テレ朝がイマドキのUGC施策を狙ったら、逆にネット民のネタにされるの巻

山本一郎です。羊を飼うときは狼のように扱え、という格言をいま思いつきました。

ところで、テレビ朝日が視聴者からのスクープ映像を募集するという、まさにイマドキのUGCな企画を開始したようですが、この投稿用サイトに記された投稿規約の内容がテレビ局側ばかり有利となる条件を提示したものであったため大炎上という展開に。

あまりの綺麗な炎上ぶりにさすがのテレ朝もビビってしまったのか、サービス開始の翌日夜には一旦サービスを停止し、規約を改定する意向を発表するという事態になっております。

まあ、当たり前ですね。

テレ朝投稿サイト「みんながカメラマン」規約、批判受け改訂へ(ITmedia 14/8/12)

テレビ朝日が運営するスクープ動画投稿サイト「みんながカメラマン」の投稿規約が、「無償で動画提供を求めておきながら、問題発生時の賠償責任を投稿者に負わせている」などと批判を受けていた問題で、同社は8月12日、「規約の改訂を行っている」と明らかにした。

出典:ITmedia

いやー、ゼロリスクに敏感な法務を抱えると仕事にならないというのは実に微笑ましい惨状を呼ぶようですね。

残念ながら話題となった以前の規約はすでにサイト上から抹消されてしまい読むことができませんが、今のところウェブ魚拓には残っているようですので興味のある方は以下のリンクから参照することが可能で、Cacheされたページでは「規約全文を読む」というリンクをクリックすれば問題の全文を閲覧できます。

http://news.tv-asahi.co.jp/info/の2014年8月12日 09:51に記録された魚拓(ウェブ魚拓)

もちろん、この魚拓が削除されても画像が各位保存されているでしょうから、ネットではテレ朝が何かしでかすたびにいつまでも揶揄され続けることでしょう。

で、この規約文の何が炎上を招いたかについては、この手の炎上ネタを得意とするJ-CASTニュースがわかりやすくまとめていましたのでそちらをご覧ください。

テレ朝動画投稿サイトの利用規約酷すぎる 謝礼ナシ、「賠償義務あり」にネットで「大炎上」(J-CASTニュース 14/8/12)

テレビ朝日が始めた動画投稿サイト「みんながカメラマン」の利用規約が酷すぎるとネットで「大炎上」中だ。

2014年8月11日からスタートしたこのサイトは、視聴者が事件や事故、ハプニングなどを撮影した動画や写真を投稿し、テレ朝はそれを自社のニュース番組、ネットニュースなどでも使用する、という仕組み。採用されても謝礼はなく、そのうえ映像に対する苦情やトラブルが起きた場合は投稿者自らが対応しなければならない。さらに、テレ朝に何らかの被害が出れば投稿者に賠償させる、というものだ。

(中略)

ネット上の批判をどう受け止めているのか、テレ朝広報に問い合わせているが返事はまだ来ていない。

出典:J-CASTニュース

いやはや、いつもながらに熱い文体ですね。それはさておき、テレ朝としては、投稿された動画にまつわる著作権処理の手間を極力排除し、無期限かつ自由に無償で使い回したかったという目論みが見え見えではあります。まあ、コンテンツを制作しそれを放送するなどして収益を上げることを生業とする事業者としては、できるだけ最適化したかったということでしょう。個人的には、魚拓に残っている規約の中でも以下の一文が非常にテレ朝の思惑が強くにじみ出ていて素晴らしいと感じます。

4.テレビ朝日は投稿データを、地域・期間・回数・利用目的・利用方法(放送、モバイルを含むインターネット配信、出版、ビデオグラム化、その他現存し、または将来開発されるあらゆる媒体による利用)・利用態様を問わず、自由に利用し、またテレビ朝日が指定する第三者に利用させることができるものとします。当該利用にかかる対価は無償とします。

出典:投稿に関する規約(cache)

中でも「将来開発されるあらゆる媒体による利用」という文言は光り輝いていますね。このセンスこそコンテンツ事業者の鑑であります。この「得たコンテンツは死ぬまで使い回していこう」という良い意味でのメディア人根性が文章の一字一字に映えています。さすがです。

しかし一方で、投稿してもらった素材はガンガン使い回してビジネス利用して儲けるつもりだけど対価は一切払うつもりないからよろしくと堂々と宣言されてしまうと、投稿する側としてもちょっと微妙というか妙な違和感を覚えるのは自然なことかもしれません。そもそも「テレ朝にとっておきの画像を使われて嬉しい」とかいうテレ朝フリークでも相手でない限り、絶対に反感買う話でしょうし。

また、著作権的にヤバイものを投稿してトラブルが発生したときには全責任が投稿者に負わされ、テレ朝が被った損害までも賠償しなければならないというあたりについては、一般的な商慣習から考えるとまことに妥当な線ではあるのですが、果たしてそういう論理を著作権商売に関してずぶの素人である相手にそのまま投げつけてもいいのかという疑問を感じなくもありません。この辺りはむつかしいですね。

本件についてのネット民の反応や、他局の同様施策にまつわる利用規約をまとめて紹介している良記事があったので、こちらもご紹介しておきます。

テレ朝の動画投稿サイト「みんながカメラマン」の利用規約がブラックすぎると話題に(IRORIO 14/8/12)

上記記事ではSNS等に投稿される写真や動画を求めて報道メディアが交渉している事例も取り上げられていますが、捨てアカウントらしきものを使って交渉しているのはさすがにメディア側の見識を疑わずにはいられません。もちろん、テレビ局自らが交渉するだけでなく制作会社にお勤めの方がネットから情報を収集することも多いですから、捨てメアドや捨てアカウント全部がいかんというわけではありませんが、本件はれっきとした素材収集ですからね。

特に民放テレビ局などは年々報道に割けるリソースが減少して運営そのものが大変なことになっているとは想像されますが、視聴者を欺くようなネガティブなことをやれば直ぐにネットで情報が拡散される時代なのですから、モラルハザードとなるような行為は十分に謹んで、皆から愛される番組作りをしていただきたいものだと願う次第であります。

このままではテレ朝はバブル著しいmixiの軍門に下る日も近いのではないかと愚考します。一層の奮励を期待したいと願っております。