待望のiPad版Office登場ですが日本だけは除外、やっぱりガラパゴスが原因なのでしょうか

 山本一郎です。人生的にいろんなものから除外されています。

 ところで、MicrosoftがiPad向けにOfficeを発表し世界的な話題となっております。

マイクロソフトが iPad版Officeを無料配信。Word, Excel, PowerPoint対応、編集はOffice 365加入者限定(Engadget日本版 2014/3/28)

Microsoft、iPad版Officeを発表―マルチプラットフォームに舵を切る(TechCrunch Japan 2014/3/28)

マイクロソフトいわく、Office for iPad は新しいマイクロソフトのMobile First, Cloud First 戦略を体現するアプリ。謳い文句は「好まれる要素をそのままに、iPad上で再創造された Office」「ルック&フィールはそのままに、iPadのために一から開発された素晴らしいタッチ機能に対応」など。

出典:Engadget日本版

この動きは予期されたことではあったが、Microsoft社内でこれまで絶対の権威を誇っていたWindowsのヘゲモニーが失われつつあるという観測を裏付けるものだ。(中略)MicrosoftはWindowsよりもあらゆるユーザー、あらゆるOSをサポートするクラウド化を優先する姿勢をはっきり打ち出したと見るべきだろう。これは「Windowsをあらゆる場所に」という従来のビジョンよりもずっとスケールの大きい考え方だ。

出典:TechCrunch Japan

 今回の件はMicrosoftにとっても、またユーザーにとっても、大きな節目となりそうですが、こうした状況について「注目はiPad版Officeではなく、それが提供される背景」にあると論考する本田雅一氏のブログ記事が大変参考になります。

マイクロソフト新CEO、iPad版Officeを発表。事業改革を加速(Yahoo!ニュース個人 2014/3/28)

「コンピュータ業界は変わった。半導体技術の進歩などがコンピュータを大幅に小型化した。さらにタッチパネルUIに代表されるように、ヒトとコンピュータの関わりが大きく変化し、世の中の情報は容易にデジタル化可能になっている。またユーザー、デバイス、アプリが協調することで、クラウドが大きな価値を持つようになってきた」とナデラ氏はいう。マイクロソフトの戦略は、こうした変化に対応したものなのだ。

出典:Yahoo!ニュース個人

 ここにきてMicrosoftは思い切った事業展開の見直しが次々と行われているようで、ブランディング施策についても以下のような発表があったばかりです。

Azure の改名が示唆するマイクロソフトの Windows 離れ(ReadWrite Japan 2014/3/25)

クラウドサービスの「Windows Azure」が「Microsoft Azure」に改名する。この改名は、何でも Windows に関連付けてきたマイクロソフトのブランド戦略から同社が離れようとしていることの表れのように見える、と ZDnet のメアリー・ジョー・フォーリーは報じている。

出典:ReadWrite Japan

 ここ何年か沈滞してきた同社ですが、これからはたしてどこまで巻き返しを図れるのか期待して動向を見守りたいところです。ただ一方で、日本向け施策についてはいまだ不透明な部分も多く、今回のiPad版Officeの提供についても日本だけが対象外となっています。

マイクロソフトがiPad版Officeをリリース!ただし日本では提供されず(週刊アスキーPLUS 2014/3/28)

残念ながらこのiPad版Officeは先行公開されているiPhone版と同様に米国でのリリースになっており、日本国内での提供は現時点では未定です。また、サブスクリプションサービスであるOffice 365のサービスの1つとして提供されます。iPadは国内では法人市場がホットなので、日本国内での提供についての言及がないのはちょっと肩すかしですね。

出典:週刊アスキーPLUS

 日本だけがいわば爪弾き状態となっている理由について今のところMicrosoftから明確な説明はありませんが、先に挙げた本田氏は以下のように分析しています。

”日本向けだけ提供されない”とう点が引っかかっている読者もいるだろうが、これは日本市場だけパーソナル版のOfficeが作られ、パソコンへのプリインストールが実施されていることと無関係ではない。海外では”購読型”に一斉に移行されたOfficeだが、日本ではプリインストール版があり、その代わりに家庭向けのOffice 365が存在しない。

出典:Yahoo!ニュース個人

 このあたりの経緯については以下の記事なども参考になります。

なぜ日本のOffice 2013のライセンス形態が特別なのか(PC Watch 2013/2/22)

「これは本社からの指令でこうなったのではなく、日本法人が市場調査をした結果として、日本向けのライセンス形態が必要と判断しました」(中略)「日本ではPCを使っているが、自分でソフトをインストールしたくないというお客様も多いのです。あらかじめ入っているソフトを使えばそれでいいと考えられるようです」(中略)日本でもOffice 365 Home Premiumを投入することも検討したそうだが、PCへのバンドルが浸透している日本で、「慣れ親しんだ購入体系を壊す必要があるのか」との観点から今回は導入を見送ることとした。

出典:PC Watch

 なんといいますか、結局はOfficeのようなソフト市場についても日本はガラパゴスだったということなのかもしれません。日本人の特性が織り成す日本市場が容赦なく世界標準と違いすぎて独自の商流を作り上げてしまっているという。もちろん、それだけ市場のボリュームがあるので、特別待遇されているということでもありますから、むしろ良い話の側面も大きいわけですが。

 上記記事を最後まで読めば分かることですが、Microsoftの日本法人としてもクラウドベースのサービス提供が必要であることは十分に理解しながらも、今の国内市場でそうしたサービスを提供するのは時期尚早であると判断した事情があるようです。まあ、iPadが比較的売れているとはいえ、日本市場でのタブレット普及率は欧米市場に比べてかなり低いですから、今回のiPad版については尚更という話でもあります。

 月並みなオチですが、「今後に期待」というところでしょうか。

 マイクロソフト日本法人に期待を寄せても切ないので、私としては敢えてここでmixiとはてなの今後に期待を寄せたいと思います。