「通信の最適化」問題がようやく炎上案件に発展、今後の展開が楽しみです

 山本一郎です。「ギョーカイ受けする記事が多いので読んでて苦痛」という反響を頂戴しました。うるせえ馬鹿。

 さて、以前から地味に燃料は投下したりしていたのですが、あまり反応がなく寂しい思いをしておりました。

音声通話定額を巡っての携帯業界横並びの美談(14/6/28)

携帯3社仲良く揃って、今度は通信の最適化を巡ってのオプション料金競争みたいなものが起きる可能性は十分にありそうです。で、またきっと蓋を開けてみたら事実上の横並びになって、ユーザーからすればどこを選んでも単なる値上げというオチが待っているのかもしれません。仲良きことは美しきかなという武者小路実篤の言葉を思い出してしまいました。まさに美しい国であります。

出典:やまもといちろう 無縫地帯

 なんと苦節1年、臥薪嘗胆の末、ようやくにこの話題がメラメラと炎上を始めたようです。

 今回の事の起こりは、スマホでゲームアプリを落として遊ぼうとしたらエラーが起きて使えないということから、何かがおかしいということでその原因を調べてみたらキャリアが実施している通信の最適化が悪さをしていたというもの。それがSNS上で報告され、雪だるま式にどんどんRTされていく中で、プライバシーフリークな皆さんも熱い議論を展開し、遂には我らが高木浩光師の強烈なまとめが公開されるという美しい展開でした。

ハッハッ、見ろ!第1種電気通信事業がゴミのようだ!! #通信の最適化()(Togetterまとめ)

 このまとめ、例によってもちろんわれらが高木浩光師の手によるものでして、すべてを盛り込もうとするフリーク気味の内容になっており、やや長くて読むのが面倒な感じが素敵です。しかしプライバシーフリークを目指す方ならば全文読破必須、そしてそこまではいいやという方の場合はザックリと事の次第をまとめた以下の紹介記事などが分かりやすいかもしれません。

携帯電話事業者のデータ通信、「最適化」と称してデータが非可逆圧縮される措置に批判高まる(やじうまWatch 15/6/29)

関連するさまざまな情報が共有されるうち、ドコモでも「通信の最適化」というオプションが存在していることが判明。何より問題なのは、機種変更などをきっかけに、ユーザーが知らないうちにこの機能が勝手にオンになっているケースが多いらしいことで、騒動がますます拡大しているというのが現状だ。

出典:やじうまWatch

 結局のところ、適用条件などに差異はあれど、大手キャリアの3社はいずれも通信の最適化を導入していることは間違いなく、その最適化が適用されてしまうと、通信データに間引きが生じる可能性があるということです。「最適化」と言えば言葉の響きは良いのですが、要はデジタルデータの改ざんが自動的に行われているという見方もできるわけです。

 今回の件では本当に色々な報告がネット上に出回っておりまして、どこまでが本当なのか判断できかねる例もあります。通信の最適化が行われた結果、画像データがいじられて画質が劣化した上にデータ量だけは小さくなるどころか大きくなっていたという話に至っては、もしこれが事実でありしかも他でも頻繁に起きている事象であるとすれば、キャリアは一体誰のために何を最適化しているのかという疑問を抱かざるを得ません。

悲報

左がauLTEで、ダウンロードしたjpeg

右がSoftBankLTEで、ダウンロードしたjpeg

auでダウンロードしたらサイズそのままで、落ちてきたが、SoftBankで落としたら画質悪くなった上にサイズがでかくなってる……

https://pbs.twimg.com/media/CIfXx5tUAAAP7F6.jpg

出典:電波やくざ@関東電測組電波部

 ソフトバンクモバイルの利用者におかれましては、勝手にデータが間引かれた挙句、ゲームが起動しない等の問題も多数報告されており、事実であれば、まあ恐らく事実なんでしょうが、完全に違法であります。

 こうした諸々の報告を目の当たりにして、激おこというような生易しいレベルでは済みそうにないほどに高木浩光師も激怒されております。

違法だろ。総務省は何やってるんだ。

出典:Hiromitsu Takagi

 違法ですね。

 総務省の中の人は早急に対応していただきたいと思う次第です。

 ちなみに、こういうキャリアによる身勝手な施策でユーザーが不利益を被るような事態が起きるというのは、なにも我が国だけの専売特許ではありません。どこの国でも起き得ることでして、そうした悪行がつい最近も米国で発覚したのですが、米国ではそうした行為を行ったキャリアに対して非常に厳しい制裁が科されることとなりました。

FCC、AT&Tに1億ドルの罰金支払い命令 ― 速度制限に関する説明が不十分(WirelessWire News 15/6/18)

米連邦通信委員会(FCC)が現地時間17日、AT&Tに対して1億ドルの罰金支払いを命じたことを明らかにした。無制限(使い放題)のデータプランに加入する同社のユーザーに対して、適切な説明なしに通信速度を制限していたことが罰金の理由とされている。

(中略)

通信事業者が透明性確保の規則に違反して処罰の対象になるのは今回のAT&Tが初めて。また1億ドルの罰金額は過去最高だという。

出典:WirelessWire News

 AT&T側はこれを不服として法廷闘争も検討しているとのことで実際に1億ドルもの罰金が支払われることになるのかどうかは不明ですが、これだけの額が提示されたということで業界への戒めとしては相当な効果があるのではないでしょうか。日本の総務省もFCC同様の強い意志表示をキャリア側に示すようなことがあれば面白いかもしれません。

 しかも、日本もアメリカも一連の問題は通信量をドカ喰いする一部のユーザーの利用料を他の平凡なユーザーが肩代わりするという部分も含めて利用料金の公平性に難があるとされる一方、ネットワークの中立性や、キャリアはどこまでユーザーを管理できるのかという別の問題も孕む大事に発展していきそうで、いまからワクワクが止まりません。

 総務省も大変かもしれませんが、まあやっちゃいかんことに対しては原理原則に照らして厳正な対応を粛々と進めていただければと願う次第であります。