民主的な香港を守るために、日本に出来ることは何かあるのだろうか

山本一郎です。天安門広場大好きっ子です。

ところで、香港の動乱が本格的になってきました。先日、タイでも大規模な政治デモが長期にわたって展開されておりましたが、こっちは政治的に成熟しているとされるタイとはまた違った意味で収拾がつかない状況になっており、注目が集まっております。

行政長官選挙めぐり対立 中国と香港「一国二制度」は今どうなっているの?(THE PAGE 14/9/15)

息を吹き返した香港の民主化デモ、中国政府にも衝撃か(字幕・29日)(ロイター 14/9/29)

問題の情景や概要についてはTHE PAGEの解説を見ていただければ過不足なくご理解いただけるとしても、やはり気になるのは中国がかなり本気で介入に踏み切っている点です。確かに2000年代に比べて中国全体の経済における香港の比重は一貫して低下しており、香港が地盤沈下したというよりも、中国大陸の経済がおおいに発展して、中国経済の玄関口としての香港というよりは政治的、経済的なバランサーとしての機能が重視され、欧米と中国との相互理解の窓口になっております。

中国からの圧力に揺れる台湾では、この香港での中南海の動きを「香港は明日の台湾ではなく、今日の台湾だ」という論調で危機感を持って伝えられ、中国がある種のご都合主義で続けてきた「一国二制度」が習近平体制において名実ともに大国となる中国の赫々たる野心の前に修正を余儀なくされつつあるといえましょう。

かくいう我が国日本も、かねてから日中関係の悪化前後から「歴史カード」なるもので普遍的な歴史認識を日本が欠き、戦後賠償その他でいまなお責めを負っています。一方、日中間の互恵的な貿易体制は両国の経済依存を高めてきました。ある意味で、成長著しい中国経済へのアクセスを考えると、迂闊に中国共産党の嫌がることで失点をして他国に出遅れ中国の経済成長のおこぼれに預かれないよりは、外交的に膝を屈してでもうまく中国の意を汲んだほうが国益になる、と考えられてきました。

ここにきて具体的に中国経済が減速に転じ、加えて中国を支えてきた金融システムにおいて膨大な不良債権が積み上がって中国国営企業の不振が浮き彫りになってくると、果たして日本はいつまでも中国との互恵的な関係だけをアテにして外交的な譲歩をして良いのかという議論が出るのは当然のことです。また、中国が外交的に日本への侮辱・中傷外交を繰り広げており、アジア覇権の障害となる日本、ひいては同盟国アメリカの関与を減殺して、相対的に南シナ海や中央アジアの資源国に対する関与や圧力を高めていこうという考えがはっきりしてきています。

より俯瞰的に世界を見ると、中国の言い分が高い成長率を背景に浸透し始めている現実を日本としては見逃すわけにはいきません。宣伝戦はもちらん単体の大義名分が必要であり、旧日本軍が南京大虐殺等の非人道的な残虐行為を中国人に対して行ったのだ、という話になれば、数の大小は別として日本に対していまなお不利な環境が続くのは仕方のないことです。

そうであるがゆえに、日本としては戦後国民が一体となって実現してきた民主主義を旗頭に「民主カード」を切ることもまたひとつの手法ではないかと思います。良くも悪くも反原発運動や消費税反対などさまざまな政治的アクションは日本国内でも多数繰り広げられているものの、それは民主的な手続きにのっとり国民の権利として認められているのが日本です。

現在の政治体制において、不当な扱いを強いられたり、民主的な手続きを行うことの出来ない国民が政治参加の方法としてデモを打つことが容認される社会は人道的に望ましいと言えます。過去の歴史における残虐行為をカードとして使われている日本にとって、現在の独裁的な政治体制によって抑圧される市民を民主的に解放する意見を表明することは理に適った外交ではないかと思うのです。

日本として、香港の民主的な手続きを求める香港市民のアクションを、民主主義国として後押しすることはできないのでしょうか。

やはり、日本は民主主義国として香港や台湾の民主的な手続きを守るためや、辺境の少数民族に対する望ましくない迫害の再発防止のために、中国に対してしっかりと意見を表明していく方法もまたあるのではないかと思うわけであります。その場合、必ず内政干渉だという反発を中国から貰うことになるわけですが、そこは民主的な手続きを護持したい香港市民がどのようなリアクションをするかというのは興味深いところであります。

個人的には、日本人有志が集まって香港の民主デモの皆さんに羊羹でも差し入れしたい気分で一杯なのですが、誰かそのようなとりまとめをしてくれる人たちはいないものなんでしょうかねえ。