我らがTizenスマホがまた発売延期となったようです

山本一郎です。泰然としてはいられないニュースが飛び込んできて動揺しております。

昨今、いよいよTizenスマホがロシアで発売されるということで、世界中において大きな期待が集まっていたのですが…。

初の商用TizenスマートフォンSamsung Z発表。4.8型HD有機ELでLTE Cat.4対応、指紋・心拍センサ付(Engadget日本版 14/6/4)

発売と同時にアプリストア Tizen Store も開設され、ユーザーがアプリをダウンロードできるようになります。Tizen陣営側はTizen Developer Conference 2014イベントを開催したり、ストアでは開発者向けに一年間の特別プロモーションプログラムを実施するなど、世界中から開発者を結集しようとしています。

出典:Engadget日本版

Tizenスマホ「Samsung Z」のハンズオン動画─Androidと遜色無し?(リンゲルブルーメン 14/6/6)

Tizen OSを搭載した初の商用スマホ「Samzung Z」に搭載されたTizen UIのハンズオン動画が公開されました。 Android OSと遜色のないリッチなUIを搭載していることがわかります。

出典:リンゲルブルーメン

これは身も心も盛り上がらざるを得ない状況でありました。製品版が出てからどんだけ派手なクラッシュをしてくれるのか。Tizenを中心とした阿鼻叫喚の地獄絵図が見られるのではないだろうか。世界のイット業界を大混乱に至らしめる、地獄からの使者としてのTizenが世に羽ばたく姿を見守っていきたい。そう期待に胸を膨らませて成層圏まで飛び立ってしまいそうな日々を送っていたわけです。

ところが、ここに来て誠に残念な悲報が入ってきてしまいました。

サムスンの独自OS「Tizen」搭載のスマホ、再び発売延期に=中国メディア(サーチナ 14/7/14)

韓国のサムスン電子は11日、同社の独自OS「Tizen(タイゼン)」を搭載する予定のスマートフォン「Samsung Z」の発売を延期すると発表した。中国メディアの新浪科技が報じた。(中略)記事は、Samsung Zが7月10日にロシアで発売される予定だったが、サムスンが発売を延期すると発表したことを紹介。さらに発売日は未定としたことを伝えた。

そうですか…。

この記事を書いている時点では翻訳記事が出ていませんが、欧米のメディアも同様な顛末を報じております。

Moscow Developers Ponder Another Samsung Delay(WSJ 14/7/11)

Tizen faces another delay as Samsung Z fails to launch(CNET 14/7/11)

Samsung's first Tizen phone slips further into the future(Engadget 14/7/11)

Samsung's Tizen phone delayed yet again(The Verge 14/7/11)

各記事の論調はいずれも「また延期かよ」ということで統一されております。「また」というのは、言うまでもなく本来であれば我らがドコモから本年初頭には輝かしきTizenスマホ第一号が発売されているはずだったからであります。

NTTドコモが「第3のOS」Tizenスマホを販売延期した理由(Business Media 誠 14/1/20)

ドコモは、サムスンなどとともに準備を進めていたTizen搭載スマートフォンの発表を延期した。撤退を視野に入れた抜本的な見直しと言っていい。筆者はこれを「英断だ」と評価する。

出典:Business Media 誠

英断だったのに、真に残念でなりません。

上記の記事ではドコモの行為は「英断」とまで評価されたりしていますが、結果としてTizenスマホの存在自体がそろそろ「オオカミ少年」と化しつつあるのかもしれません。The Vergeの記事によれば「Don't worry, the phone's not dead yet(心配するな、まだTizenスマホは死んじゃいない)」とありますが、公式な発売時期は全く未定だそうでして、このパターンは正に歴代のベイパーウェアが歩んだ道を確実になぞっているように見えなくもありません。

まあ、TizenというOS自体は既にSamsungのスマートウォッチ等に採用され市販もされていますし、車載製品向けのOSとしての売り込みは派手に行われているようですから、実用化されていると言っても誤りではないのでしょうが、広く普及していくのかどうかはまだ今のところよく分かりません。しかも、Samsung自身もスマートウォッチは一旦全部をTizenベースに切り替えたはずなのに、ここに来て改めてGoogleのAndroid Wearを採用した製品を発売したりしています。

いったい何をしているのでしょう、Samsungは。

国内における携帯電話事業に関しては、いよいよSIMロック解除の義務付けも決定しましたから、ここはキャリア各社をはじめ端末メーカーやアプリメーカーもiPhoneやAndroid等にうつつを抜かしていないで、ガッツリとTizenスマホに注力して凄い勢いで天下を取る勝負に出ていただきたいところであります。

SIMロック解除義務化の方針正式決定(NHKニュース 14/7/14)

総務省は、契約した携帯電話会社以外では携帯端末を使えないようにする「SIMロック」の解除を義務づける方針を正式に決めました。 今後は「SIMロック」を解除するまでの期間などについて具体的なルール作りを進め、年内をめどにまとめる方針です。

出典:NHKニュース

突然の携帯キャリア締め付けは、総務省のアップルつぶしだった?(夕刊アメーバニュース 14/7/14)

総務省、そして国内産業を掌握する経済産業省が頭を悩ませているのは、プラットフォーム、端末、アプリと、すべてが海外勢に牛耳られている今の状況です。(中略)国産勢にもう一度日を当てるにはどうすればいいのか? その答えが『脱・iPhone依存』であり、今回のクーリングオフ、SIMロック解除なのでしょう。今はスマホ市場で圧倒的に不利な状況に置かれている国産スマホメーカーも、アップルの一極支配が終われば、まだ復活の目があるかもしれない。そのなかから国産の優れたサービスが誕生してほしいという期待もある

出典:夕刊アメーバニュース

海外勢にやられっぱなしの国内産業の不甲斐なさを経産省が悩んでいるようですが、この辺の官民の素敵な責任の押し付け合いがハッピージャパンライフの象徴であって、いくらTizenがダメでもクソでも何らか勝負ができるだけSamsungはいいなあという気持ちもしないでもありません。

やっぱりね、打席に立たないと塁には出ませんからね。出塁率上げて頑張ってまいりたいところであります。