Android搭載のガラケーに未来はあるか?

 山本一郎です。脳みその中に、ほんのり出血を促したり、頭痛を起こしたりする石を搭載しています。

 ところで、しばらく前の日経報道によると、これまで国内生産されてきたフィーチャーフォン、いわゆるガラケーですが、その生産がこれから2年先あたりを目処に終了となる見込みだそうです。

従来型携帯の生産終了 国内各社、17年以降(日本経済新聞 15/4/24)

パナソニックなど日本の携帯端末メーカーが独自の基本ソフト(OS)を載せた従来型携帯電話、通称「ガラケー」の生産を2017年以降に中止する。スマートフォン(スマホ)の普及が進み、ほぼ日本だけで通用する従来型携帯は開発が重荷になっていた。

出典:日本経済新聞

 そもそもガラケーとはなんぞやという話になるのですが、日経の記事の中で取り上げられているガラケーが意味するものは、Symbian OS等に代表される旧来の携帯電話で主流だったOSで動作する端末ということになります。そして、ガラケーが消え去っていく主な理由としては、Android以外のOSをベースにした端末の開発や製造にかかるコストがビジネスとして継続していくには見合わなくなってしまったということ。逆に言えば、今主流のAndroidベースで作れば採算に見合うかもしれないということでして、その結果いわゆるスマホとは違うハード仕様のAndroid携帯電話が作られる流れになってきています。

ガラケー進化中…「ガラホ」に相次ぎ新製品(読売新聞 15/5/16)

NTTドコモとKDDI(au)は、夏商戦向けの新商品に、「ガラケー(ガラパゴス携帯電話)」と呼ばれる従来型携帯電話に米グーグル社のスマートフォン用の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使った機種を相次いで発表した。

出典:読売新聞

 「ガラホ」という妙な日本語を最初に言い出したのはKDDIですが、どうも語感が良くないと言いますか何やら品の良さに欠けるものを感じるので個人的には極力使いたくないと思いつつ、Androidベースのガラケー的なものを他OS搭載ガラケーと区別する際には便利だったりします。普通に「ガラホ」って言われると糞みたいな保険制度でも新しくできたのかと誤解してしまいそうですしね。

 で、ドコモとKDDIではこのガラホ施策について微妙に異なる取り組み方をしてはいますが、両社共にスマホ以外の携帯電話を必要とするユーザーへの対応としてそれなりに力を入れて販売していくようです。一方、ソフトバンクは同じタイミングの夏商戦向け施策においてガラホの投入を見送ったようで、その理由も明快でした。

ソフトバンク宮内社長、「ガラケーは必要ない」とバッサリ(CNET Japan 15/5/19)

どう考えてもスマホの方が優れている。(フィーチャーフォンは)出してはいくが、ガラケーやガラホを宣伝したいなんて全然思っていない

(中略)

NTTドコモとKDDIは2015年夏モデルとして、Android OSを搭載したいわゆる“ガラホ”を発表したが、ソフトバンクモバイルはスマートフォンしか発表しなかった。

出典:CNET Japan

 乱暴な想像ですが、ソフトバンクがこういう割り切り方を出来るのは、ドコモやKDDIのような高齢層ユーザーをあまり多く抱えていないという事情があったりするのかもしれません。「割り切っている」といえばそれまでですが、ガラホユーザーは収益の根源ではなくマーケティング上は価値のない客が使うものと思っているように感じます。全国津々浦々の老若男女に対して広く手厚い対応をしなければならないドコモの社長がこういう発言をしたとしたらかなりの反発を招き炎上する可能性もありそうです。勝負する土俵が違うということでしょうか。

 Androidで動作するガラケー的なるものが、はたして市場でどれほど需要があるのかは今後の動きを見守りたいと思いますが、気になるのはAndroidというOSの抱える問題点、特にセキュリティの部分をキャリアやメーカーはちゃんとクリアしていくことができるのかという点です。

 ガラケー的なものを求めるユーザー層はスマホユーザーに較べて、残念ですがITリテラシーにやや疎い可能性を考えるべきでしょう。したがって、いわゆるガラホのセキュリティについては、スマホ以上に安心設計が求められるべきです。もし、ガラホに搭載したAndroidにセキュリティの不具合が発見された場合には、ユーザーへの負担が極力かからないような形でアップデートなどが提供されるのが好ましいわけですが、そうした対応ができるのかどうか。

 この記事を書いている現時点で、Androidの最新版はAndroid 5.0/5.1ですが、同バージョンを利用できるAndroid端末はかなり限られており、特に日本国内で流通する製品はGoogleのNexusシリーズなど非常に限定されています。同じ日本メーカー製でも海外流通製品は徐々に対応が始まっているのに、国内流通モデルはキャリアの都合などもあるのかアップデート自体が未定となっているものも少なくありません。

XperiaシリーズがAndroid 5.0に続々アップデート――日本のモデルは?(ITmedia 15/4/16)

日本で発売中のXperiaシリーズの動向が気になるが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルに確認したところ、「未定です。お答えできる状況ではありません」とのこと。日本のXperiaも、Zシリーズ以降はグローバル端末と同様にアップデートが進められてきた。タイミングは後になりそうだが、Android 5.0への対応にも期待したい。

出典:ITmedia

 こうした状況を見ると、日本国内での販売しか検討されていないであろうガラホといった製品がちゃんとセキュリティ部分で対応されるのかどうか非常に不安です。また、仮にOSのアップデートが提供されたとしても、このところAndroidの最新版は不具合が多発しており、伝え聞くところによると下手にアップデートして最悪の場合はハードが動作しなくなりただの文鎮状態になるという話もあるようでして、必ずしもOSを最新版にするのが最善とも言えないのが悩ましいです。

Xperia Z3など、ロリポップ(Android 5.0.2)アップデートは前途多難?海外では不具合報告の嵐(スマホ口コミ評価速報 15/4/27)

国内ではAndroid 4.4、もしくはそれ以前のOSをデフォルト搭載した機種のLollipopアップデート予定については、まだどこのキャリアからも何一つ発表がありません。

なんかかなり嫌な予感がしてきました。

出典:スマホ口コミ評価速報

 ドコモのガラホはKDDIのものに較べてスマホ的な機能をより省略しているようですが、もしかしたらこういう課題があることを念頭に面倒な部分は外したということなのかしれません。

 しかし、こうなってくるといっそ電話機能だけに限定して安い料金で利用できるようなケータイの方がうれしいのかもしれません。海外ではそういう思い切ったコンセプトのケータイも提案されているようです。

Light Phoneは、アンチ・スマートフォン(Techcrunch 15/5/19)

Light Phoneは現存するあらゆる携帯電話の逆を行く。小さくて薄く、充電は20日間持続し、文字通り電話をかけて受けることしかできない。

出典:Techcrunch

 こういうのを見ると、安全なOSにアップデートできない端末は実はリコールの対象になったり、情報漏洩や乗っ取りの対象となって損害が起きたときP/L法その他賠償請求の具になりはしないか心配でしょうがないんですよね。まあ、考えすぎなんでしょうけれども、そう思ってしまうぐらいもう少しどうにか利用者のことを考えた方策はないんだろうか?と思ってしまいます。

 Tizenの発展を祈念しております。