山本一郎です。06年に中国から既に資本を引き上げ撤退した勝ち組です。

 ところで、中国における権力抗争が一段と激しくなっているようですね。

中国共産党が周永康氏に捜査、「権力闘争」の指摘も(ロイター 14/7/29)

中国、前最高指導部メンバー・周永康氏聴取 「規律違反」容疑 政局に激震(MSN産経ニュース 14/7/29)

中国共産党は29日、周永康・前党政治局常務委員(71)に対し「重大な規定違反」があったとして捜査を開始したことを明らかにした。

出典:ロイター

中国共産党の最高指導部のメンバーを務めた大物政治家が失脚したのは25年ぶり。習近平国家主席による権力集中の一環で、政敵として倒された側面が強いと指摘される。治安、警察部門に今も大きな影響力を持つ周氏の失脚で、政局に激震が走るのは必至だ。

出典:MSN産経ニュース

 なんですかねえ、これは。いかにも中国らしい権力闘争の果てのおしくら饅頭な感じですが。

 この事態が中国内外に対して今後どのように影響していくのか、今は事態の進展を見守るしかないわけですが、なぜかほぼ同じようなタイミングでIT業界関連においても妙な事態が発生していまして、これは偶々なのかそれとも全てが何か関連性を持って起きていることなのか気になるところです。

中国紙、iPhone禁止呼び掛け 党・政府職員に(日本経済新聞 14/7/28)

28日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は、党員や政府職員、軍人らに対し、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などの製品の使用を禁止するよう呼び掛ける論評を掲載した。米当局による盗聴や通信データの監視を受ける危険性を指摘し、安全面に問題があるためとしている。

出典:日本経済新聞

 なんですかねえ、これは。

 まずはApple製品の使用禁止を呼びかける論評があったということで、まだ法律によって使用が完全に禁止されたという状況ではないのですが、共産党機関紙による発言のため社会的な影響はそれなりにありそうです。こういう話が出た原因としては、おそらく先日拙ブログでも話題として取り上げたiOSのバックドア疑惑が関係しているのではないでしょうか。

次期iPhoneの噂で持ちきりのAppleに降ってわいたiOSバックドア疑惑は何なのか?(14/7/24)

 あとは、日経の記事の中でも指摘されていますが、華為技術(ファーウェイ)製品におけるバックドア疑惑から欧米諸国でバッシングされていることに対する“対抗措置”という可能性は十分にあるでしょう。まあ、両者でバックドアを疑って詰り合いをするあたり、どちらもどっちという感じがしなくもありません。

 華為技術(ファーウェイ)のバックドア問題は、製品がシスコのデッドコピーだ疑惑から敷衍しても最初から話にならないと思いますが、iOSバックドアが見つかったので中国市場からエンバーゴーするぞというのは趣深い話ですね。

 で、Appleがやられたかと思って見ていたところが、さらに今度はMicrosoftもやられたようです。

Microsoftの中国拠点に中国当局が立ち入り、独占禁止問題の調査か(ITpro 14/7/29)

中国政府、マイクロソフトに照準か - 独禁法当局者がオフィスを不意打ち(WirelessWire News 14/7/29)

中国政府は、独占禁止法と関連して米Microsoftを調査しているようだ。Microsoftが現地時間2014年7月28日、中国の同社オフィスが中国当局の立ち入り調査を受けたことを認めたと、複数の海外メディア(米Wall Street Journal、米New York Times、英Financial Times、英Reutersなど)が報じた。

出典:ITpro

 なんですかねえ、これは。

 同様な事例としては、既にQualcommが独占禁止問題で調査を受けており、独占的地位の乱用が認められた場合には「10億ドル以上の制裁金を科される可能性がある」(ITpro)とされており、Microsoftも同じような状況に陥れられる可能性は低くないようです。

 中国ではすでにXPサポート終了に対する遺恨もあってか、国内中央省庁におけるWindows 8の使用を禁止したり、さらには国内銀行へ導入されているIBM製サーバを国産製品へリプレースすることを指示したりするなどの面白施策を展開していますが、今後はさらに思い切った事態をやらかすのかもしれません。

中国政府系の各媒体でもこれまでにアップル(Apple)やマイクロソフト、グーグル(Google)、フェイスブック(Facebook)、シスコシステムズ(Cisco Systems)、IBMなどの各社を批判する報道を行っていたという。

出典:WirelessWire News

 米中のサイバースペースでの緊張激化という意味では、2010年のGoogleの中国市場撤退にまつわるあれこれが興味深く、また近年ではGmailの組織的なアカウント乗っ取り等でも中国名指しで批難するネタが広がっていて、まあいくところまでいくんだろうな、と思うわけであります。

 そもそも、私たちが意外に無批判に受け入れている「中国版」Twitterとか「中国版」何たらと言うのは自国のサービス産業を保護するために自国の市場で栽培し育成してからそこで得た巨額の利益を背景に各国に進出して市場を蚕食するという保護貿易的なアプローチであるので、そのあたりはそろそろ問題視されるべきなんじゃないですかね。

 今後、中国とのお付き合いについてはさらに面倒な局面を迎える可能性も含めて、色々と考えておく必要がありそうです。つまらん騒動に巻き込まれるのは嫌だから触らんでおこう的な。