山本一郎です。自分の不祥事は嫌いですが、他人の不祥事は大好物です。

 ところで、日本国内でSamsung製のSSDを愛用するPCユーザーはかなりの数に上ることでしょう。その一方で遠い昔に正規流通が廃された同社製Windows PCを使っている人というのはかなり特殊な例になるのではないでしょうか。しかし、日本国外では普通に製品が売られていますし、今年の初頭に発表されたモデルもなかなか力が入っておりました。

サムスンがノートパソコンとオールインワンPCを発表(ギズモード・ジャパン 15/1/6)

 なかなかお洒落ですね。デザインの良し悪しは正直良く分かりませんが、なんか頑張ってる感じはしないでもありません。残念ながらスマホと同じように世界市場でシェアのトップを競うような立場にはないようですが、同社のブランド力を考えればそれなりのユーザーがいるのではないかと推察されます。

 で、そのSamsungのWindows PCなんですが、常識で考えればあり得ないような仕様だったことが発覚して海外ではちょっとした騒ぎになっております。

サムスンの「Windows」コンピュータ、ユーザーに無断でWindows Updateを無効化か(CNET Japan 15/6/25)

少なくとも一部のサムスン製の「Windows」コンピュータは、Microsoftが提供するWindows本来のソフトウェアアップデートである「Windows Update」が無効化されるよう、自動アップデートされているという。

出典:CNET Japan

 これはやってしまいましたね。同現象を発見した人物がSamsung側に問い合わせたところ、MicrosoftのWindows Updateが動作すると同社製PCで不具合が起きる場合があるからという趣旨の回答があったようです。

SamsungがWindows Updateを無効化? 研究者が指摘(ITmedia 15/6/26)

サポート担当者は、「Windows Updateを有効にすると、動作するかしないか分からないデフォルトドライバを全てのハードウェアにインストールしてしまう。例えば、ラップトップ上にUSB 3.0があると、ポートがアップデートのインストールに対応できない可能性がある。それを防ぐためにSW UpdateツールでWindows Updateを防いでいる」と答えたとされる。

出典:ITmedia

 なるほど、そうですか。Samsungの仕様上の都合がMicrosoftの都合よりも優先されるということですね。まあ、PCが本来はPC/AT互換機であり、そのマシン上でWindowsというサードパーティ製OSが走るという仕組みであった経緯を思い出すと、Samsungの言い分ももっともなのかもしれません。昔は、意味の良く分からない部品同士の「相性」とか、windowsアップデートがあると突然動かなくなるマシンとか平然と存在していました。しかしながら、今どきのPCはきちんとしたWindows互換機としての性格の方が強いというか、ほぼWindowsマシンでしかありません。そこでSamsung独自の主張をされると、Windowsマシンを購入したつもりのエンドユーザーとしては困惑するしかありませんよね。

 Samsungはたまにこういう唯我独尊な仕様をユーザーに押しつける傾向がありまして、やや古い話になりますが、同社製Android端末に対応するWindows用ユーティリティソフトでもかなり悪質なことをやらかしたことがありました。

Samsung Kies のアプリが酷すぎる件(黒翼猫のコンピュータ日記 2nd Edition 12/4/18)

Samsung Kies のアプリが酷すぎる件 その2(黒翼猫のコンピュータ日記 2nd Edition 12/4/27)

Samsung Kies のアプリが酷すぎる件 その3(黒翼猫のコンピュータ日記 2nd Edition 12/9/12)

 私もうっかりSamsung製のスマホを仕事用に買ってしまい、PCと同期させるためのSamsung Kiesの更新が訪問先の公的機関のネットワークで勝手に立ち上がってえらい怒られたことがあります。そんなに警戒されていたとは知りませんでした。あれは私が悪かった。

 そんな不審アプリを勝手にインストールするということで、当時は一部のギークな人々の間で有名な話だったのですが、ドコモなどは華麗にスルーしていた案件でもありました。さすがに今はそんなことしてないだろうと思っていたら、今回のWindows PCの件が報道されて、三つ子の魂百までという言葉を思い出した次第です。

 たぶん、あんまり客商売について深く考えたことがないのでしょう。

 こんなことが起こると、MicrosoftもSamsungとのOEM契約を今後どうするか考えたりしてるのではないだろうかとする論考もありました。

MSのナデラCEO、新しい企業ミッションを明らかに(ZDNet Japan 15/6/26)

OEMが密かにWindows Updateを無効にしたり、不要なソフトウェアをプレロードし続けたりするようなことが起きている状態で、OEMに再び依存する判断を下すのは難しい。

出典:ZDNet Japan

 SamsungのSSDなどはその品質で群を抜いて世界的にも評価が高いわけですが、一方でこういう質の悪いことを平気でやっている辺りがなんとも不思議といいますか、どんな悪党でもたまに善行をすることがあるということで、それだけ人間くさい企業なのかもしれません。

 やはりここはSamsungにおかれましては一から魂を磨き、根性を鍛え直してTizenの再離陸と普及に社運をかけて取り組むべきであり、会社ごとTizenと共に倒れるぐらいの気迫を見せて21世紀ICT業界の仇花としていつまでも名残惜しい存在であり続けて欲しいと心から願っております。