スマホがPCを越える日が来年早々にはやって来そうという話

 山本一郎です。ワープロ用に使い慣れたXP機を使っていたんですが、最近では練習の成果も出てスマホのフリック入力で長い記事も書けるようになってきました。人間、やればできるもんです。

 ところで、国内PC市場は昨年のXP買い替えバブルの反動を受けてかなり厳しい状況が続いているようですね。

パソコン出荷台数半減 4月、「XP買い替え」反動大きく(日本経済新聞 15/5/21)

電子情報技術産業協会(JEITA)は21日、4月のパソコン国内出荷台数が前年同月比50.4%減の47万台だったと発表した。4月の出荷金額は448億円で、43.2%減だった。2014年6月から11カ月連続で台数、金額ともに前年実績を下回った。

出典:日本経済新聞

 そりゃそうですね。

 また、携帯電話市場においても、以前のようなスマホ人気で皆がイケイケムードだった頃とは打って変わって、かなり落ち着いた動きを見せているようです。

国内携帯出荷は3年連続で前年割れ スマホ移行の一巡で、ガラケーは7年振り増加(SankeiBiz 15/5/14)

民間調査会社のMM総研が14日発表した2014年度の携帯電話の国内出荷台数は、前年度比3・9%減の3788万台にとどまり、3年連続で前年割れした。スマートフォンが2748万台(前年度比7・2%減)と2年続けて減った。

出典:SankeiBiz

 面白いことにガラケーが再び人気を集めるといった傾向も見られるようですが、こちらも「一定の利用者層を維持するが、15年度以降は再び減少する」と予測されており、継続するものではないようです。

 まあ、そういう私も普段使いの通話用携帯回線ではガラケーを使ってるわけですが。

 その意味ではPCも携帯電話も乱暴にザックリと括ってしまえば「情報端末」ということになりますが、そうした情報端末市場全体が日本国内では既にピークを越え、国民全員に行き渡ってしまったという状況の中、今後は皆が持っている情報端末を使って、いったい何をして商売にするのかが問われる時代になるということなんでしょう。

 そういう状況を背景にして面白い調査データが公開されておりました。

スマートフォンからのインターネット利用者、2015年冬にはPCを超える可能性 ~ ニールセン、最新のインターネット利用状況を発表 ~(ニールセン 15/5/26)

 このデータで特に興味深いのは、単純なネット利用者数の増減そのものよりも、ネット利用時間に関する動向の変化です。

2015年4月にはPCから1日あたり54分インターネットが利用され、スマートフォンからは1日あたり1時間48分利用されていました。PCは前年同月比3分(5%)増とほぼ横ばい、スマートフォンでは8分(7%)増となりました

(中略)

性年代別のスマートフォンからのインターネット利用時間では、「29歳以下の女性」が最も利用時間が長く、1日あたり2時間24分利用していました。次いで「30代の女性」の利用時間が長く、1時間52分となっていました。全体では、女性が男性よりも長く利用する傾向があることが分かります

出典:ニールセン

 スマホユーザーはネットへ接続している時間が圧倒的に長く、なんとPCユーザーに較べて2倍の時間をネットで費やしていることになります。そして、テレビ視聴率でよく話題になるところのF1層(20~34歳の女性)にほぼ匹敵する女性ユーザー層がとくにスマホでネットを長時間利用している傾向のあることが分かります。このところ広告事業者の多くがスマホ向けの動画広告に多大な関心を寄せるのも、こうしたデータ的裏付けから、従来の主要広告ターゲットだったF1層がテレビからネットに移動している状況の反映とも言えそうです。もっとも、テレビと同じような広告手法がスマホでも有効なのかどうかは今後じっくりと精査していく必要があると思われます。個人的には、スマホでページを開いて突然動画広告を見せられたりしたら単にウザイとしか感じませんから。

 ニールセンのアナリストはこうした調査結果から以下のような考察をしています。

スマートフォンは若年層への普及が一段落して高年齢層へと普及する段階に入りました。

(中略)

このままのペースが続いていけば、今年の夏頃には5,000万人を超える規模に成長するでしょう。さらに、PCが5,100万人程度で横ばいに推移している状況を考えると、今年の冬頃には、スマートフォンからのネット利用者がPCからの利用者を超える可能性も考えられます。

出典:ニールセン

 なるほど、このまま順調に進めば来年初頭には国内ネット人口の過半数はスマホユーザーということになるようです。そして、現状のスマホユーザーの利用動向が継続するようであれば、PCが主流だった時代よりも人々がネットに滞留する時間は飛躍的に伸びる可能性がありそうです。非常に楽観的に考えると、ネットサービス事業者にとってはこれまで経験したことがないようなゴールドラッシュがやって来るのかもしれません。もちろん実際には事はそれほど単純ではないでしょうが。

 いずれにしても、スマホが広く普及する時代になってようやく日本でもネットが日常生活に浸透し始めることになるのでしょう。これはPCがなければ実質的なネットサービスを利用できなかった時代とは全く次元が異なる状況です。

 そうした変化に伴って、ITリテラシーのあるネット民であれば常識だったような様々な事柄が全く常識として通用しない人々がマジョリティーとしてネットにさらにあふれ、トラブルが増える可能性もあります。

「キケン! 水ぬれ充電」、携帯各社が安全充電の啓発ロゴ(ケータイWatch 15/5/27)

近年、水濡れが原因で充電時に充電端子が焼損するといった事例が発生していることを受け、各社がさまざまな媒体で安全な充電を呼びかける。

出典:ケータイWatch

 さすがに電気製品を水に濡らしたら危険ということは生活のなかで当たり前の知識と思っていましたが、そんなことは全然ないようでして、キャリア等が一致団結して啓発運動を行わなければならないいようです。うーん、なぜ今さらこんなことが起きているのか。下手にスマホに防水機能が搭載されたりしているからなんですかね。

 スマホは今後ますます多くの人々に普及していくことでしょう。そして機能が拡大される中で決済サービスなども充実していくのは間違いありません。しかし、そうしたスマホを誰もが安全に使いこなせるとは限らない点がなかなか悩ましいところです。

 PCをスマホが抜く日が来たことですし、ドコモがソフトバンクモバイルを再び抜いて、孫正義さんの毛が抜ける時期も来るのでしょうか。