ヘルスケア事業に対する日米IT企業の態度の違いが興味深いです

山本一郎です。健康第一で頑張っております。

ところで、GoogleやAppleといったビッグプレイヤー達が事業参入を表明することで、いよいよIT業界においてヘルスケア関連事業への取り組みが注目されつつあります。

インターネットの次は人体情報を整理する!Googleがデジタルヘルス事業へ本腰(ITpro 14/8/27)

アップル、ヘルスケア業者らと「HealthKit」関連で協議中か(CNET Japan 14/8/13)

ヤフー、一般向けゲノム解析サービスを10月に開始(ITpro 14/8/11)

で、この手の話が出てくると当然のようにプライバシー情報の取り扱いがどうなるのかが非常に気になるのはプライバシーフリークの性というものなのでしょうか。

我らがヤフーの場合、無料先行モニターという形でゲノム解析サービスを行っておりましたが、ここで収集された解析データは匿名化の処理が施された後、「技術的倫理的に実用に足りると判断した場合」には広告表示などに使うことを想定していると回答しています(ヤフー よくあるご質問)。この場合、誰がどのような基準をもってして技術的倫理的に実用に足りると判断するのかは不明ですが、「通常数万円かかる」とされるゲノム解析が無料で提供される代価として、各人のデータが広告用途などに利用されることでヤフーが費用を回収するという考え方はあくまでビジネスの上では理に適っていますし、同サービスに応募する人もそうした条件を承知である限り問題はないのかもしれません。

一方で、今後一般サービスとして有料化されるとした場合、これまでの無償モニター時と変わらない規約内容であるとすれば、途中から何らかの規約変更がされなければなりません。果たして諸々の対価(採取されたデータが匿名化されるとは言え広告に利用される可能性があるということ)が、自分の求めているサービスとして相応しいのかどうかをユーザーは改めて判断することが肝要じゃないかと思うわけですね。

一部報道によれば、Appleがこれから提供しようとしているヘルスケアサービスにおいては、ヤフーとは真っ向から異なる方針が打ち出されているようです。

Appleは,HealthKitで取得したデータの広告プラットフォームとの共有を禁止(Cartan's Blog 14/8/31)

Appleは,HealthKit APIから取得した個人の健康データを,他の広告プラットフォームに提供することを禁止する新しいプライバシーポリシーを公開しました.

(中略)

アプリ開発者は,「HealthKit APIを通じて収集したユーザの健康情報を広告プラットフォーム,データブローカー,情報再販業者に販売することができない.」更に,収集したデータを「提供する健康・フィットネスサービス以外の目的に」利用することができない,としています.

出典:Cartan's Blog

ちなみにAppleは、こうしたヘルスケア事業を開始するにあたって、日本の厚労省などに当たるFDA(U.S. Food and Drug Administration)とも定期的な会談を持つなどしてかなり綿密な根回しをしているという報道も見られ、拙速な展開にはならないよう努力していると感じます。しかしながら、そういう世間に出回っている情報も同社の上手なPRの一環であることは言うまでもありませんから、実態がどうなのかはしっかりと見据えておく必要もあるでしょうが。

それにしても、ヤフーが採取したデータを広告に使うかどうかは今後の成り行き次第で全てはヤフーの思し召しというスタンスであったのに対し、Appleは明快に広告利用はNGと表明しているあたり、ヤフーからすればAppleのやり方は保守的に過ぎるということなのかもしれませんね。なかなか興味深いです。また、もう一方の雄であるGoogleが今後どのような方針を取るのかも気になるところではあります。

このあたりの話は、9月9日に開催されるプライバシーフリークの会で余すところなく話をして参りたいところではありますが、まだ告知画面が出てきませんね… ただ、実際のところヤフージャパンのプライバシー施策と考え方については、ぜひヤフージャパンで陣頭指揮を執っておられる別所直哉さんに直接ご高説を賜りたいと思うところなんですけれども。

ヤフー株式会社執行役員社長室長 別所直哉さんのヤフーニュース個人では、興味深い記事がいっぱいです。ぜひ姿勢を整え襟を糺し、正座の上で玉稿を音読されることを読者に求めて参りたいと思います。

別所さんの空き日程で話を聞く会をやるのも全然OKだと思いますので、ぜひプライバシーフリークからのラブコールにお応えいただければと存じます。

よろしくお願い申し上げます。