モバイル機器用外付けキーボードが特許紛争で揉め事に

 山本一郎です。暑いですね。扇風機を回しながら出歩きたい気分です。

 ところで、普段のモバイル環境ではiPadに外付けキーボードという組み合わせで利用する機会が少なくないほうなんですが、この度、スマホやタブレットなどに使える外付けキーボード類が国内では特許侵害の対象となりそうな事態が発生しております。

“既存の外付けキーボードの多くが抵触する特許”が登録(PC Watch 15/7/8)

エイディシーテクノロジー株式会社は、スマートフォンやタブレットに使用される外付けキーボードに関する特許2件の取得を発表した。

 取得された特許は、第5524148号「コンピュータ装置」、第5149336号「コンピュータシステム、及び、このコンピュータシステムで用いられるキーボード」。

(中略)

同社では「現在市場にある多くの製品は、この2件の当社特許に抵触すると思われる」としており、業務などでスマートフォン、タブレットに外付けのキーボードを使用してデータを入力する場合にも、これらの特許に抵触する可能性が大きいという。

出典:PC Watch

 当該特許の2件がどのようなものかについては、上記記事にて図解付きで説明されていますので、まずは皆さんリンク先をご覧いただきたいと思いますが、国内IT関連事業者全員にとっても激震の内容と言えそうです。

 当然ながらネット民からも多くの声が上がっておりまして、ここではその中から特に注目したいものをご紹介しておきます。

ADCの青木氏は有名な特許ヤクザだからな。全ての(番組表付き)液晶テレビも折りたたみケータイもアホ特許で青木氏に特許料取られてる。日本の並み居る家電メーカーに裁判で勝った日本最強の特許ゴロ。

出典:はてなブックマーク

2005年の特許出願の分割出願だから、新規性・進歩性の判断基準時は2005年として扱われる(PS3やW-ZERO3より前)。2回拒絶理由が通知された上で特許にされているように、簡単には無効にできないよ。

出典:はてなブックマーク

 言葉尻はともかく、なんとなく状況は感じ取れます。実は今回の特許を出願しているエイディシーテクノロジーは特許ビジネスを生業とする企業なんですね。確かにガラケーの時代にも大いに業界を震撼させるような事件を起こしているようです。

エイディシーテクノロジー、背面液晶を搭載した携帯電話の特許取得(ケータイWatch 03/3/5)

今回同社が取得したとされる特許は、2つの液晶画面を搭載し、インターネットにも接続可能な携帯端末に関するもの。同社によれば、「第1のディスプレイとは内側のメインディスプレイのことで、第2のディスプレイとは背面液晶のこと。現在販売されている折りたたみ型携帯電話の大部分は、この特許に抵触している」という。

出典:ケータイWatch

 この特許に不服だったドコモとNECはエイディシーを相手取って民事訴訟に踏み切り見事勝訴、最終的には特許庁がエイディシーの特許を取り消すという展開になりました。

携帯電話の2画面特許,NECとドコモ側が東京地裁で勝訴(ITpro 04/10/7)

「2画面特許の訴訟は、まだ終わっていない」~ADC(ITmedia 04/10/12)

 その後もエイディシーはさらに戦うつもりだったようですが、続報は聞かずじまいとなってしまいました。

 その後は、ゲーム機絡みで勝負に出たこともありました。

和製パテントトロールが米国で特許訴訟(個人発明家blog 08/10/30)

「ゲーム機世界大手のソニー、任天堂、マイクロソフトの3社が、ビデオゲームの通信システムに関する特許侵害で提訴された。訴えを起こしたのは、愛知県名古屋市に本社を置く特許ライセンス企業のエイディシーテクノロジー(ADC Technology)。

 ADCは同社が保有する5つの米国特許(5,775,995、6,193,520、6,488,508、6,702,585、6,875,021)をゲーム機大手3社に侵害されたと主張している。2008年10月27日付けで、米国ワシントン州の西部連邦地方裁判所に提訴した。」

出典:個人発明家blog

 この件、ほとんど続報はないようですが、どうやら2011年までグダグダに引っ張った挙げ句、訴えが引き下げられたように読める資料が米国のサイトにあったのを目にしたことがあります。詳細は良く分かりませんが、どこかに続報が転がってたりしませんでしょうか。

 もちろんエイディシーが見事思惑通りに大勝利した特許案件もありまして、その一つがEPG関連なわけですが、このあたりもメディアではあまり表だって報じられることはありません。そうしたなんとなく歯切れの悪い状況を皮肉っぽく書いたブログ記事をご紹介しておきます。

なぜDVDレコーダーにテレビで使えるEPGがつかない(03/3/6 ARTIFACT)

なぜDVDレコーダーにはテレビで使えるEPGが採用されないのか?という理由に追及して欲しいところです。結局、各社としても装備したいけど、EPGの使用料金の高さが問題のはず。

 EPGの特許を持っているのはエイディーシーイテクノロジーというところなんですが、ここは有名なパテントマフィアの会社だそうで。

出典:ARTIFACT

 さて、今回のキーボードにまつわる2つの特許の行く末はどうなるのでしょうか。下手をすれば私の愛するiPad環境にも大きな影響が出ることだけに、しっかりと見守りたいところであります。