ…。

 先ほど、私のほうで一個前の記事において勝手に期限を切らせていただいた15日18時ごろ、AppBankの中の人より以下のような熱いメッセージをいただきました。

AppBankが上場承認されましたが、ステマ記事が多いのは問題ではないでしょうか(ヤフーニュース個人 山本一郎 15/9/14)

「当社からしますと、いささか事実とは異なる部分があるようにも思いますが、その一つ一つを掻い摘んで論難するつもりはなく、今後とも、貴重なご意見、ご指摘であると真摯に受け止めて、これを活かして、改めるべきは改めるという今後の行動そのものでご理解を賜りたく、徒に反論をし、泥仕合をしようとは思っておりません」

「いささか事実とは異なる部分がある」のであればぜひお知らせいただいて、適切な形で「『誠実』『素直』『正直』に社員一丸となり一歩一歩、前に歩んでいきたい」

AppBankの中の人

 そうですか。

 ところで、「ステマ(ステルスマーケティング)って言われても、何が問題なんだか分かりにくいよ!」とお嘆きのあなた。お任せください。この問題は、要するに「客観的で中立な記事を装ってメディアが掲載したけど、その記事は金もらって、業者にとって有利な宣伝となるよう手配されていた」ことに課題があります。読者からすると、普通の記事に見えるため、うっかり信じ込んで、これは良いものだと読者が思い込んでしまう。これを、『優良誤認』といいます。

 「ステマなんて引っかかる奴が馬鹿だろ」「嘘を嘘と(ry」という声も多いようですが、そいつが馬鹿であるかどうかは別として、このステマのむつかしいところはステマがステマそのものがアウツというわけではないのです。「これはステマだから今日が命日であって欲しいですね」となるには条件があります。それは、「取引の確認を明示されているか」と「有利誤認や優良誤認を消費者に導くものであるか」です。前者は、越後屋から金を包まれているのに山吹色のお菓子と言い換えて懐に入れる優越者が、その優越的地位を利用して金を包んできた業者の言うとおりに権威を振るうこと。後者は、価格が著しく消費者にとって有利に見える誤認を促すか、品質や効果が実態と異なるほど素晴らしいものであると誤認させるかです。一般論として、アプリにおけるステマとは「広告宣伝費やタイアップ料を媒体が受け取っていながら、その関係性を明示しないで提灯記事をダマで書く」ことと、「大して凄くもないアプリを、凄いものであるかのように見せる」優良誤認を導くことで、景品表示法上の不当表示であり違反だと判断されるわけです。

博報堂が、日産や『テラフォーマーズ』などのPRでステルスマーケティングを展開(ヤフーニュース個人 山本一郎 15/8/29)

消費者庁 『ステマ』は景表法違反、"限度"超えれば優良誤認(通販新聞 12/5/17)

ステマ問題でヤフーが本格調査 浮かび上がる“黒幕”たちの存在(週刊ダイヤモンド 15/8/12)

【追記】「Yahoo!ニュース」からステマ記事排除へ、悪質事業者には法的措置も--ヤフー声明(CNET 15/7/30)

 一連の話は、摘発だ逮捕だお縄だ桜吹雪だというものよりは、むしろその媒体の信頼の問題であり、読者と媒体がどういう関係を築くか、ロイヤルユーザーが参考に足る記事を書いて媒体と一緒になってどこを目指すのかということですので、媒体の倫理観だとか、物事を正しく運ぶ意欲や能力があるかといった内容になるわけであります。

 そして、本来であればこれらのステルスマーケティングは、もっぱら首謀者は媒体社、すなわちこの問題であればAppBank側に責任があると見えやすいですが、実際にはステマを持ちかけた側、たいていにおいて代理店や、PR会社、クライアント(この場合はアプリ開発会社)が責を負うことが多いです。しかしながら、AppBankに限らず、この手のステマをやってくれる媒体社はだいたい”累犯”で、代理店やPR会社は「この媒体社は何でもありだから金を払えば提灯記事もステマもやってくれる」と分かり次第、繰り返し依頼をしてきます。そして、ステマは割の良い仕事である分、売上を積み上げたり、利幅を確保するのにもってこいで、しかもタイアップサイトはそれなりに高額(1,000万円以上)で取引されていることもあって媒体社側からすればモラルさえ捨てればおいしくてやめられないというシャビーな感じになるわけであります。

 そもそも、専門性のあるオンラインメディアでアプリ商売一本の紹介ビジネスと動画を組み合わせた程度の事業で、11億の売上で4億円の利益を上げるなんてあり得ないだろ、リワード広告やステマ組み合わせて利益を膨らませる別の仕掛けがあるからこうなってるんだよ、という話をご説明したい気持ちでいっぱいです。

 や、カラクリについては、ちょっと考えれば分かると思うんですけどね。

 それに、そんだけ利益が上がっているんなら、もっと面白い記事が書けるようライターさんにもおおいに還元するべきだと思うんですよね、上層部の人たちだけで楽しそうにやってないで。役者でもないアラサーアラフォーの皆さんが学生服着て戦隊モノの映画を撮るのにクラウドファンディングでカネを集めようとしたりしてて、そんなの手銭で自分たちでまず撮って、興行収入が取れて黒字になるならファンやユーザーとシェアしとけって話です。ノリでやるのはいいんですが、そりゃ調子に乗りすぎだって誰も止めないの? 止まらない組織なの? まあ、だからこそ倫理を考えずステマやリワード広告で儲かったうぇーいって歯止めがかからずに突き進んでしまうのでしょうけれども。

 どうしてもステマの問題について細かく知りたいぞ、という方は、今夜(9月15日)深夜24時05分からのフジテレビ系ホウドウキョク『真夜中のニャーゴ』にて、概要をじっくりと説明差し上げられればと思っております。こんなコアな話を2時間喋る私もどうかしているんじゃないかと感じますが、視聴者の皆さんと一緒に狂って参りたいと存じます。

 っていうかあと本番まであと5分ぐらいしかないじゃねーか。

フジテレビ系ホウドウキョク

■GREE『消滅都市』の場合

 GREEのスマホアプリ『消滅都市』は、15年2月以降毎月600万円の『AppBank媒体広告』費用が支払われ、AppBankメディア側には記事の一本として「PR」「広告」と書かれておらず、それはそれは見事なステマが展開されております。都市が消滅するというよりは、広告表記が消滅しています。

広告動画への誘導になっている記事は広告ではない勝手記事だそうですよ奥さん。
広告動画への誘導になっている記事は広告ではない勝手記事だそうですよ奥さん。

 個人的には『消滅都市』自体はしばらくプレイしてて好きなアプリだったんですが、なんでしょう、自分が好みだったアイドルが路チューでも発覚したような気分は。

 AppAnnieでのダウンロード状況を見ますと、ゲームとしては下火になってしまいながらも、GREE特有の意地と根性と人事抗争、責任の押し付け合いその他様々あるのか、まだまだ広告費を垂れ流し続けながら頑張っている状況のようです。このやめるにやめられない感じが、往年のかっぱえびせん状態を感じさせ、心躍る心境であります。

 取引自体はアプリリリース前の2014年7月度から発生しており、去年の東京ゲームショウ向けの発表からスタートしていますが、プロモーション企画自体は順調にコケ続け、15年2月度以降も毎月600万円が広告宣伝費、タイアップ費用としてAppBankに注ぎ込まれ続けています。さすが任天堂の倒し方を知っているGREE、100億円の営業赤字に転落してもやることが一味違います。お袋の味です。

 肝心の『消滅都市』も、しばらくAppBankその他広告に金を張り続けていますがいまなお大きく浮上するめどが立っておらず、AppAnnieの数字をみてもAppBankにいつまでお布施を払うつもりなのかがいまいち良く分からない情勢になっています。

 AppBankの説明によると、このような内容のようです。

GREE様との取引に関しましては、2月~7月まで毎月600万のご発注を頂いております。

内訳に関しては下記の通りです。

・マックスむらい動画広告 450万円(150万円×3本)

・バナー 150万円分(配信場所は毎月都度指示頂き確定)

・また記事に関しては金銭の授受の対象外となっており、当社の勝手記事になります

AppBankからの返信

 意味が良く分からないんですが、動画広告があって、その広告を踏ませるために動画リンクのある記事を掲載するのは勝手記事であるという認識のようです。常識的に考えれば、そういう広告を踏ませて動画を観させるための記事である以上、これも記事広告と考えるべきなのではないでしょうか。

我らが『消滅都市』が消滅しかねない物悲しいランキング。広告効果はどこよ
我らが『消滅都市』が消滅しかねない物悲しいランキング。広告効果はどこよ

 外野としては「見込みが無いなら早くやめちまえばいいのに」と感じる一方、ゲーム自体は個人的には面白いと思ったんですけどね。

 ということで、現状ではこの払い続けられている『消滅都市』のアプリにおいては、広告記事には関係性の明示はされておらず、タイアップ動画でも以前のものは「提供」がしるされること無く放置された状態です。動画においては冒頭に「提供」とか「スポンサード」などと挿入するのも手間でコストだと考える節が強く、AppBankに限らず動画で飯を食っている各社が機敏に反応している姿を見たことがありません。

 しかしながら、例えばテレビ業界などで提供が変わったり、コンテンツの販売先で権利が確保されなかったりするとそもそも放映できないという厳しいレギュレーションで事業が成り立っていて、さらにそれが当然であるという考え方になります。どこぞの村井さんが「ゲーム動画はテレビよりも面白い」と豪語する割には、テレビほどの手間をかけずにファンビジネスで儲けようとしているのであれば、それは甘い考えだとなりかねないので、過去の動画にさかのぼって当たり前のように「提供」を入れ、関係性を明示して適正な事業にして欲しいと強く願う次第であります。

 更新時期が8月以降だから「提供」が入っていないというのは業者の都合であって、そこからコンテンツを見る人には何の関係も無いことですし。

■ガンホー『パズル&ドラゴンズ』の場合

 こちらは順調にヒット作を大事に育ててきたガンホー『パズル&ドラゴンズ』ですが、このパズドラ攻略サイトは月額300万円固定の広告費が支払われ続けており、この攻略サイトはタイアップであり(C)はガンホー併記ではなく単独でAppBankであるというところに「分かってやってるのか彼らは」という心配が先に募るという状態になっております。

 Appbankとしても出世作というか、メインコンテンツとして扱ってきた実績も仁義もあるでしょうから、大事に関係性を維持しているのだと思います。座っているだけで300万の売上が毎月あり、関連記事を出せば人気作の情報を求めるユーザーがPVを押し上げ、動画を作れば攻略のヒントにしたい中高生がやってきて動画再生数を爆進させるというメディアとゲームの相思相愛の図式が出来上がっているのは良い話ですね。

ほぼ全部がタイアップ広告扱いといっても過言ではないぐらい押しまくられるパズドラ
ほぼ全部がタイアップ広告扱いといっても過言ではないぐらい押しまくられるパズドラ

 逆に言えば、AppBankに限らずメディアの商売というのはこの金の卵となるヒット作品や話題性のあるネタを持っている周辺に陣取って、その情報を渇望しているユーザーが集まってくるのを待ちつつ、その人たちに無関係の作品や広告を見せて全体を成り立たせる、というビジネスモデルになっているわけです。

 だからこそ、同じくヒットコンテンツであるミクシィ『モンスターストライク』と組んで、マックスむらいが面白くなさそうにプレイしている動画が出ていても観に来るユーザーはいるのでしょうし、最近は同じくそこそこのヒットをしているコロプラ『白猫プロジェクト』ににじり寄っていく力士のような状態になっているのも良く分かります。

 やはりここで問題になるのは、関係性の明示です。当たり前ですが、過去の経緯はどうであれ、広告費が払われ、その具になっているコンテンツがある以上、消費者にとってきちんと外から見ても分かる表記が無ければステマと判断されます。

 AppBankに「これはどうなっているのか?」と質問したところ、次のような回答がありました。

上記の件に関しまして、内訳は以下の通りとなります。

・パズル&ドラゴンズ攻略アプリおよびサイトへの広告掲載料(バナー広告枠へのバナー広告配信)

・AppBank.netにおけるゲーム攻略記事連載およびバナー配信(サモンズボード、ピコットキングダム、三国テンカトリガー)

従いまして当社としましては不明朗なものではないとの判断でおります。

AppBankからの返信

 ええと、AppBankの請求の資料を見るに、『サモンズボード』やタイアップの『ピコットキングダム』、『三国テンカトリガー』の広告費請求は別の計上になっていて、バナー広告枠へのバナー広告配信だけで月額固定で300万円があるのだとしても14年9月の600万円、14年11月の1,500万円(いずれも税別)が全部バナー広告の掲載に消えたってことなんですかね。単価が合いませんね。

 例えば、今期はガンホーからパズドラ関連の費用だけで15年4月度は594万円、15年5月度は648万円(税込)が支払われていますが、AppBankの記事や広告、タイアップの攻略サイトにおいて「広告」「PR」という表記が為されているものは見事にありません。これもアプリやサイトへの広告バナーで使われたのだとすれば、さすがに高額すぎます。

 いままでのこともあり、信頼関係があるのでしょうが、単純にズブズブで脇が甘いのと、独立した事業同士でしかるべきコンプライアンスを完備してビジネスとしてちゃんとやるのとでは見え方が大きく異なります。やはり、売上としてお金の授受がある以上、その対象となっているコンテンツについては広告表記を行ったり、提供ロゴを入れるなどし、パズドラで「課金は一切行っていない」とかいわず、ゲンスルーどころかガリガリに広告費もらってAppBank運営してますぐらいの話はしたらいいんじゃないでしょうか。

■きょうのCyberZ

 木曜日から始めるゲームショウで、CyberZが出てきて「有料での記事出稿のご相談」を打診するメールが媒体各紙に出ていて素敵です。

 いいですね、このファンタジー世界におけるオークのような懲りない存在。むしろ、愛すべき定番として、末永くイット業界で語り継いでいきたい思いでいっぱいです。

 普段は他人に喧嘩を売ったりしない、暖かく穏やかな性格の私としても、彼らに負けないよう頑張って日々を生き抜いていきたいです。ありがとうありがとう。